CO2排出実質ゼロ!環境に配慮した工場で「サントリー天然水」が作られるまで
Hanako.tokyo / 2022年5月17日 12時0分
ハナコラボ パートナーの中から、SDGsについて知りたい、学びたいと意欲をもった4人が「ハナコラボSDGsレポーターズ」を発足!毎週さまざまなコンテンツをレポートします。第60回は、ライターとして活躍する五月女菜穂さんが、長野県にある〈サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場〉を見学してきました。
きっと誰もが一度は飲んだことがあるであろう「サントリー天然水」。この「サントリー天然水」ができるまでを楽しく学び、その魅力を五感で感じられる初のブランド体験型施設が2022年5月14日、長野県大町市にオープンしました。
先日、施設をひと足先に見学する機会をいただきました。どんな施設なのか、そしてどんなSDGsへの取り組みがなされているのか。体験してきたことをレポートします。
生産拠点だけでなく、五感でブランドを体感できる
花崗岩由来のミネラル成分が豊富な乳川。
JR長野駅から1時間半弱ほど車を走らせたところに〈サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場〉はあります。ここでは、昨年5月に生産を開始し、同年6月末より「サントリー天然水」を出荷。山梨県の南アルプス、熊本県の阿蘇、鳥取県の奥大山に続く第4の水源で、北アルプスの自然に囲まれた場所にあります。
この工場がおもしろいのは、生産拠点という役割に加え、「サントリー天然水」のブランドや水の大切さについて五感で体感できる役割も担っているということ。まず駐車場から施設に向かうと、北アルプスに源流を持つ乳川(ちがわ)を眺めることができる〈乳川テラス〉や、まるで深い地下にいるような気分に浸れる〈青のトンネル〉といったスポットがあります。
〈青のトンネル〉。
〈青のトンネル〉の外観。
特に〈青のトンネル〉はとても贅沢な空間。打ちっぱなしのコンクリートの建物の長い廊下があって、青くライトが光っているだけ…と思いきや、地上に降り注いだ雨や雪が地面に染み込んで、地下水となるまでの約20年という長い時間を思わせてくれる空間でした(暗闇から光が見えてきたときのうれしさと言ったら!)。
〈緑の散歩道〉にあるベンチ。
木漏れ日が美しい〈緑の散歩道〉を歩いた先には、木のぬくもりを感じる〈天然水ハウス〉があります。ここではレセプションルームのほか、水にまつわる展示がされていたり、オリジナルグッズの販売がされていたりします。
〈天然水ハウス〉。
水に関する展示がされています。
展示によると、〈サントリー〉はグローバルで使用するすべてのペットボトルの素材を、2030年までにリサイクル素材と植物由来素材に100%切り替え、化石由来原料の新規使用ゼロを目指しているそうです。
〈ものづくり棟〉。
そして、いよいよ生産拠点が間近で見られる〈ものづくり棟〉へ。
ツアーの始まりは縦8メートル、高さ6メートルの「ウォーターシアター」。どのようにおいしい天然水が生まれるのか、長い長い水の旅のストーリーが簡潔に紹介されました。
続いては、北アルプスの自然と天然水のつながりを説明するコーナーや、汲みあげた天然水を製品にしていく過程を追うコーナー。
医薬品工場と同レベルの無菌環境で天然水をボトルに入れていることや、「サントリー天然水」のボトルラベルは国内最薄で、材料の80%に再生PET樹脂が使われていること、化学検査などのほか、五感を使って水に異常がないか調べる官能検査が行われていることなど、知らないことだらけでした。
特に官能検査は、25mプール分の水の中に、目薬1滴分の違う液体が入っても違いに気づくぐらいの鋭さだそう!試験をクリアした一部の検査員しかできないそうです。
コックピット。
リアルタイムで製造工程が見られる。
〈ものづくり棟〉の一番奥にあるのは、実際の製造現場を見学できる「コックピット」。エアーシャワーが擬似体験できるほか、リアルタイムで製造工程を見られました。
〈サントリー天然水 北アルプス 信濃の森工場〉は、環境配慮型の工場としても注目されています。工場を稼働させるためのエネルギーは、太陽光発電やバイオマスボイラーなどを使っているといいます。ちなみに、バイオマスボイラーに使用するウッドチップは地元の森林組合などから供給を受けていて、地域での循環もポイント。こうしたCO2排出実質ゼロ工場は、〈サントリー〉の国内工場では初めてです。
工場内で使用する水についても工夫がなされています。これまで常時同じ割合で汲み上げていた地下水ですが、細かく揚水量を調整することでロスを最小限にしているそう。そして、水資源の持続可能性を維持・向上するため、森林保全に取り組んだり、次世代の子どもたちに「水育」を実施したり。水のサステナビリティに本気で取り組んでいることが伺えました。
次世代型ファクトリーとして、デジタルトランスフォーメーション(DX)を促進していた点も興味深かったです。
例えば、商品1本ごとに製造・検査履歴情報と品質情報を紐づけて統合管理したことで、万が一、エラーが起きた場合に迅速にトレースできるようにしたそう。これまでもデジタルの技術は応用していたものの、情報が統合されていなかったので、エラー原因究明に時間がかかってしまっていました。しかし、この新しいトレース手法では、従来の10分の1の時間で原因究明が可能に。生産性の向上に寄与しています。
また、工場内に小型無人搬送ロボットを導入。廃棄品や副資材の搬送を自動化させることで、さらなる効率化をしているということでした。
眺めのいい授乳室。
眺めのいい場所で飲む「サントリー天然水」はまた格別!
一通り製造過程を見学した後は〈アルプス テラス〉へ。「サントリー天然水」のラベルにも描かれている餓鬼岳(がきだけ)を眺められるスポットです。ちなみに、珍しいと思ったのは「授乳室」。多くの授乳室は人目を避けて、閉鎖的な空間であることが多いのですが、ここでは北アルプスの眺望が楽しめる授乳室となっています。授乳中のママたちもリラックスできそうですよね。
工場見学ツアー参加者限定で、ネーム入りのオリジナルボトルもプレゼント。ひらがな・カタカナ5文字以内もしくはアルファベット8文字以内でネームを入れることができるので、いい記念になりそうです。
〈みずのわ広場〉。
北アルプスの天然水のかき氷も夏限定で販売予定だそうです。
施設内には、のんびりと開放感のある〈みずのわ広場〉や、地元の食材・天然水をつかったメニューが自慢の〈みずのわカフェ〉も併設されています。大人も子どもも楽しめる施設になっているので、ぜひ訪れてみてください。
〈サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場〉
長野県大町市常盤8071-1
050-3182-7911
9:30~16:30(最終入場15:30)
月火休、工場休業日休(冬季休業・臨時休業あり)
※冬季休業:1~3月、12月
※時期によって変更になる可能性あり。最新情報や予約方法はホームページを参照のこと。
公式サイトはこちら
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