食品ロスを楽しくおいしく考えよう!社会貢献型ショッピングサイト「KURADASHI」の「食」への取り組み。
Hanako.tokyo / 2021年11月20日 18時25分
2019年に施行された食品ロス削減推進法で、10月30日は「食品ロス削減の日」。誰にとっても大切な「食」にまつわる問題。解決への糸口を探ります。
まだ食べられるのに!年間約600万トンのロス。
本来まだ食べられるにもかかわらず、捨てられている「食品ロス」。日本では年間約600万t、国民1人あたり1日茶碗1杯分程度(約130g)が捨てられているそう。一方、世界の人口の10人に1人は食べ物がなくて飢えに苦しんでいるという現状があります。食品ロスの問題は私も連載でたびたび取り上げてきたテーマ。これまでに取材した〈ZENB〉〈FOODTEXTILE〉のほか、楽しくおいしい取り組みに注目しました。
【COMPANY#1】最大97%オフ!?社会貢献型ショッピングサイト。「KURADASHI」
左・関藤竜也(せきとう・たつや)/株式会社クラダシ代表取締役社長。1971年大阪府生まれ。大手総合商社を経て、2014年に起業した。「ソーシャルグッドなカンパニーであり続けます」
社会貢献型ショッピングサイト「KURADASHI」は、メーカーから協賛価格で提供を受けた商品を最大97%オフで消費者に販売し、売り上げの一部を環境保護や動物保護団体などに寄付ができるプラットフォーム。実際にサイトをのぞいてみると、九州産の「黒毛和牛肩ロースすき焼き用」(500g×2パック)が1万800円のところを4860円で購入できたり、お菓子やお酒が格安で売られていたり。「こんな商品も!」と眺めるだけで楽しくなってきます。
私も早速、そのすき焼き肉を購入しました。食品ロス削減に賛同したメーカーから商品が提供されるわけですが、その理由はさまざま。賞味期限切迫だけではなく、“ハロウィン限定”など季節商品やご当地限定の売れ残りの商品も多いそう。
「実は、小売業界においては納品期限があります。“暗黙の3分の1ルール”というもので、例えば賞味期間が3カ月の商品だと、製造日から数えて3分の1にあたる1カ月以内にコンビニやスーパーなどの店頭に並ばないといけない。それを過ぎると、残り2カ月の賞味期間があるのに、廃棄されてしまうんです」(関藤社長)
メーカーとしては、ブランドイメージの低下や市場価格の崩壊を懸念して、廃棄という選択をせざるを得ない。でも、廃棄するのにもコストがかかるし、焼却で環境負荷もかかるので、「誰も得をしない状況」(関藤社長)なのです。そこで、売り上げの一部が寄付にまわる「KURADASHI」に商品を提供すれば、ブランドイメージを損ねることなく、同時に食品ロス削減にも貢献できるという流れを生み出しているのです。
メーカーにとっても、消費者にとっても、寄付先である社会貢献団体にとっても“三方よし”のサービスですよね。現在、「KURADASHI」はおよそ850社と取引があり、購入価格の一部の寄付金は累計で6500万円以上も!関藤社長は言います。「消費者たちの小さな意識改革が食品ロス削減につながります。でも、楽しくないと続かない。自分のための買い物が、結果、人のためになるなんて素敵じゃないですか」
阪神・淡路大震災と商社での経験が原点。
〈クラダシ〉のオフィスには、扱っている商品がずらり。「KURADASHI」では、食品以外の雑貨や化粧品なども購入できます。
関藤社長がソーシャルグッドなビジネスを生み出す大きなきっかけとなったのが、阪神・淡路大震災と、総合商社での経験でした。「震災当時、大阪の豊中市にいました。阪神高速道路が倒れた映像などを見て、僕よりももっと大変な人がいると思って。毛布と食べ物や飲み物をバックパックにつめて、すぐに救済に向かった。でも、1人でできることには限界があった。無力感を痛烈に感じましたね」その後、総合商社に入社し、中国に駐在することになった関藤社長は、さまざまな食の現場を目の当たりにします。
「日本のコンビニで売られるレジ前のチキンを製造していたのですが、規格外のものが出来上がることもままありました。それをコンテナごと廃棄する。そんな現状を見て、これはいつか絶対に大きな社会問題になる、誰かが解決に向けてやらないといけないと思いました」そして、SDGsが採択される7カ月前、誰もが気軽に参加できるプラットフォームとして、「KURADASHI」をローンチしました。
インターンシップ制度で学生たちの思いもサポート。
〈クラダシ〉が今、特に力を入れているのは、社会貢献型インターンシップ「クラダシチャレンジ」という、人手不足に悩む地方農家に学生を派遣するプロジェクト。社会貢献活動を行うためにつくられた「クラダシ基金」から、学生の旅費交通費、宿泊費や食費などを支援。未収穫となっていた一次産品の収穫を学生に手伝ってもらうことで、食品ロス削減、地域活性を目指すものです。
「SDGsに関心がある優秀な学生が全国から集まります。その収穫品を『KURADASHI』で販売し、さらにサステナブルな環境を整えていきます」と関藤社長。私も学生だったら、ぜひ参加したかったです!
〈株式会社クラダシ〉
2014年7月設立。社会貢献型ショッピングサイト「KURADASHI」の運営を手がける。「食品ロス削減推進大賞」消費者庁長官賞など、多数の受賞歴あり。
(Hanako1202号掲載/photo : Hiromi Kurokawa text : Naho Sotome edit : Kahoko Nishimura)
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