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無駄にしない食べ方と捨て方を考える。〈鴨志田農園〉園主・鴨志田 純さんに聞く、ゼロカーボンアクション。

Hanako.tokyo / 2021年11月20日 16時17分

無駄にしない食べ方と捨て方を考える。〈鴨志田農園〉園主・鴨志田 純さんに聞く、ゼロカーボンアクション。

食べ物を残すと、それがごみになる。食べられる分を食べられるだけ。それがゼロカーボンアクションになっていく。東京・三鷹で代々続く農家を営む鴨志田純さんに、無駄のない食べ方、捨て方について話を聞いた。

【MY RULE 1】基本は残さずに食べること。

丸ごとおいしくいただける甘長とうがらしを使ったじりじり焼きと、新しょうがの根を使った佃煮。

収穫時に切り落とす、新しょうがの根も鴨志田さんは佃煮にしていると言う。

おまかせ野菜セット(8種)2,300円。

まずは食べる食材について知り、調理の仕方にもひと工夫することが大切。「思わず残しがちな、とうがらしのヘタやピーマンの種なども、じっくり火を入れれば最後まで食べられますよ」と鴨志田さん。鴨志田農園では、野菜の定期便購入者に収穫するまでの過程や、おすすめレシピを提案。消費者も野菜の特徴や使い方、おいしい食べ方を知ることで食材ときちんと向き合うことができ、それが無駄なく食べることにつながっている。

【MY RULE 2】生ごみはまず乾燥させる。

三角コーナーなど、水分が多い生ごみで実践。水気をしぼり、厚めに重ねた新聞紙に包む。

中身が出ないよう、虫除けのためにもしっかり包む。

「捨てる前にひと工夫するだけでエコにつながる」日当たりの良い場所で乾燥させ、通常の可燃ごみとして捨てるだけ。

一般家庭では1人一日132g(消費者庁調べ)の生ごみが出ており、その水分量は95~98%。水分量が多いほど、焼却処理する際の助燃剤が増え、CO2を多く排出する原因につながっている。そこでそのまま捨ててしまう生ごみを乾燥させるだけで、水分量は60%にまで落ち、助燃剤を使わずに燃やすことが可能に。「最近では市販の“生ごみカラット”などもありますが、新聞紙を敷いたザルにのせて乾燥させるだけでも十分な効果があります」

【MY RULE 3】コンポストについて考える。

もみ殻、米ぬか、落ち葉などが入った堆肥。落ち葉は近隣の学校からトラック12台分を集め、13カ月ほどかけて堆肥に。

にんにくの皮や卵の殻、コーヒーカスや貝殻など、動物性・植物性を気にせず堆肥化できる。

コンポストは生ごみを腐らせずに乾燥させる一次処理後、60℃以上に保ち微生物の発酵・分解を促す二次処理が必要だ。「例えば一次処理は各家庭で、その先は共同コンポストや地元の農園と協力して堆肥化を実現できたら理想。海外では共同コンポストが多く設置され、個人で取り組むというより地域全体で取り組む活動となっています。コンビニやスーパーに設置されるなど公共のインフラとして浸透していけば、防災の備えにもつながります」

キーワードから学ぶ、鴨志田さんの取り組み。

1.共同コンポスト

地域でコンポストを共有する取り組みは全国に広がっている。立命館大学では食堂から出る野菜くずなどの生ごみを堆肥化。できあがった有機肥料を地域に還元するプロジェクトも行っている。

2.CSA(地域支援型農業)

同じ地域に住む農家と消費者が代金を前払いして契約し、定期的に作物を受け取るシステム。鴨志田さんはこのやりとりにコンポストも導入。契約者から生ごみを提供してもらい、堆肥づくりの資源に還元している。

コンポストを活用して、生ごみを、実りある堆肥に。

食べ物を残すと生ごみになり、燃やせばCO2を排出する。生ごみを減らすこと、それがゼロカーボンアクションになっていく。生ごみを堆肥に変えるコンポストをはじめるのもいい。ただ、コンポストは道具や管理方法、堆肥を作った後の循環可能な使い道まで考えるのが大切だ。

「だから最初はあまりあれこれ考えず、生ごみは出さない、これだけで十分です。個人がコンポストをはじめるハードルを考えたら、それより生ごみを少なくする工夫を考えてみてほしい」。そう語るのは〈鴨志田農園〉を営む鴨志田純さん。コンポストアドバイザーとしても活動中だ。

「まず必要以上に食材を買い込まないこと。普段私たちが手に取る野菜や果物は、ヘタや皮など使わずに捨てている部分がある。それを調理方法で解決できれば生ごみは減る。さらに生ごみは95〜98%が水分。乾燥させて捨てられればそれだけでいい」

鴨志田さんは更にその先を行く。CSA(地域支援型農業)にコンポストを取り入れ、農家と消費者の間で資源を循環させるシステムを作った。「消費者は野菜を買い、家庭から出た生ごみは堆肥にして畑へ。それが循環になる。最近では各自治体による共同コンポストなどもある。コンポストはごみの回収だけでなく災害時にはトイレの代用にもなるライフラインなんです。ソーシャルデザインのひとつとしてこの取り組みがもっと広まってほしいですね」

Navigator…〈鴨志田農園〉園主・鴨志田 純(かもしだ・じゅん)

東京・三鷹に農園を構える6代目園主。その傍ら、コンポストアドバイザーとして各地でセミナーやコンポストのプロジェクトも実施。生ごみの堆肥化と有機農業のシステム作りを行う。

(Hanako1202号掲載/photo : Megumi Seki text : Ami Hanashima edit : Kana Umehara)

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