1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

都会で出来立てのチーズが楽しめる〈CHEESE STAND〉。廃棄物を出さない、サステナブルな取り組みとは?

Hanako.tokyo / 2021年9月27日 12時0分

都会で出来立てのチーズが楽しめる〈CHEESE STAND〉。廃棄物を出さない、サステナブルな取り組みとは?

ハナコラボ パートナーの中から、SDGsについて知りたい、学びたいと意欲をもった4人が「ハナコラボSDGsレポーターズ」を発足!毎週さまざまなコンテンツをレポートします。第43回は、Hanako編集部がチーズ専門のカフェや工房を運営する〈CHEESE STAND〉を取材。代表取締役兼チーズ職人の藤川真至さんに話を伺いました。

「出来立てのチーズを多くの人に食べてほしい」

〈CHEESE STAND〉代表取締役兼チーズ職人の藤川真至さん。

カフェ〈SHIBUYA CHEESE STAND〉。

出来立てのチーズを使ったメニューがいただけるほか、お持ち帰りできるチーズや関連商品も販売。1番人気はモッツァレラですが、リコッタやブッラータを目当てに買いに来るお客様も多いとか。

「街に出来立てのチーズを」をコンセプトに、牧場から届く新鮮な牛乳を工房で加工し、フレッシュチーズを提供する〈CHEESE STAND〉。カフェ〈SHIBUYA CHEESE STAND〉やセレクトショップ〈& CHEESE STAND〉、オンラインショップ〈FRESH CHEESE Delivery〉を運営するほか、都内の飲食店などに卸している。
「学生時代にイタリアで食べた本場のチーズに衝撃を受け、“出来立てのチーズを多くの人に食べて欲しい”という想いから2012年にお店をオープンしました。とにかくフレッシュにこだわりたかったので、仕入れる牛乳も高品質で拠点・渋谷から近い多摩地域の牧場に。前例がなかったため大変なことは多かったですが、想いのほうが強く、苦ではありませんでした」(藤川さん)。
毎日、午前3時に牧場から牛乳が到着後、〈& CHEESE STAND〉内の工房でチーズ作り。〈SHIBUYA CHEESE STAND〉がオープンする11時くらいに完成するため、店内ではよりフレッシュなチーズが楽しめる。
「卸し先のお店にはルート配送もしくは宅配便を利用。様々な場所で〈CHEESE STAND〉の商品が買えるよう頑張っています」(藤川さん)。

「もったいない」から始まった、ホエイの再利用

牛乳の温度を40度ぐらいまで落とし、乳酸菌と酵素を加えて凝固したのが「カード」。それをカッティングし、残っている黄色っぽい液体が「ホエイ」だ。

カードとホエイを分けたら、ホエイは加熱し、前日のホエイを加えて凝固したらうつわに移す。先ほどのカードはモッツァレラやブッラータに。

冷蔵したらリコッタの完成!

「ホエイ(乳清)」とは、牛乳がチーズの固体になるときに分離してできる液体のこと。身近なものだと、ヨーグルトの上澄みの水分もホエイだ。
「例えば1日400Lある牛乳のうち、排出されるホエイは350mL。モッツァレラやブッラータを作り、ホエイを再度抽出してリコッタを作っても驚くほどの量が残ってしまいます。ホエイに含まれるホエイタンパクと呼ばれる成分は栄養価が高く、化粧品に活用されるほど。大手メーカーですと、遠心分離機にかけてパウダー状にしたものをプロテインにしたり、海外ではバイオガスを発生させてエネルギーを作る設備がありますが、私たちの規模では正直難しい。牛乳やスキムミルク(脱脂乳)に比べると味が薄く鮮度も落ちてしまい、結局、廃棄してしまうお店が多いんです。でも、やはり捨ててしまうのはもったいない。そこで、有効活用させようと始めたのが『ホエイドリンク』です」(藤川さん)。

