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食事放談 はるかの部屋 Theme#12 一人でも楽しい蕎麦道。

Hanako.tokyo / 2023年4月3日 17時47分

食事放談 はるかの部屋 Theme#12 一人でも楽しい蕎麦道。

卵焼き、蕎麦がき、板わさ……とつまみを味わった後にせいろをオーダー。
一人でじっくり、粋に楽しめるのが蕎麦屋の魅力です。

一人でも素敵に見える 蕎麦屋さんはおひとり様向き。

毎日毎食、抜かりなくおいしいものにたどり着くために探求を続けるライターの小石原はるかさんによる食の対談。今回はミュージシャンの小宮山雄飛さんを迎えて、蕎麦について語る。



小石原はるか(以下、小石原):小宮山さんはカレー好きで有名ですが、SNSを拝見していると蕎麦にもかなり入れ込んでいるご様子。私も蕎麦は好きですが詳しい方ではなく、ぜひご指南いただきたいとお声がけしました。まず、蕎麦好きのルーツはどこにあるのですか?



小宮山雄飛(以下、小宮山):子供の頃、父がよく〈

神田まつや〉に連れて行ってくれていたんです。父がお酒を飲んでいる横で、自分は蕎麦や卵焼きを食べたりして。今思えば、情操教育として「お酒はこういうふうに楽しむんだぞ」と教えてくれていたのかもしれません。居酒屋より連れて行きやすかったでしょうし。それで自然と、大人になったら蕎麦屋で飲むぞ、と思うようになっていたんです。

神田まつや

明治17年の創業当時の面影を残す建物が目印。国産の蕎麦粉は挽き方や石臼も指定して特注している。蕎麦のかえしを煮詰めたタレが甘く香ばしい焼鳥や板わさなど、蕎麦前も楽しい。下町らしい雰囲気の店内も居心地がいい。

住所:東京都千代田区神田須田町1-13



小石原:蕎麦屋で飲む。いわゆる、蕎麦前ですね。私は〈

かんだやぶそば〉が原体験。蕎麦寿司が大好きです。投稿を見ているとかなりの頻度で蕎麦を食べてますが、月に何回くらいのペースですか?



小宮山:気持ち的には毎日食べたいくらいですが、実際には2日に1回くらい。



小石原:それはかなりの頻度。家でも食べるということですか?



小宮山:自分でも打つんですよ、一応。好きでやっているだけですけど。立ち食いもいいし、いわゆる名店も好き。常に蕎麦と関係していたいんですよね。

かんだやぶそば

江戸の蕎麦文化を引き継ぐ、明治13年創業の店。食材の保存技術が発達していない時代に工夫を凝らして生まれた、緑がかった色の蕎麦も、今なお作られている。小石原さんの好物「そばずし」も戦後から長く続くメニュー。

住所:東京都千代田区神田淡路町2-10



小石原:カレーか蕎麦で選ぶなら?



小宮山:難しいですね、カレーも好きですが、蕎麦を選んでしまうかも。明確に日本の良さを感じられるんですよね。天ぷらや寿司もあるけど、蕎麦って一番なのでは。



小石原:天ぷらは蕎麦にのせられるしね。



小宮山:カレーもかけられるし(笑)。そういえば、一度テレビで信州蕎麦の名人がマヨネーズをかけて食べているのを見ました。



小石原:えっ!漁師飯みたいな感じ?



小宮山 :そうですね、現地ではそれほどよく食べるから、マヨネーズが気分の日もあると。当時は高級な蕎麦屋が増えてきた頃だったのですが、それを見て、神格化するものじゃないなと思いました。



小石原:マヨネーズは試したんですか?



小宮山:マヨネーズには興味がなくて。

蕎麦屋で飲むのが好きだから、蕎麦を頼まないこともあります(笑)。



小石原:ははは(笑)。小宮山さんは蕎麦屋ではどんなふうに過ごしますか?



小宮山:僕、お酒を頼まないと失礼だ、と思うくらいになってしまって。飲みたいから、蕎麦を食べないときもある。本末転倒なんですけど(笑)。



小石原:確かに蕎麦を食べ始めたら飲まないですよね。お寿司屋さんで握りを食べるときは、あまり飲まないのと同じで。



小宮山:一説によると、蕎麦と日本酒は合わないらしいんです。だから蕎麦の前につまみとお酒を楽しむ「蕎麦前」なんですね。僕は気にしないのですが。



小石原:なるほど。香りがケンカしちゃったりね。そして、基本アラカルトだから、ボリュームの調整とか頼み方の自由度が高いのもいいですよね。最初から蕎麦を頼んでもいいわけだし。小宮山さん流の頼み方ってありますか?



小宮山:〝ぬき〟を食べるのがいいんですよ。天ぷら蕎麦の、蕎麦抜き。そんなに食べたいわけじゃないんだけど、ただ言いたいっていう(笑)。



小石原:ぬきなら、つまみになる!



小宮山:それで、最後にせいろ。蕎麦屋は一人でも行けるのもいいですよね。逆に言うと、大勢では行かないかも。



小石原:おひとり様活動をしたいんだけど、レストランだと寂しそうに見えるかな、と気後れしてしまう人でも、蕎麦屋さんなら、心配なさそうです。



小宮山:寂しさも感じないし、変な通ぶってる感じも出ない(笑)。



小石原:むしろ素敵に見える可能性が高いですよね。あと、蕎麦屋ってシャキッとして行きたい気がしませんか。思わず背筋を伸ばすような。



小宮山:大荷物や厚いコートは景観を損ねるので美学に反する。



小石原:美学、ありますよね。ところで、この対談では毎回おすすめのお店を互いに挙げているんですが。



小宮山:そうだな……。小石原さんからお先にどうぞ!



