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旬のコーヒーを楽しもう。業界に風穴を開ける、取引プラットフォーム〈TYPICA〉

Hanako.tokyo / 2022年2月15日 12時0分

旬のコーヒーを楽しもう。業界に風穴を開ける、取引プラットフォーム〈TYPICA〉

ハナコラボ パートナーの中から、SDGsについて知りたい、学びたいと意欲をもった4人が「ハナコラボSDGsレポーターズ」を発足!毎週さまざまなコンテンツをレポートします。第55回は、ライターとして活躍する五月女菜穂さんがコーヒー豆の取引プラットフォーム〈TYPICA(ティピカ)〉に話を伺いました。

世界で毎日30億杯以上も飲まれているというコーヒー。実はコーヒーの原材料であるコーヒー生豆には“旬”があり、生産地の気候風土などによって多種多様なコーヒーが存在していること、ご存知でしたか。私自身コーヒーが好きで毎日何杯も飲むので、味の違いは分かっているつもりなのですが、コーヒー豆の個性や生産者まで思いを至らせたことはなく。

今回は、生産者とロースターがコーヒー生豆を直接売買できるオンラインプラットフォーム〈TYPICA〉の代表を務める後藤将さん、そして〈東京ミズマチ〉にあるカフェ〈LATTEST SPORTS(ラテスト スポーツ)〉の宗広裕美さんへの取材を通じて、コーヒー業界が取り組むSDGsを見つめます。

コーヒー豆の取引の新しいムーブメントに!



ーー最初に〈TYPICA〉とは何か教えてください。どういった課題から生まれたサービスなのでしょうか。

後藤さん:〈TYPICA〉はコーヒー生産者と自家焙煎コーヒー事業者(ロースター)が麻袋一袋単位から直接取引できるオンラインプラットフォームです。

コーヒーロースターがクオリティの高いコーヒーを提供するためには、もちろんクオリティの高い原材料を調達する必要があります。でも、これまで原材料の調達方法はすごく限られていて、商社が大量に買い付けたストックから購入するほかなかった。

ミシュランのトップシェフは、生産者と直接つながって、最高の食材を仕入れようとしますよね。コーヒーに関しては、これまでそういった選択肢がなかったんです。だいたい決まった商社から、同じような生豆を仕入れるしかなかった。同業者とコーヒーのラインナップが被ってしまうこともザラにありました。シェフがスーパーマーケットで食材を買うしかない、というような状況です。

でも〈TYPICA〉を使えば、世界中の生産者からコーヒー生豆を直接買い付けることができる。これまでコンテナ単位(18トン)での取引が基本とされていたダイレクトトレードを麻袋一袋単位(60キロ)から行えるようになったんです。



ーー現在、どれぐらいのシェアがあるのですか。

後藤さん:サービス開始より1年で、世界12カ国2,000軒以上の生産者とロースターのネットワークを有するプラットフォームへと成長しました。世界に先駆けてローンチした日本では1,000軒以上のロースターが登録・利用しています。

世界には現在2,000万軒のコーヒー生産者がいるのですが、そのうちの67%が中小規模の生産者なんですね。彼らが今までコーヒーをどうやって販売していたかというと、生産量が10袋や20袋しかないので、商社との直接取引はできず、地元のマーケットや農協に販売していたんです。

農協は、小規模生産者が作ったコーヒー豆のそれぞれのクオリティを評価せず、その生産地のコーヒーとして混ぜて大量に流通させる。つまり、今まで小規模生産者は、自分で生産したコーヒーを自分の名前で販売するなんてできなかったし、値段を決めることもできなかった。

〈TYPICA〉は小規模生産者が自分で育てたコーヒーを自分で値段を決めて世界で流通できるチャンスを提供したんです。そこが一番ユニークなポイントだと思います。



ーー〈TYPICA〉は、SDGsの根本である「誰一人取り残さない」を体現している気がします。

後藤さん:はい。私自身、2016年に世界経済フォーラムと国連が共催したある会議に日本代表として参加した経験があり、もともとSDGsをいかにライフスタイルの基本とできるのかを議論し、ビジネスモデルを探してきました。

SDGsは17つの項目になっていますが、ブレイクダウンしていくと、本質は3つーー貧困の問題と人権の問題と環境の問題なんです。このコーヒーのビジネスは、その3つを一気に解決できると思うんです。



ーー具体的にはどういうことですか?

後藤さん:まず貧困に関しては、中小規模の生産者のうちの44%が貧困状態なんです。国際相場に左右され、彼らのコーヒーの価格は安定せず、さらに貧困状態を作り出す。かといって彼らの仕事は、コーヒー生産しかない。悪循環になるんです。

人権の問題に関しては、例えばケニア。世界でトップクラスのコーヒーを作ってるんですけど、ケニアの人は普段コーヒーを飲まないんです。僕がケニアの生産者にインタビューをして「あなたにとってコーヒーとは?」と尋ねたら、ほとんどの人が「お金のための作物」と答えた。つまり、ずっとヨーロッパの植民地として支配されてきた歴史があるので、いまだ業界として根深い構造が残っているんです。

環境に関して。大量生産を目指すと、まず森を伐採してプランテーションを作って、化学肥料や農薬を使って生産していくことになるので、環境負荷がかかるんです。ですが、クオリティの高いコーヒーを作るために何が必要かって、結局、森が必要なんですよ。日陰で完熟させた状態のコーヒーが最もクオリティが高いから。もともとある森を守りながらコーヒーの木を植えるアグロフォレストリーを採用すると、環境負荷をかけず、美味しいコーヒーを生産することができるのです。
 
この3つの問題を解決できるのが〈TYPICA〉だと思います。



ーー今後はどのようなビジネス展開を描いていらっしゃるのですか。

後藤さん:僕らは2030年までに、世界で最もクオリティの高いコーヒーが流通するマーケットを作ることを目標にしています。個性があって、鮮度が高いコーヒー生豆を、透明性がある流通方法で届けたい。〈TYPICA〉の目標が達成されれば、みなさんが“旬”なコーヒーを楽しんでいただける環境が整うということ。ぜひTYPICAのマップをご覧になって、ご近所のロースターさんに行ってもらえたら。本当にユニークなコーヒーがたくさん楽しめますよ!

〈TYPICA〉で仕入れたコーヒーを〈LATTEST SPORTS〉で飲んでみた!

〈東京ミズマチ〉にあるカフェ〈LATTEST SPORTS〉では、〈TYPICA〉を通じてエチオピアやケニアなどの生豆をローテーションしながら仕入れているそう。

〈TYPICA〉を採用した理由を、同店の宗広裕美さんは「生豆のトレースができることが魅力的ですよね。産地のストーリーが分かった方がよりコーヒーを楽しめると思うし、それだけ価値のあるものなんだと伝わるとうれしいですから」と話します。

実際に〈TYPICA〉を通じて仕入れた、エチオピアの豆のコーヒーをいただきました。ベリーのような甘さを感じ、とてもおいしいコーヒーです。「コーヒーならなんでもいいよという方もいらっしゃるんですが、まずは一口飲んでいただけたら。きっと見方が変わると思うんです」(宗広さん)。

取材に伺ったときに麻袋を見せてもらいました。ロットナンバーや産地など、コーヒー生豆の細かい情報が記載されています。冬場だと、60キロの生豆はだいたい1ヶ月ぐらいで使い切るそう。熟成させて、飲み頃のスケジュールを組んでいるのだそうです。

コーヒー生豆の生産者やロースターそれぞれのストーリーを知ると、さらに一杯のコーヒーが美味しく感じられます。ぜひ〈TYPICA〉のコーヒー豆を取り扱っている近所のロースターを探してみてください。

〈LATTEST SPORTS〉

東京都墨田区向島1-23-15
03-6240-4300
カフェ10:00〜L.O.21:30、ボルダリング(平日)12:00〜23:00(土日祝)10:00〜21:00
不定休
https://lattest.jp/

過去の連載はこちら


SDGsを正しく学べる!ハナコラボSDGsレポート一覧

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