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鑑賞したくなるパン屋さん!吉祥寺〈ダンディゾン〉のパンをテイクアウト

Hanako.tokyo / 2022年8月4日 12時0分

鑑賞したくなるパン屋さん!吉祥寺〈ダンディゾン〉のパンをテイクアウト

吉祥寺駅から10分ほど歩くと出会える、植物に縁取られた硬質な建物。前にすると、パン屋さんというよりも美術館に訪れたときのような少し背伸びをしたくなる心持ちが芽生えます。まずは、お店に続く地下への階段を一段一段、美しく丁寧に降りてみようかな(影響されやすい人)。

特別なパン時間を求めて

落ち着いた灯りの店内は、外の植物のグリーンが溶け込んだ自然光が入り静謐な雰囲気。透明なガラスのショーケースにはパンが宝石のようにきれいに並べられています。隣ではパンを作る職人の皆さまの作業風景がよく見えて、なんだかパンのショールーム兼アトリエにお邪魔している気分に。
HPのトップに書かれているメッセージは「ときどき食べるパンだから」。日常のパンというよりは、お店に入る所からどこか特別な時間が始まるお店。説明にある“国産小麦を使い、人の手で生み出されるおいしさや感動を大切に丁寧に作るパンのお店”がそのまま感じられるパン屋さんです。北海道産小麦を使っていらっしゃるパンが多いのもとても好みの雰囲気。ハード系のあの子は帰ってすぐいただいちゃおうっと。

「ピスターシュ」

ぷっくりホクホクなピスタチオ。

え?出汁が入っている?って聞きたくなるほど、はっきりとしたアミノ酸を感じる旨味が一口目から大放出で、噛めば噛むほど滲み出てきます。あなた、もしかしてあたりめか何かですか(そんなわけない)?もちもちであり歯切れもよい生地は、絶妙な塩梅の柔らかさで“弾力”という言葉未満の引きが心地いい。ローストされほっくりとしたピスタチオは、普段何気なくぽりぽりしているあの子とは違う顔。生地に香味を纏わせて、片時も離れずついてくる塩気の主導権を握っています。角のとれた塩気は旨味とともにぐんぐんと体へと染み込む。お吸い物レベルの澄んだ出汁感に、フランスパンを食べているはずがお正月を思い出してしまうという感覚のバグが。是非あなたの味覚でも動作確認してみてください(私だけじゃないと信じたい)。

「クロワッサン」

内側まで均等な巻きの美しい断面。

生地と空気を均等且つ綿密に折り重ね、丁寧に巻きあげられたクロワッサン。サクサクサクと崩れていく表面とふんわり柔らかな内側まで、グラデーションのようになだらかに質感が変化していきます。大きな空洞がなくて密度が均等だからなのか、ここまでが外側のサクサクゾーンでここからが内側のやわらかゾーンという境界線がない感じ。そのおかげかお淑やかな印象でまとまりがあります。このタイプって意外と出会わないかも。底に甘いシロップがぬられ、最後に甘さが余韻として残る茶目っ気(死語?)も小気味いい!

「クルスティヨン」

見えますか?じゃりっと感の残るスイートスポット。

メニューに書かれた「きび砂糖の角砂糖入り、よつ葉バター使用、北海道産小麦使用」を読み、好きが見透かされている?ってすかさず心臓を手で隠した私です(子供か)。
バターにきび砂糖なんて天国だし、北海道産小麦まで使ってくれるなんて、天国の上はなぁに?ベースは食パン生地でむっちりした柔肌ちゃん。身を委ねたくなるすべすべ生地の内側にはきび砂糖が入っていて、焼かれたことによって溶けている部分と少し砂糖の粒が残っている部分が共存しています。じゃりっと口内で砂糖の粒が崩れ溶ければ、柔らかな甘さがバターの翼にのって羽ばたいてきて、なんて優しく穏やかな気持ちを届けてくれるのでしょうか。私にも“翼をください”(大丈夫?)。唯一悲しいのは、小さいパンなのでその夢幻がすぐに消えてしまうことです。ぼーっと食べるの禁止!

「フック」

熱でふにゃふにゃと体をくねらすもちもちな生地を、ついつい追っかけまわしたくなる本能が顔を出しました(狂気)。これまた出汁のような旨味を強く感じるのですが、それにグリュイエールチーズの芳香と旨味が重なって、大変な事態となっています(大袈裟)。小麦の旨味も強く影響しているんだろうなぁ。生地にしっかり味わいがあって説得力があるのです。くりんと曲がったフック部分はカリカリに焼け、チーズ味が濃縮されておつまみテイスト。

「蔵出しもちもちパン」

ベーグルのルックス。

このもちもちな生地感はベーグルのよう。乳酸発酵させた甘酒と京都の〈とようけ屋〉さんの豆乳に、はちみつも入っているとのこと。均等に気泡が入っているので、どこまでも歯切れ良くもっちりとふくよかな弾力で答えてくれます。甘さははちみつの風味をのせて優しく語りかけて。朝のスローペースな体にも、お子さまにもぴったりなパン。

ガラスのショーケースを覗き込んで、ついてくださったお店の方にパンを伝えていく。そのお買い物はジュエリーショップのようでもあります。美術館のようでも、アトリエ兼ショールームのようでも、ジュエリーショップのようでもあるパン屋さん。私一人でもいろんな場所の姿を重ねてしまったので、一人一人その感じ方は違うかも。ぜひその目で肌で感じてみてくださいね。お店を出ると隣には大きな大きなスモークツリーの木が。夢のような余韻を残してお見送りしてくれました。

過去の連載はこちら


花井悠希の「朝パン日誌」一覧

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