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森に囲まれた深沢小さな美術館へ。「つくる」編

Hanako.tokyo / 2021年11月10日 11時55分

森に囲まれた深沢小さな美術館へ。「つくる」編

ちいさな美物館を巡って、作品から思いを馳せるこちらの連載。第11回目の舞台は〈深沢小さな美術館〉。秋川渓谷からほど近い山中にひっそりと佇む美術館には、造形作家の友永詔三(ともなが・あきみつ)さんが手掛けた作品がずらり。美術館へ向かう道中で、友永さんの作品である森の妖精「ZiZi(ジジ)」がいたるところからお出迎えしてくれました。

友永さんの小さなお城。

この連載のテーマを“ちいさな美術館をめぐる旅”と掲げた時から、いつか絶対に行かなければと思っていたのが〈深沢小さな美術館〉。山道を登り、門をくぐればそこには山と一体になった庭が広がっています。水槽に泳ぐ立派な錦鯉やチョウザメに目を奪われていると、おとぎ話に出てくるような可愛らしい建物が。初めてにも関わらず、いつだったか来たことがあるかのような思いに包まれながら、私は小さなお城へと足を踏み入れました。

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「つくる」



何かをつくる人はかっこいい。頭の中で誰かの人生をつくってそれを物語にする作家さんは本当にかっこいいし、いつでもどこでも見たこともない景色へ連れていってくれる。もうありとあらゆる音楽がつくられ尽くしているだろうに、新しい音楽を生み出し続ける音楽家は天才だと思う。



そういえば幼稚園児の頃、テレビから流れる音楽に「これは!」と思うたび、画面の右下に出てくる久石譲という名前を見て、「あ、この人は天才なんだ」と思ったのを覚えている。どんな遠くの駐車場に行っても必ず「月極駐車場」と書いてあるのを見て、「月極さんって信じられないくらいお金持ちなんだろうなあ」と思ったのと似ているような気もするけれど、それは、またちょっと違う。



一本の桜の木から掘り出された如来像は見ているだけでうっとりするし、小さな木製の人形に命が吹き込まれた人形劇を見たことを、何年経っても忘れていなかった。ゼロから生み出すことへの憧れは尽きない。



ものづくりに従事する一身として、新しいものが出来上がるその瞬間に、その一部として立ち会えることは、とても幸せだ。でもやっぱり、その作品を企画し、動いて、つくる監督には勝てないなあと常々思う。あぁ、私にも何かできないのか。



最近、小さな創作を発見した。料理だ。言わずと知れた、多分生きている人ほとんどが毎日する行為で、さらに私の食はかなり偏っているので、創作だなんてだい逸れているかもしれない。でもたとえば、ご飯をお釜でおいしく炊けた、それだけで私の創作意欲はぐっと満たされる。干した野菜の旨味がぎゅっと詰まったお味噌汁をすする時、半日干すという、そのひと手間にとてつもない達成感を感じる。そうやってこさえたこの身体で、やっぱりいつかは、何かをつくりたい。

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今回訪れたのは…〈深沢小さな美術館〉

きのこのオブジェや、阿弥陀如来、NHKで放送されていた『プリンプリン人形劇』の人形たちまで、友永さんの作品は多岐に渡ります。併設された喫茶室では、友永さんの奥様が入れてくださるおいしい珈琲をいただくことも。お庭を眺めながらご夫婦とお話ししていると、なんとも懐かしい錯覚に襲われました。いつかまた、必ず帰ってきたいです。

でこぼこの壁と木の扉、丸い小窓が特徴的な建物は、なんと友永さんご本人による手づくり!

元々リビングだったという広々とした空間には、創作意欲が掻き立てられる作品が勢ぞろい。

〈深沢小さな美術館〉

東京都あきる野市深沢492
042-595-0336
水木休
10:00~17:00
500円

※12月〜3月は冬季休館です。

photo : Yumi Hosomi

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