生産者が抱えるリスクを分散し、新しい食循環を提案するコミュニティ支援型農業「CSA LOOP」
Hanako.tokyo / 2022年4月28日 15時0分
ハナコラボ パートナーの中から、SDGsについて知りたい、学びたいと意欲をもった4人が「ハナコラボSDGsレポーターズ」を発足!毎週さまざまなコンテンツをレポートします。第59回は、エディター、ライターとして活躍する大場桃果さんが、コミュニティ支援型農業「CSA LOOP」を主宰する〈株式会社4Nature〉の平間亮太さんと、その取り組みに参加する〈冨澤ファーム〉の冨澤 剛さんに取材しました。
CSAとは、Community Supported Agricultureの略。“地域支援型農業”や“コミュニティ支援型農業”と呼ばれ、アメリカやヨーロッパを中心に拡大している取り組みです。消費者が特定の生産者に対して一定期間分の代金を事前に支払うことで、農家が安定した資金を手元に蓄えられるようになり、悪天候などによる不作のリスクに対応しやすくすることを目指しています。消費者側は年間を通して連携する農家とコミュニケーションを取り、新鮮でおいしい野菜を手に入れることができるほか、他のメンバーとの繋がりが生まれていくというメリットも。「CSA LOOP」は日本の都市部のライフスタイルに合わせて受け取りの拠点を地域の飲食店などの場所に設定し、さらにLOOP(食循環)を掛け合わせた、新たな取り組み。家庭の生ごみから作った堆肥を農家に預け、その堆肥を使って作られた野菜を受け取るという循環を目指し、都市部で問題視されている生ごみ削減の課題にもアプローチしています。
ーーまずは、「CSA LOOP」という取り組みを始めた経緯について教えてください。
平間:僕が代表を務める〈4Nature〉はもともとマーケットの主宰や運営支援を行なっていたのですが、そこで農家さんたちと話す中で、みんなこだわりを持って野菜を育てているけれど、販路が充実していないということを知ったんです。そこで、既存の流通を介さずに適正な価格で直接販売することで農家さんたちを応援したいと思い、「CSA LOOP」を始めました。消費者においしい野菜を提供し、生ごみの循環も実現できたらいいなって。
ーーパートナーとなる農家さんはどのように探していったのでしょうか。
平間:ファーマーズマーケットに出店してもらっていた方々もいますし、今回新たにお声がけした人もいます。若手の方や、新規就農者が多いですね。今回の取り組みについて相談すると、みなさん「CSAって聞いたことあるけど、難しいよね」って。
ーーたしかに、自分でCSAを始めようと思うとかなり大変ですよね。冨澤さんは最初に「CSA LOOP」の説明を受けた時どのように感じましたか?
冨澤:資源や経済の循環に興味があったので、とても良い取り組みだなと思いました。こういうビジネスモデルがあることは知っていたのですが、自分一人でやるのは無理だと感じていたので、一緒に始められてよかったです。
左から平間亮太さん、冨澤 剛さん。
ーー普段はどのような販路で販売しているんですか?
冨澤:農園の近くに無人販売機を置いているのと、地元の直売所がメインです。あとは、学校給食や飲食店にも卸しています。
ーー野菜を育てる際のこだわりを教えてください。
冨澤:みなさんに安心して食べてもらいたいので、GAPという第三者認証を取っています。ただ、安全であることは本当に最低限の当たり前だと思っていて。そこにプラスする取り組みとして、地域と連携して作った堆肥を活用したり、環境に負荷をかけない野菜づくりを心がけています。家庭で作った堆肥の使い道に困っていた人も多いようで、引き取るだけで喜んでもらえたりするんですよ。
平間:自分の生ごみが堆肥になることによって、普段の食生活やごみ分別への姿勢も変わっていくんですよね。自分が食べるものに直接繋がると思えば、ごみについてちゃんと考えるようになるし、スーパーで手に取る食材も自ずと変わるような気がします。
ーー「CSA LOOP」では、利用者が生産者の元を訪れる“援農”も行っていますね。
冨澤:つい先日もメンバーさんが畑へ来てくれました。雑草を抜いたり切り株を片付けたり、地味な作業ばかりですけど、みなさんに手伝ってもらえるととても助かります。僕の畑は毎月第4土曜日にオープンデーを設けていて、誰でも気軽に農業に参加してもらえるようにしているんです。いつも10〜20人くらい来てくれて、何度も訪れている方は参加者をまとめるリーダー的存在になってくれています。
ーー「CSA LOOP」のユーザーとの繋がりが深まれば、ゆくゆくはそうやって組織的に農業をやっていくこともできそうですね。
冨澤:そうですね。そうやって、より深く、楽しく付き合っていけたら嬉しいです。
平間:都内の貸し農園がどこも混み合っている中、農との新しい関わり方としても「CSA LOOP」を受け入れてもらえるのかなと期待しています。
ーーやはり、経営面でも変化を感じていますか?
冨澤:1年分の代金を先払いしてもらえるので、それを元手に安定した生産をできるようになりそうだと感じています。その分、責任も大きくなりますけどね。絶対に失敗できないなと、背筋が伸びる思いです。
ーー野菜の受け渡しの拠点となる飲食店はどのように見つけて行ったのでしょう。
平間:僕らの会社は「CSA LOOP」のほかにサトウキビを精糖化する際の搾りカスをアップサイクルしたストローを展開しているので、そのお取引先であるお店から声をかけさせてもらいました。コロナ禍をきっかけに、飲食店の方々もこれまで以上にローカルに寄り添うビジネスを目指しているような感覚があるので、「CSA LOOP」を通じて近隣の常連さんを増やしてもらえたら嬉しいですね。
ーー最後に、「CSA LOOP」としての今後の目標を教えてください。
平間:会社のミッションとして“ビジネスの力でバランスの取れた優しい世の中へ”を掲げているのですが、それは一言で言うと、自律分散型社会の実現です。社会問題は地域ごとに違うし、農業に限らず、それぞれのコミュニティが抱える課題について話し合うことができたらいいなと。僕らは野菜の受け渡しの調整や、農家さんとユーザーさんのコミュニケーションのサポートをしているのですが、本来はそこに僕らが介在しないことがゴールなのかなと思っていて。僕らが何かアプローチするよりは、農家さんと飲食店さんがタッグを組んで新しい取り組みを始めたりだとか、自律して課題を解決することができたら素晴らしいなと思います。こうでなくちゃいけない、という決まりもないので、「CSA LOOP」の各拠点が自由に発展していったらいいなと期待しています。
「CSA LOOP」
「CSA LOOP」の詳細・資料請求はこちら
公式Instagram:https://www.instagram.com/csaloop/
株式会社4Nature:https://4nature.co.jp
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