天王洲〈WHAT MUSEUM〉で大林コレクション展『安藤忠雄 描く』開催中。
Hanako.tokyo / 2021年9月30日 19時0分
品川区の天王洲エリアは複数の展覧会やイベントが同時に行われ、運河に面するようにカフェやレストランもあって、人混みを避けるにはとっておきのお出かけ先です。現代アートのコレクターズミュージアム〈WHAT MUSEUM〉で開催中の大林コレクション展『安藤忠雄 描く』を中心にその魅力をご紹介します。
トップ画像 左:畠山直哉『untitled/Osaka 1998』右:畠山直哉『untitled/Osaka 1999』
大林コレクションの貴重な作品が見られる展覧会。
〈WHAT MUSEUM〉は2020年12月にオープンした芸術文化発信施設です。展示される作品は運営する〈寺田倉庫〉がコレクターから預かっている貴重なアート作品が中心になっています。
9月25日から2022年2月13日まで開催されるのがコレクター、大林剛郎さんのコレクションを3つのテーマに分けて展示する大林コレクション展です。
Photo by Keizo KIOKU
最初のテーマは、大林さんのコレクションの出発点となった建築家、安藤忠雄さんの平面作品を中心とした『安藤忠雄 描く』。16の作品が展示されています。
安藤忠雄『中之島プロジェクト I <大阪市役所>』
入り口側にある『中之島プロジェクト I <大阪市役所>』は、1980年、安藤さんが30代だった頃の作品です。大阪市役所改築の指名コンペに声がかかったわけではなかったのに、自主的に提案を作ったものとのこと。
左:安藤忠雄『住吉の長屋のための習作』1975年から1997年に描かれた作品。右:安藤忠雄『住吉の長屋』1998年に刷られたシルクスクリーン作品。
安藤忠雄『兵庫県立美術館のための習作』。
安藤忠雄さんが手がけた数ある建築の中でも、もっとも有名なひとつが1976年に完成した『住吉の長屋』です。ところが今回の展示には22年後の1998年に刷られた『住吉の長屋』の作品があります。展示を担当されたキュレーターは、安藤さんが完成後も自らが手がけた建築を繰り返し描いていることは発見だったとおっしゃっていました。世界的な建築家、安藤さんがどのように仕事に取り組んでいるか、そんなことも感じられる展示になっています。
2つ目のテーマは『都市と私のあいだ』。巨大な建築から室内のインテリアまで、アーティストが様々な視点で都市を捉えた写真作品が並んでいます。
右:畠山直哉『untitled / Osaka 1998』左:畠山直哉『untitled / Osaka 1999』。
野口里佳『水をつかむ #2』。
畠山直哉の『untitled / Osaka 1998』『untitled / Osaka 1999』に写っているのは大阪スタヂアムです。1998年の作品は、球場内が住宅展示場として使われている不思議な風景、1999年の作品には重機が球場内を工事している様子が映っていて、見る人はスタジアムという特殊な枠のなかで都市が移ろう様子を目の当たりにすることになります。
そして3つ目のテーマは、『Self-History』。大林さんが最初に購入したアート作品であるヤマガタヒロミチの彫刻や、購入するのは画像データといった現在を象徴する作品、そしてミニマリズムやコンセプチュアル・アートなど約40点の作品が並びます。
ギルバート&ジョージ『Hooded』。
左:杉本博司『パラマウント、オークランド』右:杉本博司『I MAX、天保山』。
佐藤允『大林剛郎の肖像(宇宙)』。
展示の中心は1990年代以降の作品ですが、それらの作品に影響を与えた1960~70年代にかけての作品も含まれています。例えば有名な作品を自らが模した作品を制作する森村泰昌の作品と、その元ネタとも言えるイヴ・クラインの作品とが並べて展示されるなど、作品や作家の繋がりが見えるような展示になっているので、これまで現代アートに馴染みのない人にもおもしろさの一端が掴めるはずです。
大林コレクション展『安藤忠雄 描く』『都市と私のあいだ』『Self-History』
