センスのいい人に学ぶ、心地よい部屋の工夫。|〈Latina〉バイヤー・吉本紗代『賃貸でも自由に楽しむ家。』
Hanako.tokyo / 2022年6月12日 17時31分
物件そのものの良さだけでなく、素敵な部屋には家主の持つさまざまな“工夫”がちりばめられています。実例をお手本に、センスアップのヒントを学びます。今回は、〈Latina (ラティーナ) 〉バイヤー・吉本紗代さんのお部屋をご紹介します。
「寝室の家具は、あえて身近なものでと考えて、〈IKEA〉のものが中心」と吉本さん。壁紙に加え、ミッドセンチュリーの照明を合わせることで、上質な雰囲気を醸し出している。ベッドサイドにはジャケ買いの洋書。
家の主役ともいえる絵は、ショップの顧客でもあるアーティストに描いてもらったもの。「頭に思い浮かぶ黄色の濃淡のイメージを伝えたら、想像以上の仕上がりに」。貼るタイプの小さなフックに掛けられている。
大きな窓から注ぐ陽射しとイエローの絵が印象的なリビング。クラシックホテルを思わせるベッドルーム。和室だった雰囲気をまったく感じさせないワークルーム。訪ねたのは、賃貸マンションでも自分らしさを諦めることはないと教えてくれる部屋。
『賃貸のレトロさを活かす。』「独立型のキッチンの棚の扉はホーロー製。取っ手のデザインも含め気に入ってます」。デザイナーズマンションならではの意匠が、30年経った今見ると新鮮!
結婚を機に、この家で暮らし始めた吉本紗代さん。「横に広いリビング、窓が多いこと、独立したキッチン。この条件は譲れないと、とにかく粘って。ここは入った瞬間、光の入り方が気に入って即決でした」。横長のリビングダイニングには、東と南に掃き出しの窓が3つあり、採光は抜群。柔らかな踏み心地のカーペットが、上質なくつろぎを感じさせる。「床は海外の内装を思わせるカーペット敷きに。ほっこりした空間は嫌で、木製ブラインドもマストでした。夫には、賃貸なのにオーダーするなんてと驚かれましたけれど」
『間接照明を含め、照明はお気に入りのものを配置。』カッティングガラスのペンダントや、ラルフローレンのランプシェードなど、とりわけ大好きだという照明は何度もショップに足を運んで選んだものばかり。
『グリーンは大きなものを置く。』「ものを増やさず、すっきりした暮らしも心がけていることのひとつ。だからこそ大きな植物が引き立つのでは」。アスプレニウムは吉本さんのお気に入り。
『クッションカバーは輸入モノで揃える。』クッションカバーなど、自分のイメージどおりのものを探すには、グローバルなハンドメイドマーケットプレイス〈Esty〉を利用することも多いという。
洋服の買い付けをする父に子どもの頃から連れて行ってもらったアメリカや、大人になってからの旅先、映画や洋書などが吉本さんのイメージの源。「古いものが好きだけど、それだけでは気の流れがよくないから」と、シンプルに仕立てた空間を彩るのは時代もテイストも様々な家具や照明。とはいえ、どれもが最初からそこにあったようになじんでいる。「インテリアショップを巡るのが大好きで。でも欲しいと思うものに出合っても、すぐには買いません。ずっと大事に使ってあげたいから、何回も店に足を運んだり、撮った写真をプリントして切り貼りして、イメージを膨らませてから、ようやく買うんです」。アンティークからオーダーまで、雰囲気の異なるアイテムが不思議と調和するのは、子どもの頃から培われたセンスのたまものだ。
『和室は壁紙を張って洋室にチェンジ。』淡いトーンの壁紙にベージュのカーペットで洋室へと変化した和室。窓は上半分が透明のため、ロールスクリーンを取り付けて、外の景色をカットしている。
ベッドルームや和室だったワークルームは剥がせる壁紙を張ることで雰囲気を一変。「寝室はモダンな空間にしたくて、輸入壁紙を扱う専門店で手に入れた壁紙を張ることに。柄の張り合わせはとても難しくて苦労したけれど、壁紙のパワーを実感しました」。のちに和室にも壁紙を張り、リビングと同じカーペットを敷くことでトーンを揃えた。リビングに飾られた絵や、家のあちこちを彩る観葉植物も大きなものをセレクト。インパクトのある絵やグリーンが、“らしさ”を強調する。暮らして6年が過ぎた今も完成ではなく、「次に欲しいのはモロッコのオーダーラグ」と吉本さん。とどまることなく進化し続けて、同時に“らしさ”が色濃くなってゆく。「分譲物件ではないのが残念ですが、今は大好きなこの家を楽しみつくせたら」
【DATA & PROFILE】
【PROFILE】
よしもと・さよ/1987年大阪府生まれ。父が立ち上げた国内外の洋服を扱うセレクトショップ〈Latina〉を受け継ぎ、バイヤーとして運営する。趣味は料理とキャンプ。
【DATA】
人数:2人暮らし
所在地:大阪府内 駅徒歩15分
築年数:30年
居住歴:6年
(Hanako1209号掲載/photo : Yoshiki Okamoto text : Mako Yamato)
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