鎌倉〈草花屋 苔丸〉の赤地光太郎さんへ会いに/第53回 なかしましほの散歩のレシピ
Hanako.tokyo / 2023年1月20日 18時30分
料理家・なかしましほさんが、気になるお店とその方に会いに行く本誌連載「散歩のレシピ」。今回は鎌倉にある〈草花屋 苔丸〉へ訪れました。
鉢植えや小さな植物が並ぶ店先。一人がやっと通れるくらいの入り口を入ると、植物の世界が。
夕方、犬の散歩に出かけると、まわりは真っ暗な中、そこだけぽつんとあたたかな明かりが灯っている場所があります。鎌倉山で20年以上続くお花屋さん。名前は〈草花屋 苔丸〉。その光に吸い込まれるように時々おじゃましては、家に飾る花を買わせてもらったり、時にはお祝い用のお花をお願いしたり。私にとって普段使いはもちろん、特別な日にも安心してお願いできるお花屋さんです。
ドライフラワーコーナー。民家を店舗に改装した。
店主の赤光太郎さんは、花屋で経験を積んだ後、ニュージーランドでガーデナーとして働いて、帰国。ご縁のあるこの場所でお店をオープンされました。まるで物語に出てきそうな木造の小さな建物にそっと足を踏み入れると、美しく手入れされたさまざまな生花が並んでいます。
奥のテラスには多肉植物やめずらしい鉢物たちがぎゅぎゅっと並んでいて、壁にはリースやオブジェ。まるで誰かの秘密基地に遊びに来たような気分に。このわくわくする気持ちは何度来ても変わりません。実は植物を育てるのが上手じゃないので、鉢ものはなるべく買わないようにしているのですが、苔丸さんに行くとつい、欲しくなってしまうんです(家族にたしなめられてますが、いつか…!)。
唐辛子や麦など、お花だけでないリースも。シックな品揃えで、毎年楽しみにしている人も多い。
さらに続くスペースでは時々ワークショップもされているそうで、伺った日はちょうどクリスマスシーズンを前に、完成を待つリースがたくさん並んでいました。お客さんはどういう方が多いのかとたずねると、お庭のある家が多い鎌倉山にあるこのお店は、遠方からはもちろん、庭にあるお花に少し足して飾りたいと足を運ぶご近所さんが多いそう。なんともぜいたくなお花の楽しみ方だなあとうらやましくなりました。
この数年は、3月になるとミモザを買いに行くのを楽しみにしています。そのときばかりは奮発して、お店にある分を全部買わせてもらって。庭にはない植物が家の中にあると、すごくリフレッシュできますし、家での時間が楽しくなる気がします。ゆっくりドライになる様子を楽しみながら、春を待ちます。
切り花、鉢植え、植物の楽しさはさまざま。
天井からも植物が。上からつるすと植物が宙に浮いているように。イネ科の植物ラグラスで作った飾り。植物の可能性を広げてくれる。ほかにドライフラワーで作ったものも。
唐辛子を集めてリースに。鎌倉にあるイタリアンレストランが毎年注文してくれるという。なるほど。店頭に並ぶ前に通販で買い手がつくほど人気のリース。
人気の多肉植物のコーナー。葉や茎、根に水分をためられる植物で、インテリアにも最適。赤地さんが集めたヴィンテージのポットに入れてプレゼンテーション。
ファンが多いリース。グリーンでまとめるとシックなイメージに。リースの作り方教室も開いている。「春や夏にはドライフラワーのリースも作っています」と赤地さん。シーズンは12月下旬〜。
ポットひとつでもこだわってみると見た目も変わる。すべて赤地さんがセレクトしたもの。「土モノばかりを集めてます」。選ぶ基準は赤地さんの目にとまったもの。
赤地さんが編集協力したムック『大人が楽しむ多肉植物』1,650円(ブティック社)。多肉植物の育て方から寄せ植えのしかたまで。がんばって育ててみたくなる。
今回訪れたのは、鎌倉〈草花屋 苔丸〉
〈草花屋 苔丸〉
住所:神奈川県鎌倉市鎌倉山2-15-9 │ 地図
TEL:0467-31-5174
営業時間:10:30〜18:00
定休日:火曜
店舗は鎌倉が一望できる住宅地、鎌倉山にある。入ってすぐが切り花のコーナー、店奥には植物が美しい庭がある。
出版社勤務の後、ベトナム料理店などを経て料理家に。2006年に〈foodmood〉をオープン。体によい素材のお菓子が評判に。著書に『たのしいあんこの本』(主婦と生活社)が。
photo:長野陽一ながの・よういち/日本の島を撮り続ける写真家。書籍、広告、CMでも活躍。独特の世界観の料理写真にはファンが多い。食べ物をまとめた本として『長野陽一の美味しいポートレイト』がある。
No. 1216
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