東京都品川区東品川2-6-10 寺田倉庫G号〈WHAT MUSEUM〉
~2022年2月13日(日)
11:00~18:00(最終入場17:00)※オンラインチケット制
一般1,200円、大学生・専門学校生700円、中高生500円、小学生以下無料
月曜休館、月曜日が祝日の場合、翌火曜休館
若手アーティストの作品に出会うアートギャラリーカフェ〈WHAT CAFE〉。
コレクターが長い時間をかけて収集した作品群を見ると、同じ時代を生きる現代のアーティストによる作品を見る目も変わるかもしれません。
〈WHAT MUSEUM〉から徒歩3分の場所にある〈WHAT CAFE〉は、展示販売されている若手アーティストの作品を鑑賞しながら、気軽に食事や飲み物を楽しめる場所です。現在『WHAT CAFE × DELTA EXHIBITION -EXPANSION-』と題して総勢17名の作品約60点が展示されています。
加藤智大の作品。
高橋知裕の作品。
松村咲希の作品。
カフェの中は800平方メートルと広々。美術館とは異なる緩やかさのある空間で、ゆっくりと作品を眺めてみると、アーティストの表現の中に時代の側面や様々な示唆に気づかされるかもしれません。
『WHAT CAFE × DELTA EXHIBITION -EXPANSION-』
東京都品川区東品川2-1-11
~2021年10月24日(日)
※10月13~15日休館
11:00~18:00(最終日は17:00閉館)
入場料無料
壁面には絵の具の材料がずらりと並ぶ。
形も大きさも様々な刷毛や筆。
様々な素材から作られたにかわは糊剤として使われる。
アートに触れて、自分も作品を描いたり、作ったりしたいと創作意欲を駆られたら〈PIGMENT TOKYO〉に立ち寄ってみては? 筆や刷毛、顔料、にかわ、もちろん紙に至るまで、描くための道具や材料がずらりと並ぶ画材ラボです。
整然と並んだ色とりどりで、形も様々な商品を見るだけでも楽しくなってしまいます。画材エキスパートによるワークショップも定期的に行われています。
〈PIGMENT TOKYO〉
東京都品川区東品川2-5-5 TERRADA Harbor Oneビル 1F
03-5781-9550
11:30~19:00
月木休
運河に浮かぶアートホテル〈PETALS TOKYO〉。
「PETAL 1」の外観。
「PETAL 1」の開放感あふれるシャワールーム。
「PETAL 1」の寝室。
「PETAL 2」のエントランス。
「PETAL 2」の落ち着きのある客室。
「PETAL 2」のシックな洗面室。
「PETAL 3」の外観。
「PETAL 3」にあるルーフテラスは開放感たっぷり。
「PETAL 3」のシックな寝室。
運河には2020年11月にオープンしたアートホテル〈PETALS TOKYO〉があります。運河にあるホテルとは、「PETAL 1」から「PETAL 4」と名付けた小舟を宿泊施設として利用しているんです。
運河の街、アムステルダムのハウスボートのようにポップで手作り感のある外観ですが、内部はどの部屋もプレミアム感のある雰囲気。客室はプライベートが保たれていて、水辺ならではの自然との一体感を感じることもできます。
旅行が難しい今、運河に浮かぶ小舟に泊まるという非日常的な体験ができる〈PETALS TOKYO〉での宿泊は、記念日の過ごし方の選択肢に加えてみたいものですね。
〈PETALS TOKYO〉
東京都品川区東品川2-1 T-LOTUS M
050-5491-2681
Tennoz Art Festival 2019 Art Work by ARYZ
Tennoz Art Festival 2019 Art Work by DIEGO
天王洲は野外にもアート作品があり、運河を眺めながら散歩ができる緑豊かなボードウォークがカフェやイベントスペースを繋いでいます。かつての倉庫街から、一日を豊かに過ごせるアートの街に生まれ変わった天王洲。この秋のお出かけ先に選んでみてはいかがでしょうか?
天王洲エリアマップ
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