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第一回:ピルと私たちの体。日常のなかで自分を見つめること

Hanako.tokyo / 2023年6月15日 12時0分

第一回:ピルと私たちの体。日常のなかで自分を見つめること

京都に暮らす植物療法士の村田美沙さんと、神奈川・逗子に暮らすライターの秦レンナさんによる文通連載。30代のふたりが、日常にある等身大の悩みや心身の不安を赤裸々に綴りながら、それを伝え合い、「自分を大切にする」ことを考えていきます。初回の手紙では互いに近況報告をしつつ「ピル」の話題へ。

村田美沙 植物療法士・アーティスト

日本やヨーロッパにて植物療法を学んだのち、国内の薬草文化や生産背景を起点にフィールドワークを行う。2019年にボタニカルブランドVerseau (ヴェルソー) を立ち上げ、「これからの人の暮らしと健康のあり方」をテーマに、植物療法を軸に国産ハーブティー等の商品開発、講座、カウンセリング、執筆活動などを行っている。近年は「人と植物の関係性」に着目してインスタレーション、パフォーマンスを用いたアーティスト活動も行っている。

HP/Verseau
HP/MISA MURATA
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秦レンナ ライター・エディター

出版社、新聞社を経て、2022年フリーランスに。女性にまつわる社会問題や心身の健康、美容を軸に、インタビュー・執筆を続ける。また、ファッションブランドやコスメブランドのコンセプトコピーも手がける。

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美沙からレンナへ

レンナちゃん、こんにちは!元気にしてる?4月の初めに京都に来てくれて以来、会えていないね。終わりがけの桜並木や鴨川沿いを散歩したことや、近所の漢方薬局へ行ったことが懐かしいなぁ。

私はその後、2週間ほど仕事で関東に行ったり、ハーブの生産者さんに会いに行ったり、イベントでお茶を淹れたり、たくさんの人に会ってきたよ。楽しいけれど、たくさんのエネルギーを分け与えるから体調も崩しやすくて、出張中は特に体を大切にしているよ。

5月、山梨で見つけた花筏の雌花

2年前に子宮頸がんの前段階の高度異形性になって手術をしてから、特に体に気を使うというか、自分を大切にするようになったの。ついつい出張で東京に来ると、行きたいお店があったり、会いたい友人がいたりでスケジュールを無理しちゃうんだけど(今回もたくさん無理しちゃった〜)、ストップ!と、前よりも自分の体に言えるようになった気がするんだよね。

セルフケアって何をするかが大切のように思いがちだけれど、私は自分を“見つめる回数”、そして“見つめ方”が大切だと思っていて。特別なケアをしていなくても、自分の体調とか気分を見て、「今日の食事どうしようかなぁ」と考える、そんなふうに日常の選択の中で、私たちは自然にセルフケアしているよねって思っている。どんなときも肯定感を持って、自分の気持ちや体を意識する時間があれば、より自分のことを知れるかもしれないよね。私はそのためにハーブを使っている気がするよ。

私の日常ハーブは、例えばレモンバーベナーのようなスッキリ爽快な味わいのもの。ピルを飲んでいても、出血のときはお腹がゆるくなったりするから、予防的な意味でも胃腸を整えるような働きのあるハーブを取り入れてるんだ。朝に低容量ピルを飲んでいるから、その流れでハーブティーを淹れたりするよ。

私は特別なことをするのが少しだけ苦手というか、日常が楽しいことがいちばんの喜びだったりする。飽き性でもあるから、日常に楽しいエッセンスを加えることが好き。今は京都市内の山の麓に住んでいるけれど、太陽が大好きだから、天気が良いなぁと思ったら、適当なサンドイッチ(きゅうりとバターのサンドイッチがおすすめ)を作って、お皿に乗せて、家の近くの遊歩道のベンチに座って山を眺めながら黙々と食べるの。そういうことがワクワクするんだよねー。

あとは歩いてひたすら植物の観察をしている。今年は春から夏の季節の移り変わりが早くって、いろんな花が同時に咲いて観察に忙しかった!

レンナちゃんは住む場所を変えて体の変化とか、新たな自分の発見みたいなことはあった?京都の山もよいけれど、沿岸出身の私としては逗子の空気も好きなの。海から伝わる潮の香りと湿度がいいよね。海沿いの過ごし方も気になる。初めての往復書簡。お返事が楽しみです。



レンナから美沙へ

美沙ちゃん、京都ではありがとう!あの日は体調ボロボロで、1泊しかないというのに全然動けなくて悲しかった…でも、美沙ちゃんの暮らすかわいいお家にお邪魔できたこと、すごくうれしかったよ。目の前に桜のきれいな遊歩道があって、山が見えて、こじんまりしたおしゃれなお店が並んでいて、すごく素敵なところ。美沙ちゃんがベンチできゅうりのサンドイッチ(シンプルで美味しそう!)をかじりながら、あたりを観察している様子が目に浮かんで、手紙を読みながら「うふふ」という気持ちになったよ。

京都で美沙ちゃんが連れていってくれた「平井常榮堂薬局」。帰ってきてからも漢方を処方してもらっている

京都で美沙ちゃんが淹れてくれたお茶。ラベンダーを浮かべてくれた

子宮頸がんの高度異形性の手術は、本当に心身大変なことだったよね。私も去年末から子宮頸がんや卵巣がんについて記事を書いたり、不妊症治療経験者にインタビューをする機会があったりと、女性の体の健康について考える機会が増えたよ。そんな中で、ピルを飲み始めたことがここ最近の大きな変化かも。たしか美沙ちゃんも同じ時期あたりから飲み始めていたよね。

38歳という年齢になって、パートナーのいない私はおそらくこの先子どもを産むという機会はないんだろうなぁなんて思っていたのだけど、本当に、本当に?と自分に問いかけてみると、やっぱりまだ完全にYESとは言い切れないような気がして。取材やリサーチを重ねるなかで、排卵をなくして子宮を休ませることができるとか、避妊以外の「低容量ピル」のメリットにも興味を持って、まずは試してみることにしたの。

いま、飲み始めて半年ちょっと。最初は吐き気とか胸の張りとかマイナートラブルがあったものの、今はすっかり落ち着いて、快適。まだ引き続き自分の体を観察中なんだけど、ハーブとか、漢方とかもプラスして、自分のベストを探っていきたいなぁ。美沙ちゃんの言うように、日常の中で、自分のちょっとした気持ちや体の変化に注目してみることって、立派なセルフケアだよね。

逗子暮らしの一番の魅力はやっぱり「海がある」ってこと。そう思っているだけでもなんだか、息がしやすい感じがするの。疲れたとき、どうしようもなく煮詰まったとき、自転車でばーっと海まで行って砂浜を歩くと、それだけで少し心落ち着きます。

美沙ちゃんは、今、お仕事どんな感じ?最近は表現活動とかもしているけど、お金を稼ぐことと好きなことをやりたいという気持ちにどう折り合いをつけているのかとか、聞けたらうれしいなぁ。梅雨冷えに気をつけて過ごしましょう!

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