小石原 :私は〈

浅草 ひら山〉を推します。蕎麦は香り良く、だしはクリア。



小宮山 :さすが〈ほそ川〉チルドレン。



小石原:追加できる木の実のつゆもぜひ!クルミだけじゃなくいろんなナッツがブレンドされているのが本当においしくて。ここは、蕎麦がきもあるし。



全国から集めた蕎麦の芳醇さを味わう一枚。
名店で修業したのち、日本料理店でも研鑽を積んだ平山周さんが開いたモダンな店。福井や鹿児島など各地の蕎麦を店内の石臼で挽き、産地ごとに分けて打つのは十割蕎麦。せいろ1,000円、木の実つゆ300円。追加のせいろでは、別の産地の味わいが楽しめる。そら豆の卯の花800円(写真左上)は、ほんのり温めてだしの香りを立たせている。

浅草 ひら山

TEL:03-5830-6857
住所:東京都台東区西浅草1-3-14 
営業時間:11:30~14:00LO、17:30~20:30LO 
定休日:月火
席数:15席



小宮山:蕎麦がきがあるところは信用できるよね。なんたって手がかかりますから。〈

蕎麦の膳たかさご〉がおいしかったな。元は町の蕎麦屋だったところが、今の店主になってすごくパワーアップしていて。女性一人でも行きやすいです。

蕎麦の膳たかさご

国内外で注目される蕎麦職人が、牛込神楽坂で営む。蕎麦粉は店主自ら産地に赴いて選んでくるほか、檜原村や日の出町など都内の畑で栽培も行っている。それを十割で手打ちし、店で削った本節や宗田節で作るコク深いつゆに合わせる。

住所:東京都新宿区中町22



小石原:行ってみたい!昔ながらのお店だと、どこがいいでしょうか。



小宮山:この間〈

本むら庵〉に久しぶりに行ったら、やっぱりしっかりおいしくて。並んでましたね。



小石原:なんと!並ぶんですね。



小宮山:前にニューヨークにも出店していましたが、その頃日本蕎麦が食べられるお店はそこくらいだったんじゃないかな。通のニューヨーカーも食べてるんだなと思った記憶です。こちらは、一人でも行けるし、カップルやファミリーでも。



懐かしい風情と温かい接客で一級の蕎麦をすする。
創業大正13年。挽きたて、打ちたて、茹でたてにこだわり、遠方からのお客も集める老舗だ。粗挽きの蕎麦は二八で仕上げ、ツルツルと喉越しがいい。せいろ880円。木の葉形の蕎麦がき1,230円など、一品料理も評判。11人の職人が切磋琢磨して作っている。民芸館のような佇まいの一軒家には、心落ち着く小さな庭も。

本むら庵

住所:東京都杉並区上荻2-7-11 
営業時間:11:00~21:00LO 
定休日:火(祝の場合は翌日)、第3水 
席数:80席



小石原:そして、一度は行きたいのが〈

室町砂場 赤坂店〉。映画『タンポポ』のロケ地で有名になったところですね。

室町砂場 赤坂店

蕎麦粉の繋ぎ方が異なる“ざる”と“もり”の2種類を用意。名物は、元祖「天ざる」「天もり」。といっても普通の天ぷら蕎麦と違い、かき揚げが入った温かい汁に、冷たいそばをつけていただくスタイルだ。旨みが幾重にも膨らんでいく。

住所:東京都港区赤坂6-3-5



小宮山:大滝秀治が座ったあの席で食べたいですよね。小上がりの。



小石原:うんうん。で、今日はこの後、どこの蕎麦屋さんへ?



小宮山:予定はないけど、気がついたら蕎麦を食べているかも(笑)。

小石原はるか ライター

こいしはら・はるか/うどん、焼きそば、肉と、好きなものにはとことんハマる“偏愛系”ライター。『東京最高のレストラン』(ぴあ)には毎年寄稿。最新刊は『自分史上最多ごはん』(マガジンハウス)。

小宮山雄飛 ミュージシャン

こみやま・ゆうひ/ホフディランのボーカル、キーボード。1973年生まれ、東京都出身。“音楽界のグルメ番長”としても知られ、テレビ、ラジオ、雑誌など活躍の場は幅広い。コラム連載も行う。

photo : Kaori Ouchi text : Kahoko Nishimura

No. 1219



大銀座から始まる東京小旅行/Travis Japan 2023年03月28日 発売号

年に一度、Hanako恒例の「銀座」特集。Hanako編集部は、東銀座の歌舞伎座の裏にあります。銀座の通りを歩いていると「この行列は何?」と街の様子にも変化が。そう、銀座に人々が戻ってきたのです。会社帰りのおひとりさまやカップル、ちょっとよそ行きのお洒落をした母娘の姿もあります。銀座のおとなり、八重洲には東京ミッドタウン八重洲がオープンし、変化が著しい兜町には店もゲストも東京中のお洒落さんたちが大集合。日比谷、有楽町にも噂の新店が続々登場し、かたや日本橋には100年続く老舗の名店が健在しています。この春は東京のど真 …



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