フラットな人間関係を築くコツは、 お酒を楽しむ姿を思い浮かべること。|〈サントリースピリッツ〉執行役員・鈴木あき子さん
Hanako.tokyo / 2022年4月28日 12時0分
仕事の転機は、努力で掴み取ることもあれば、突然おりてくることもある。チャンスをものにするには、日々どんな準備をしておけばよいのか。月イチ、不定期アップ、Hanako編集長によるキャリアインタビュー。第一回は、サントリースピリッツ株式会社 執行役員 RTD・LS事業部長 鈴木あき子さんです。
鈴木あき子さんは、1992年サントリー入社。西東京支店、ビール事業部を経て、2001年 宣伝事業部配属。15年 サントリースピリッツ宣伝部長、18年サントリーコミュニケーションズ宣伝部長、2020年1月より現職についています。
「就職活動は、化粧品と食品を中心にメーカー志望で動いていました。自分の生活の中にある”モノ”。それを作り、販売する。仕事の中身が明快で、自分が働いているイメージがしやすくて興味を持ちました」
就職して、今年で30年目。キャリアを重ねる中で、様々な分岐点があったが、最も大事な時期だったと語るのが、最初の配属先の西東京支店だという。
がむしゃらだったから得られたもの。
「西東京支店では営業をサポートする仕事をしていました。『ザ・カクテルバー』が発売された時期ですね。古い話です、その当時は、手形や現金で取引をしていたのです。それを口座振替に変えるプロジェクトを推進することになりました。取引先にその旨をお願いする前に、私が担当する自社の営業チームに理解してもらう必要がありました。入社2年目の未熟な私が、大先輩たちにその説明をするんです。最初は『今のままでもいいのでは? 直接お金を回収することでわかることがいろいろあるんだ!』と諸先輩に言われて。そのとき、とにかく心がけたことは、営業チームが取引先に説明する際、手間のかからない資料を用意することでした。自分が行くことのできない最前線で働く人達に、どうやったらスムースに動いてもらえるか。いろいろな人が集合体として動く、それをどんな工夫でより良いシステムにするか。これらを実感できたのは、貴重な体験でした」
いままさに話題のDXに戸惑う同僚をどう説得するか。答えは、鈴木さんが語るように、便利になる、という結果の押し付けでなく、そこに至るプロセスを具体的に丁寧に説明する、当たり前のことを怠けずにやるということだ。
「論理的に一生懸命話す努力はしていました。でも、今で言うDX(当時は現金や手形口座振替)を推進してくれた大先輩が、その理由を『あきちゃんが、すごい頑張ってるからさ』と。実は、人を動かしたのは一生懸命さだったんだな、という(笑)。これもひとつの真理ですね」
初めて部下ができて、考えたこと。
2011年ビール事業部で課長昇進。3人の部下ができる。
「部下は新入社員の女性と中堅の男女でした。サントリーの社員は、私も含め、自分の仕事に邁進するタイプが多いんです。新人も”習うよりも慣れろ”。でも、新入社員を全員でフォローする仕組みを考えてみたんです。するとベテランも同時に成長する。商品化も宣伝も、絶対にヒットする! という保証のない仕事ではあるので、若手も中堅社員も、仕事の中身で必ず不安はあると思うんです。その不安にどう寄り添えるかですね。マイクロマネジメントはしませんが、ちょっとした声がけは、欠かしてないつもりです」
今は、40人ほどの部下がいる鈴木さん。部下の人数が増えても、基本スタンスは変わらない。
「仕事のことでちょっと強くアドバイスをしなければならないことってありますよね。相手は叱られていると思ってしまうかもしれない。若いときの自分もそういう経験を何度もしています。だから強く言うのは会議室の中だけ、と決めています。そして外にでたら、まったく関係のない雑談をすぐにします」
誰に対してもフラットで、話しかけやすい上司であり、そして頼りがいのある上司だと、社内でも評判の鈴木さん。
「誰かを先入観で判断することはないですし、なにより、嫌いな人がいないんですよね。みんなが苦手だーっていう人も、あんまり気にしないというか。仕事の場では怖そうな人も、食事やお酒の席ではニコニコしたりするじゃないですか。かわいらしい人間性が出てくる。仕事柄、酒席が多いんですが、そういう体験、何度もしているんですね。だから、どんな強面の人も、そっけない人も、家に帰ったら、食事の時は、お酒を飲んだら、この人どういうふうになるんだろう? って想像するだけで、怖いとかっていうのなくなってしまいますよ」
コロナの中で、お酒の役割を考える。
コロナをきっかけに飲食店でお酒を飲む機会が減っている今。社会的なアゲインストの中、鈴木さんはじめ、サントリーの社員たちは、なにをどう考えているだろうか。
「お酒で生活が豊かになることってきっとあると思うんです。コミュニケーションを活発にする、人間らしくいられる、ごはんはお酒と一緒がやっぱりおいしい! とか。家で飲む機会が増えてきて、あらためて思うのは、お酒は一日を終えたという満足感に寄り添う存在、そして自分への癒やしというものですね。だから、これまで以上に、サントリーの強みである原料酒づくりとブレンド技術でできたちょっと良いお酒を作っていきたいと思っています。今、私が担当しているお酒『翠 SUI』や『CRAFT -196℃』などを飲んで、ぜひ贅沢な気分になってほしいと思います」
鈴木さんの愛用品は腕時計。
「課長級の資格に昇進したとき、自分へのご褒美に買った時計です。たしか2009年のクリスマス限定モデルです。時計は、流行り廃りもあまりないので、節目に時計を自分へのプレゼントに選んだのは本当によかったと思っています。今も毎日つけていて、これを見るたび、初心を思い出します」
今回お話しを聞いたのは…
鈴木あき子/1992年 サントリー入社。西東京支店、ビール事業部を経て、2001年 宣伝事業部配属。15年 サントリースピリッツ宣伝部長、18年サントリーコミュニケーションズ宣伝部長、20年1月より現職。RTD(=Ready to drink。缶入りのカクテル・チューハイなど)と瓶リキュール・スピリッツカテゴリーを担当し、商品開発から営業・宣伝まで、バリューチェーン全体をマネジメントする。
インタビュー&文・杉江宣洋
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