【京都】花手水(はなちょうず)が魅力的な寺社6選。花で作りあげる小さな美の世界へ。
Hanako.tokyo / 2021年9月13日 14時51分
200年の時を経て美しく残るものと、平成に描かれた色鮮やかな花天井。お参りする人々の気持ちを和ませる花手水。新たな癒しをもたらしてくれる花を目当てに寺社へ足を運ぶ楽しみも。今回は、花手水が魅力的なお寺をご紹介します。お参りの人々をもてなす気持ちを込めた、花で作りあげる小さな美の世界。
1.境内の花を手折って生けるさりげなさ。〈真如堂(しんにょどう)〉/吉田
正式名称は本当の極楽を意味する真正極楽寺。春は桜、秋は紅葉で知られる寺院の花手水は、主張しすぎずさりげなく。すっと渡した竹の花器に、境内に咲くアジサイやムクゲを生けるのだという。水に沈む青紅葉が揺らめく姿にもまた、心が洗われる。
〈真如堂(しんにょどう)〉
京都府京都市左京区浄土寺真如町82
075-771-0915
拝観9:00~16:00(受付~15:45)拝観料500円(花手水がある境内は出入り自由。法要寺は拝観停止)
2.禅の教えへと繋がる立体感ある花の姿。〈勝林寺(しょうりんじ)〉/泉涌寺
東福寺の塔頭のひとつ。「境内に咲く花を一輪二輪と生けたところ、喜んでくださる方が多くて。花や緑を見て美しいと思うのは純粋な心であり、禅の教えに繋がります」と、住職の宇野虓堂(うのこうどう)さん。4~5年の時を重ね、現在のような立体感ある仕立てに。
〈勝林寺(しょうりんじ)〉
京都府京都市東山区本町15-795
075-561-4311
拝観10:00~16:00拝観料800円(花手水がある境内は無料)
※秋の特別拝観では秘仏の公開も。
3.花手水と名付けた、ブームの草分け的存在。〈柳谷観音 楊谷寺(やなぎだにかんのん ようこくじ)〉/長岡京
眼病平癒の観音様として広く信仰を集めてきた古刹。境内に5つある手水に花を生け、花手水の名で呼び出したのは31世住職夫人の日下恵さん。「境内に咲くアジサイを浮かべたところ、楽しみに足を運んでくださる方が増えて。思い出に残る場所になれば」と工夫を凝らす。華やかな色使いやインパクトもとびきり。
〈柳谷観音 楊谷寺(やなぎだにかんのん ようこくじ)〉
京都府長岡京市浄土谷堂ノ谷2
075-956-0017
拝観9:00~16:00
拝観無料(2022年4月から500円)
4.嵯峨野の地の豊かな自然を手水に映す。〈二尊院(にそんいん)〉/嵯峨野
「小倉山のふもとにあるだけに、庭造りも自然との調和を意識したものに。花手水は庭で育てた草花を中心に仕立てます」と、副住職の羽生田光昭(はにゅうだこうしょう)さん。水の音や虫の声、鳥のさえずりを耳にしながら眺めたい、折々の庭の景色を映した花手水だ。本堂廊下に置かれた鉢に生けた花も見逃さずに。
〈二尊院(にそんいん)〉
京都府京都市右京区嵯峨二尊院門前長神町27
075-861-0687
拝観9:00~16:30受付終了
拝観料500円
5.寄進されたアヒルとともに可愛らしく。〈金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)〉/黒谷
「くろ谷さん」の名で知られる浄土宗大本山。手水にずらりと並んだアヒルの中には西陣織の蝶ネクタイを着けたり、境内にあるアフロ大仏にちなみアフロ姿のものも。「庭園にある亀のモチーフから当初は亀の人形を置いていたのが、二度にわたり盗難に。代わりにと寄進していただいたのがこのアヒルです」と、本山職員の伊藤英亮さん。
〈金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)〉
京都府京都市左京区黒谷町121
拝観9:00~16:00
拝観無料
6.梅の花あしらいを見つける厄除け信仰の場。〈北野天満宮(きたのてんまんぐう)〉/西陣
菅原道真公を祀る北野天満宮は平安京の北西にあり、災いを鎮め疫病退散の役割を担ってきた。「コロナ退散の思いを込めて、昨年6月から始めた花手水。大切な手水に花を浮かべることで、お参りする方々の心の癒しに」と、権禰宜(ごんねぎ)の東川楠彦さん。神紋の梅紋を写した、梅型の花あしらいを見つける楽しみも。
〈北野天満宮(きたのてんまんぐう)〉
京都府京都市上京区馬喰町
075-461-0005
拝観6:30~16:00(土日祝~17:00)
拝観無料
可憐な草花の姿は時代を超えた癒し。
そっと心に癒しをもたらしてくれる花の姿。こんな時代だからこそ、祈りの場である寺社で出合う草花は、いつにも増して輝きを放っている。近年、人気の高まりを見せる花手水(はなちょうず)。そもそもは水がない野外で草花を使って手を清める意味で、言葉自体は昔からあったもの。2017年から手水に花を生け始めた柳谷観音 楊谷寺で、そう呼ぶようになったのをきっかけに、花を生けた手水を差すように。参拝者に癒しをと手水を彩る寺社も増え、華やかさを持つものから侘わび寂さびを感じさせるものまで揃う。個性ある花手水を存分に愛でたあとはお参りも忘れずに。
(Hanako1200号掲載/photo : Akira Yamaguchi text : Mako Yamato)
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