苅田梨都子さんのMy Better Room仕事もプライベートも自分のペースで往来しながら楽しむ。
Hanako.tokyo / 2023年7月4日 12時0分
4年前、ブランド再出発とともにたどり着いた、都会からはなれた一軒家。自然に囲まれたアトリエ兼住居での苅田梨都子さんの暮らしとは。
WORKING ROOM
美しい光が差し込むアトリエ。窓辺には、苅田さんが手がけたスカーフが。デスク横では、コレクションのイメージボードが存在感を放つ。
新しく事業用の物件を探していた苅田さんが一目惚れしたのは、築40年超えのリノベーション物件だった。
「昔の構造を活かしながらも、設置された天窓や水色塗装の床など、モダンな雰囲気が気に入りました。〝古い〞と〝新しい〞が融合されているものが好きな私にぴったり。実家が岐阜県の田舎町なので、東京西部の郊外の落ち着いた環境は地元を思い出して安心します。いろんな面で運命を感じて即決しました」
LIVING ROOM
食事や打ち合わせをするスペース。夜はキャンドルを灯し、レコードをかけて過ごすことも。実家から持ってきたロッキングチェアが優雅。
アトリエ兼住居として暮らす部屋は、土間を挟んで2フロアに分けられている。仕事とプライベートのオンオフはどのように区切っているのか。
「最近は、ファッションという枠に限らず、〝衣食住〞の提案をしたいと思っています。さまざまな趣味が高じてコラムの執筆もしているのでパソコンの出番も増えてきました。そのほか、デザイン画を描いたり、梱包や検品などをしています。自分の中で、ざっくりとそれぞれの作業時間を決めていますが、気分屋なので思いつくままに取り組んでいます。仕事で煮詰まったら、一旦机からはなれてキッチンで料理をしてみると、案外アイデアが浮かんでくる。考えるのに疲れたら、お掃除をして体を動かすとリフレッシュになることも。そんな風に、ほどほどに休んだ方がなにごとも捗るタイプなので、仕事と生活のラインを分けずに過ごすのは、私に合っているようです。
アトリエとリビングを繋ぐ架け橋は、苅田さんの友人作。下にはシューズが収納できるスペースがあり、靴箱としても機能している。所々にある透明な什器が部屋に統一感を生む。
「収集しているポストカードやイベントのDM、洋服のタグは宝物。通り道にあると気分が上がるので、今は玄関に飾っています」
ただ、どうしても家にいることが多いので、いかに自分を飽きさせないかというのは重要。そこで、部屋の家具の配置を定期的にチェンジしています。椅子を移動させて、座る位置をずらすだけで景色が変わって気分転換に。ここに移り住んでから、引き算された美学にも惹かれるようになりました。広い空間だからといって全部を埋め尽くすのではなく、〝余白〞を意識するのはこれまでなかった感覚です。そういえば、昔からゲーム『あつまれどうぶつの森』で遊んでいたので、その頃からレイアウトが得意だったのかもしれません」
もともと和室だったアトリエには、床の間や床柱の名残が。奥のラックには、今シーズンの洋服のサンプルがぎっしりと並ぶ。「本棚は情報量が多いのでリビングからは見えないように設置しました」と話す。
美術館で出合った作家のデータを記録したノートには、手書きで情報を丁寧に記載。「すべてに影響を受けなくても、デザインの着想源になることもあるのでまとめはじめました」
苅田梨都子 〈ritsuko karita〉デザイナーかりた・りつこ/1993年岐阜県出身。4年前に自身のブランドを〈ritsuko karita〉としてリニューアル。現在は、映画サイト「ザ・シネマメンバーズ」でコラムを連載中。
photo : Yuka Uesawa text : Nico Araki外部リンク
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