知らぬ間に時間が溶ける？ SNSの恐ろしい仕掛け。／第5回 ヒコロヒーのナイトキャップエンタメ

疲れた心と体に染み込む、ナイトキャップ（寝酒）代わりのエンタメをヒコロヒーが紹介。第5回は、SNSが人類に及ぼす危険を検証するオリジナルドキュメンタリー『監視資本主義：デジタル社会がもたらす光と影』。

スマホ依存という言葉を聞くようになって久しい。今日こそデジタルデトックスを、と思っても、絶妙なタイミングで通知が来てしまい、気がつけば時間が過ぎ去っている...。が、それは意志の弱さという問題ではない。のプラットフォームはアクセスするたびに脳内に快楽物質を分泌させ、やがてユーザーの行動や感情や思想を操れるように巧妙に設計されており、それに抗うことはとても難しい。本作は、その仕組みを作ってきた大手企業の元幹部たちの内部告発&こんな恐ろしい魔物を作ってしまってすいませんでした（今頃言うか！）的インタビューを中心に、ドラマとアニメを織り交ぜながら現在のデジタル環境に警鐘を鳴らしている。

私も世に出る仕事上、をやめることは難しい。だからこそ、リテラシーを持って接したい。また〝本〞というアナログメディアも重要だ。書店で表紙の手触りを確かめ冒頭の2〜3ページを精読し、スマホのリコメンドではなく自分の直感で選び抜くという行為は、デジタル世界から自分を取り戻すための鍛錬でもある。あとはやっぱり〝人〞。信頼できる身近な人たちのおすすめは試してみるようにしている。まぁ本作みたいな優良ドキュメンタリーを知るきっかけが、Netflixのアルゴリズムによるものでもあるという事実は大きな皮肉なのですが。

text : Daisuke Watanuki