「ホエイドリンク」450円

「出来たてモッツァレラ&リコッタ」640円

お店のオープン当初からある「ホエイドリンク」は、高タンパクで低カロリー。お店では、季節のフルーツソースやリキュールで割って提供している。
「さっぱりとした乳酸菌飲料のような味わいなので、アレンジは無限大。めずらしいと注文されるお客様も多いです」(藤川さん)。
そして、初めて〈CHEESE STAND〉のチーズを体験するという人におすすめなのが、1番人気の「出来たてモッツァレラ&リコッタ」。モッツァレラにはオリーブオイル、リコッタにははちみつをかけていただきます。
「ホエイには乳糖という成分があり、乳特有の甘い香りがします。なので、ホエイから作ったリコッタは他のチーズに比べて甘いのが特徴。はちみつをかけて、デザート感覚で食べてほしいです」(藤川さん)。

ホエイがお風呂に!想いがつながり、始まった〈小杉湯〉との取り組み

1933年に創業した〈小杉湯〉。

1ヶ月に1〜2回、浴室の1つが「ホエイ風呂」に。

番台前で販売しているチーズは毎回完売。

「もったいない風呂」は1ヶ月ごとにカレンダーが変わり、毎日様々なお風呂が楽しめる。

リコッタやドリンクに活用しても、まだまだ余ってしまうのがホエイの課題。そこで次に始めたのが、高円寺の老舗銭湯〈小杉湯〉との取り組み。3代目当主・平松佑介さんに話を伺った。
「〈小杉湯〉では、生産者さんから提供してもらった廃棄物をお風呂にする『もったいない風呂』という取り組みをしています。そのほか、浴室の壁に生産者さんのことを伝えるアートボードを飾ったり、番台の前では物販も。元々は、祖父の代から続く家訓『きれいで、清潔で、気持ちいい』がきっかけ。本当に気持ちのいいお風呂に入ってもらうにはどうしたらいいのか考え、辿り着いたのが柚子湯や菖蒲湯などの旬のものを入れること。ですが、食べられるものを浴槽に入れてしまうのはもったいない。試行錯誤したすえに、いまのシステムができました」(平松さん)。
いまでは1ヶ月ごとに毎日内容が変わり、青果店や酒屋など様々なお店と取引をしている。そんななか出会ったのが、藤川さんだったそう。
「ホエイの存在を知り、早速提供してもらうことに。ホエイ風呂は香りがよく、とても気持ちがいいんです!いまでは月1〜2回、発注させてもらっています。物販しているチーズも大人気で、チーズを購入するために来るというお客様もいるほど」(平松さん)。

浴室の壁には〈CHEESE STAND〉のことが深く知れるアードボードを設置。

「入浴する方に楽しんでもらいながら、〈CHEESE STAND〉さんの想いを知ってほしい」という平松さん。
「私たちは想いに共感し、好きになり、お風呂に入りに来るお客様に伝えたいと思わなければ、その生産者さんとは取引しません。生産者さんにも〈小杉湯〉を好きになってもらい、相思相愛の関係を大切にしています。アートボードや物販を通して生産者さんの物語が伝われば、本当の意味で“気持ちいい”お風呂に入ってもらえるのかなと。経済合理性を無視してしまうのは難しいですが、人と人との目に見える関係性とつながりを大切にした結果、SDGsにつながればうれしいですね」(平松さん)。

廃棄物をなくして、循環できる社会をつくる

「飲食店をする上で、私にも社会的責任はあります。日々、スタッフにはゴミの分別などできるところから伝えるようにはしていますが、廃棄物問題はなかなか解決しません。近年、牛が排出する二酸化炭素が問題になっていますが、余分なものを作って捨てている人間の行為のほうが問題で、そこを改善するほうが先だと思うんです。かつての大量生産、大量消費は変わろうとしています。チーズ工房がいくつか集まってエネルギーを作るなど、私たちのような中規模のお店でも循環できる取り組みをしていきたいですね」(藤川さん)。
11月には尾山台のほうに新しいチーズ工房が完成予定。そこではホエイを使ったジャムやブラウンチーズを作るとか。藤川さんの今後の活躍に乞うご期待!

〈CHEESE STAND〉

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください