万願寺とうがらしや聖護院大根も。規格外野菜を乾燥させた〈OYAOYA〉
Hanako.tokyo / 2022年3月5日 12時0分
ハナコラボ パートナーの中から、SDGsについて知りたい、学びたいと意欲をもった4人が「ハナコラボSDGsレポーターズ」を発足!毎週さまざまなコンテンツをレポートします。第56回は、ライターとして活躍する五月女菜穂さんが乾燥野菜ブランド〈OYAOYA〉に話を伺いました。
ちょっと形が歪だったり、傷がついてしまったりした規格外野菜。それらの多くが破棄されてしまう現状を変えようと、規格外野菜を乾燥野菜として売り出す〈OYAOYA〉という京都発のブランドがあります。
3月7日から14日まで、東京〈有楽町マルイ〉にも出店するそう。どんな想いでブランドを立ち上げたのか、〈OYAOYA〉代表の小島怜さん(23)にお話を伺いました。
きっかけは、京都北部の農家との出会いがあったから
ーー〈OYAOYA〉を立ち上げられたきっかけを教えてください。
「僕は大学時代に農業の研究をしていました。愛媛県の有機みかん農家に出向いて、農業が地域にどう影響を与えるかを研究していたんです。『僕が生まれ育った京都ではどうだろう』と色々な農家さんを巡っていくと、担い手が高齢化していたり、そもそも農業の存続が危うかったり。課題がたくさん見えました。
話を聞いていくと、規格外野菜が全収穫量の3割程度あり、多くが廃棄されていることが分かりました。規格外野菜の課題を解決しようとしても、生の状態だと輸送費がかかってしまったり、途中で腐ってしまったりする。そこでたまたま出会ったのが、〈エチエ農産〉でした」。
「京丹後市で農業を営む〈エチエ農産〉は、規格外野菜を乾燥野菜やパウダーに加工する事業を手掛けていた。ただ、飲食店への卸しや道の駅での販売など、販売ルートが限られていて、あまり広がっていなかったんですね。
実際、食べてみると、カップ焼きそばに入れるだけでも、本当に野菜がたくさん食べられるし、便利でおいしかったんです。その出会いから〈OYAOYA〉がスタートしました。ざっくりいうと、製造を〈エチエ農産〉などが担い、〈OYAOYA〉が販売やブランディングをしているというイメージです。
ちなみに、〈OYAOYA〉という名前は、『八百屋』に京都らしく『お』をつけたことが由来です」。
ーー廃棄されてしまう規格外野菜を乾燥野菜にするというのは、本当にいいアイディア!
「規格外野菜の廃棄を減らすということでもフードロスにつながるのですが、特に一人暮らしをしていると、野菜を余らせて、腐らせて、廃棄する経験があると思うんです。でも乾燥野菜ならば、常温で半年くらい日持ちしますから、家庭内でのフードロスにも貢献できるんですよ」。
ーー小島さんは京都ご出身ということで、京都北部の農家さんとのつながりはもともとあったのですか?
「正直、この事業を始めるまで、北部に行ったことがありませんでした。僕自身はずっと京都市内に住んでいて、コロナ禍が始まったタイミングはまだ大学生で、本当に暇でして…。京都市内と北部の間にある福知山という地域で、友人がシェアハウスをしていたので、そこに行ったときに農家さんとの接点が増えたんです」。
ーー大学でも農業を研究されていました。食や農業に関する関心はどの辺りから?
「僕は小さい頃から『農業をしたい』と言っていたらしいです。個人的に野菜が好きだったということもあるのでしょう。
それから、大学時代に祖母が糖尿病になりまして。自分自身もいつか病気になったら、おいしいものとか食べられなくなってしまうのではないか。旅先でのおいしいご飯やお酒を我慢しなくてはいけないのか。それは嫌だなと思って、食や添加物に興味を持ったんです」。
ーーなるほど。〈OYAOYA〉の乾燥野菜はどう製造するのですか?
「加工方法としては、今十数軒の農家さんと連携していて、基本的に京都の北部の規格外野菜を集めてます。集めた野菜は、農家さん自らカットしてくださることもありますし、福祉施設に協力いただいてカットすることもあります。そして、エチエ農産の乾燥機で、40度で40時間ほど低温でじっくり乾燥しています。〈エチエ農産〉主体ではありますが、定期的に僕も手伝いに行っています」。
ーー私のイメージだと、乾燥野菜はカップ麺に入っている小さなネギみたいなイメージなんですが、やはりそれとは違いますか?
「そうですね、カップ麺に入ってるかやくは乾燥野菜の端くれ。かやくに比べると、しっかりと大きいです。また、大規模なメーカーがつくった乾燥野菜は70度で2時間だけ乾燥させているだけだそうですが、低温でじっくり乾燥することで、そのまま噛んでもおいしいし、出汁が出るのが特徴です」。
ーー今はどれぐらいの種類があるのですか?乾燥が難しかった野菜はありますか?
「パッケージがあるもので15種類ほどあります。万願寺とうがらしや聖護院大根、京くれないなど、京都らしい野菜もたくさんあります。
ジャガイモとサツマイモは、乾燥させてもおいしくなかったですね。乾燥が難しくて苦労した野菜は、正直、今までありません。農家さんが『こんなの乾燥させてみたよ』と新しい野菜を持ってきてくださるのですが、どれもおいしいです」。
ーークラウドファンディング「Makuake」では目標を大きく上回る500%を達成
しました。
「はい。そもそもの目標額を低めに設定していたのもありますが、京都以外の人にも関心を持ってもらって。ここまでの反響には驚きました」。
ーー今後はどちらで購入できますか?展望も合わせて教えてください!
「基本的に自社のECサイトで販売していますが、直近では3月7日から14日まで〈有楽町マルイ〉に出店します。初めての京都以外での販売となりますので、ぜひ遊びに来てください。
今後は、ドライフルーツの販売を考えています。最近だと、長野県の若手りんご農家さんと出会いました。そこでいただいたドライリンゴは、サクサクで美味しく思わず笑みがこぼれるほどでした。そちらの展開も楽しみにしていてください」。
〈OYAOYA〉
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