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料理人・潮平里志と、沖縄の〝おいしい〟食材を訪ねて。

Hanako.tokyo / 2023年3月24日 14時51分

料理人・潮平里志と、沖縄の〝おいしい〟食材を訪ねて。

沖縄は島全体がパワースポットといわれます。常にエネルギーが湧き出している島ですから、そこに根付く食材たちも元気いっぱい。料理人・潮平里志さんとそんな食材を訪ねます。

Navigator 潮平里志

しおひら・さとし/イタリア料理人。東京で8年の修業を経て渡伊。4年半の修業の途中、帰国前の1年半、新店の立ち上げシェフを任される。帰国後、沖縄の名店で2年働き、2022年に自店〈Totto〉を開業。

おいしさがギュギュッと凝縮。野菜も豚も健康そのものです。

芳野さんの畑は現在2つ。両方合わせて3,600坪になる。春は、夏野菜が真っ盛り。地元のシェフたちが要望する珍しい西洋野菜も少量ずつ育っている。

見るからに健やかそうな人参やケールを収穫する芳野さん。かごはどんどん重くなる。

新玉ねぎは根っこも食べられるそう。葉も柔らかそうだ。

スイスチャードは赤い葉脈が鮮やかだ。畑にいるだけで元気をもらえるような気がすると、ニコニコ顔の二人。

表面に毛が生えているようなハーブ、ボリジの花。

途中で雨が降ってきたので、本日の収穫は終了。コールラビや丸ズッキーニ、人参やケールなど。

沖縄は南の島だ。亜熱帯だ。だから、見たこともないような独特の食材が山とある。とくに野菜。ふわふわ吹く風は冬でもほんわか暖かいし、人の心も温かいから、よく知ってる野菜だって、見違えるくらいバリバリ元気に育って力強い。豚肉も魚ものびのび育っているせいか、独特の旨みと深みを備え、「やっぱり沖縄っておいしい」につながっている。

そんな食材をもっと知りたい、感じたいと、沖縄食材を自在に操るイタリアンシェフ、〈Totto(トット)〉店主・潮平里志さんに案内をお願いして、まずは北部やんばるのはるさー(畑人)たちを束ねる「やんばる畑人プロジェクト」代表の芳野幸雄さんの畑へ。約600坪の畑では、1畝を3分割して、ルッコラ、コールラビ、ビーツ、フェンネル、玉ねぎ、人参など、40〜50種の野菜を少量多品種で栽培している。店を開く前、勉強がてら、畑を手伝いに来ていたという潮平さんは、まるで自分の畑のようにひょいひょいと歩いて、瞬く間に片手には野菜の束が。

「沖縄観光は夏が最高なんですけど、野菜は春が一番おいしい時季かもしれませんね。沖縄の夏は太陽が真上から差すので、葉ものには日差しが強すぎるんです」と芳野さん。沖縄で野菜を食べるなら春がいいのかもですよ。

ひょいひょいと畑を歩いていたかと思うと、瞬く間に慣れた手つきで、ナスタチウムの花を採集する潮平さん。

話を聞いている間に、あら、潮平さんの手に今度はナスタチウムの花が一杯。「種のほうは酢漬けにすると、ケーパーみたいになります」と芳野さん。畑で元気な野菜と直接触れることで、アイデアが湧くだけでなく、さぁ、料理するぞという気持ちに拍車がかかる。

かわいいベビーあぐーたち。

豚熱のあと、再建に向けて立ち上げたキッチンカーの前で、忍さんと潮平さん。県産食材で作る「ご地創サンド」を、ともに開発。

続いて、うるま市で沖縄ブランド豚〝あぐー〟を育てる〈喜納農場〉の3代目養豚家、喜納忍さんを訪ねる。「忍さんの豚は脂身が甘い。肉質はしっかりしてるんだけど、やさしく味わい深い。噛むほどに旨みが出てくる」と潮平さん。

忍さんの父は紅豚や紅あぐーを生んだレジェンド養豚家。何十年もの間、豚一筋。健康でおいしい豚を育てるために寝る間を惜しんで、飼料や養豚環境の研究を重ねてきた。潮平さんも以前働いていた店で、紅豚や紅あぐーを使っていたという。

2020年、沖縄で34年ぶりに豚熱が発生。〈喜納農場〉の豚も感染し、わが子のように大切に育てていた豚をすべて失うという悲劇が起こる。人一倍、豚の健康に気を使ってきたのになぜ? 父にとっても娘にとっても衝撃でしかなかった。でも、立ち止まることなく、多くのサポートを力に再建をスタート。1年8カ月後、再建後の農場で生まれた豚が初めての出荷を果たす。

現在は〈喜納農場〉のみならず、仲間とともに、沖縄県全体で安心安全な養豚を目指し、地域の活性化に取り組んでいる。父は現在、豚の腸活に着手。豚が快適に過ごせる環境を目指して研究はどこまでも続く。
 

芳野さんの畑からやってきた美しい野菜。

オープンキッチンで仕込みを始める潮平シェフ。イタリアで学び、北谷〈アルドール〉で得た様々な経験と知識が、〈Totto〉で花開く。

〈喜納農場〉のあぐー肩ロース肉。

やんばるのハルサーたちが丹精した野菜。

そして最後は、昨年10月オープンした潮平さんの店〈Totto〉へ。驚くほど広々した空間。日本じゃないみたいな雰囲気だ。

「東京やイタリアを経て沖縄に戻り、改めて沖縄の素晴らしさに気づきました」。オープンキッチンの調理台には、芳野さんの畑から持ち帰った色とりどりの野菜と、忍さんが大切に育てた〈喜納農場〉のあぐーの肩ロース肉がドンと置かれている。
「沖縄を世界から注目される美食の島にしたい」という目標のもと、沖縄をギュッと凝縮したようなコースを仕立てる。

あぐーは炭火でじっくり火を通す。

色とりどりの野菜を焼いたり茹でたり揚げたりして、バーニャカウダソースを添えて。

焼き上げた豚肉に玉ねぎを添えて。

あぐーは身質をこまやかにチェックしながら水分調整をする。2週間ぐらいかけることもあるそうだ。今日のは5日かけたもの。「それを一番おいしい状態になるまで、1時間半ほどかけて炭火で焼いていきます」。野菜はそれぞれにふさわしい方法で、丹念に調理。「野菜は味が濃い。パワフルです。料理はこれからどんどんブラッシュアップしていきますよ」。おお、それは楽しみです。

Totto(トット)

予約はTableCheckからのみ。ノンアルドリンクにも力を入れている。沖縄を満喫できるコース1種類のみ。ペアリング付きで8品21,000円。

住所:沖縄県宜野湾市嘉数4-6-7
TEL:098-800-2592 
営業時間:18:00〜の一斉スタート
席数:10席
定休日:土〜火休

photo : Wataru Oshiro text : Michiko Watanabe edit : Chizuru Atsuta

No. 1218



沖縄・春の旅。/目黒蓮 (Snow Man) 2023年02月28日 発売号

沖縄と言えば、暑い夏がイメージ。でも、春の旅が実は最高なんです。太陽の光は、眩しくも優しく。美しい海は、海開きが始まったばかりで、ひとり占め。冬から春にかけて旬を迎える“沖縄の野菜”を満喫。最高気温は、25℃前後。街歩きも、世界自然遺産・やんばるの森ツアーをはじめとする大自然も快適に。いつもよりも、ちょっとだけ早い旅支度をして、涼しく楽しく、そして美味しい春の沖縄へ向かいませんか。



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