フルリノベ物件を拝見!「どこにいても風と光が感じられるように、壁に遮られた部屋は作らないと決めた」
Hanako.tokyo / 2022年6月16日 18時0分
マンション選びに始まって打ち合わせから完成まで、自分の“理想の家”を実現させるのが、フルリノベーション。フルリノベ部屋に住むハナコラボ パートナーの実例を紹介。今回は、フリーアナウンサーで、不動産とIT関連会社〈ツクルバ〉のコミュニティマネージャーとしても活躍する和田早矢さんのお家を見せていただきました。
【DATA】
・総工費:約900万円
・広さ:50㎡
・人数:3人暮らし(夫/0歳児)
・築年数:37年
・所在地:東京23区 駅徒歩3分
・居住歴:1年半
南西の窓から、一日中明るい光が入るLDK。スケルトンにして天井高を出し、壁や天井は塗装の質感に近いクロスを張っている。家具も照明器具も、リノベーションをする日のために買い集めてきたものだ。
目指したのは「風と光がめぐる部屋」。フリーアナウンサーで、不動産とIT関連会社〈ツクルバ〉のコミュニティマネージャーとしても活躍する和田早矢さんは、〈ツクルバ〉の同僚でもある夫と、築37年のマンションをフルリノベーション。新耐震基準をクリアしていること、窓が多いこと。マンション選びにも明確な条件があった。
カーテンは風と光を通すものに。/前から憧れていたという〈ツールボックス〉のガーゼカーテンは、ヒダの取り方が絶妙。やさしく風と光を通す。呼吸するように揺らぐ様子が部屋の空気を穏やかに。
南西に向いた広い開口部から、明るい日差しと初夏の気持ちいい風が入る。交通量の多い大通り沿いのマンションだが、8階建の最上階ということもあり車の音も気にならない。「風通しのいい部屋にしたくて、なるべく窓の多いマンションを選びました。光の入り方にもこだわりがあって、光が入らない場所にいると気持ちが沈んでしまう。窓の位置や大きさは大事なんです。ここは南西の眺望のよさに加えて、北東の玄関側にも窓があったことも決め手になりました」という。
経年変化を楽しめる素材を選ぶ。/真鍮とガラスを使ったペンダントライトは、工芸作家・安土草多さんの作品。寝室との境のガラスの引き戸はシルバーに塗装した鉄のフレーム。使うほどに味が出る。
壁で空間を仕切らない。/「風の通らない部屋は作らない」と決めて、収納の高さも天井より低くして上を素通しにしている。風だけでなく、間接照明の光もやわらかくまわすことができる。
そしてもうひとつ、和田さんが絶対条件にしたのが、1981(昭和56)年以降に建設されたマンションであること。建築基準法の耐震基準が切り替わった年だ。「高知県出身なので、子どもの頃から南海トラフ地震に備えた防災教育を受けてきました。新耐震基準で造られていることは、マンション選びの大前提」という。その点においても、1985(昭和60)年竣工のこのマンションは条件にかなっていた。
既存の間取りは全部壊して、床、壁、天井すべてスケルトンにしたところから改装した。南西に面した広いLDK、北東側に、造り付け収納をはさんだ廊下と寝室、洗面室、風呂とトイレ。それぞれの部屋は壁で仕切った個室にせず、引き戸でつなげる、作り付け収納の上に隙間を設けるなど、風が抜けて光が奥まで届き、どこにも空気が淀むことのないプランになっている。内装には、チークの床、アイアンフレームのガラス扉、真鍮(しんちゅう)の照明器具や取っ手など、使うほどに味が出る素材をふんだんに使った。
キッチンは吊り棚で見せる収納。/梁に固定した金具で板を吊り、棚を作った。食器は棚の上にそのまま並べて、毎日使うキッチンツールは棚の下に吊るしている。見た目も楽しく取り出しやすく。
キッチンもインテリアの一部と考えて、床や洗面室の扉に合わせて木で統一感を出せるように、〈ツールボックス〉のシステムキッチンを選んだ。食器は「一度やりたかった」見せる収納にして、天井から吊った棚に並べている。家電も見せることを前提に、黒いもので統一した。「家具も深い木の色のものが好きで、ここに越すことを前提に買い集めてきました」。
ヴィンテージとヴィンテージっぽいものを組み合わせて、永く使えるものを選んだ。改装にあたっては、夫とともに「ピンタレスト」で好きなインテリア写真などを集めて設計者に送り共有したというが、夫と意見が分かれて紛糾することはなかったのだろうか?「それはあんまりなかったですね」と二人で顔を見合わせる様子は、拍子抜けするほど息が合っている。
ライティングレールは長めに。/LDKと寝室の天井に長めのライティングレールを設置。ペンダントライトの位置を自在に変えられるだけでなく、観葉植物などを吊ることもできる(右ページ)。
憧れのリノベーションが実現して大満足の和田さんだが、昨年子どもが生まれ、少しずつ荷物が増えて手狭になってきた。夫がリモートで仕事をするために作ったコーナーも、いまはベビーベッドを置いている。「実はここを売って、新たな場所に引っ越すことを考えています」と、衝撃の告白。「ものすごく気に入ってるんですけど、子どもの成長を考えると、もう少し広さが欲しい」のだとか。不動産のプロならではの行動力ともいえるが、リノベの楽しさに目覚めた和田さんとしては「まだまだやってみたいことがあるんです」と、早くも次なる改装計画に大きな夢を膨らませている。
Profile…フリーアナウンサー・和田早矢(わだ・さや)
ふるさと高知の地元テレビ局のアナウンサーを経て、フリーに。〈ツクルバ〉のコミュニティマネージャーとして、地域支援の活動などにも関わる。
(Hanako1209号掲載/photo : Keisuke Fukamizu text : Yuka Sano)
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