きらびやかさにうっとり。昭和レトロが色濃く残る、大阪の「喫茶店&バー」2選

昭和から続く梅田の喫茶店と堂島のBAR。改めて新しさすら感じる熟成された2つの空間を紹介。

時代のエネルギーを感じる唯一無二の独創的空間。

大阪駅前第1ビル全館開業に先駆けて開店したバーコーナー。ジョニー・ウォーカーのハイボールが380円で飲めるのはありがたい。

バーコーナーへと続く通路。

〈マヅラ喫茶店〉から徒歩5秒の場所にある姉妹店〈King of Kings〉のステンドグラスが、またレトロフューチャーな輝き。

昭和45年の大阪万博にも通じるようなスペイシーな空間。

大阪で最初に万博が開催されたのが昭和45年。同じ年に梅田に大阪駅前第1ビルが完成すると同時に移転オープンしたのが〈マヅラ喫茶店〉だ。前年にはアポロ11号が人類初の月面着陸を果たし、万博ではアメリカ館の「月の石」目当てで長蛇の列ができるなど、宇宙へのあこがれや親しみがクライマックスな時代で、創業者の劉盛森さんは宇宙船をイメージして店内をデザインした。

「青く塗られた天井は月のクレーター、そこから吊り下げられたライトは宇宙に浮かぶ星に見立てています」と娘の由紀さん。なかなかお目にかかれないスペイシーな空間は、半世紀以上変わらない姿を今に残している。

そして、この喫茶店が変わらず愛されるさらなる理由は…。

「父は、どのイスに座っても、自分は“王様・お姫様”と思ってもらえるようにしたかったようです」と由紀さん。広い店内の中央に置かれた赤くて丸い存在感のあるソファ、鏡張りなどの効果で、確かにどの席に座っても、優雅で豊かな気持ちでコーヒーをいただけそう。

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「プリンアラモード」ここ数年で若い男女客が急に増えたこともあり、2年前、30年ぶりに復活したメニュー。卵味しっかりのプリンは懐かしい味。600円。

マヅラ喫茶店

住所：大阪府大阪市北区梅田1-3-1 大阪駅前第1ビルB1
TEL：[phone]
営業時間：9：00〜21：00（バーコーナーは〜23：00、土〜18：00）
定休日：日祝

コーヒー1杯300円と、価格も昭和を引きずってくれている。200席　分煙

変わらぬよう守り継がれる深く落ち着くバー空間。

長年磨きこまれたカウンターで、鍵澤さんとの会話を楽しみながらお酒を味わうのは豊かな時間。

店内にはオールドボトルや古い洋酒のポスターやノベルティなどが並び、歴史を感じさせてくれる。

このバーではピカピカのカウンターで飲むのが気分だが、イス席も用意している。

創業当初は平屋だったが、昭和30年に2階建ての一戸建てに。

〈マヅラ喫茶店〉の宇宙的なきらびやかさもいいけど、シックなオーセンティック・バーで渋い輝きを体感できるのが、大阪一の繁華街・北新地の一角にある〈堂島サンボア〉。昭和10年の開店時には中之島にあった店を昭和22年に今の場所に移転してから、店内はほぼ当時のまま。BGMもない。木を基調にした落ち着いた空間は、一人でゆっくり、あるいは気の合う仲間とゆるやかにお酒を楽しむのにこのうえないが、酔いをさらに心地よくしてくれるのが、オークのカウンター、そして手元と足元にある2本の真鍮の美しい輝きだ。

「バーの一日は掃除から。毎日時間をかけて磨きこんでいます」とは三代目店主の鍵澤秀都さん。古き良きバー文化を脈々と継承してきた矜持は、こんな細部に宿るのだなと納得できる粋な心意気。黄金色に輝くカウンターで琥珀色のウイスキーをいただく幸せは、あらためてバーという場所で飲む喜びを教えてくれる。

「ハイボール角瓶」角瓶をはじめハイボールのウイスキーはどれもダブルが標準。氷なしで冷えたウイスキーに冷えた炭酸水を注ぐのがサンボア流。1,100円。

堂島サンボア

住所：大阪府大阪市北区堂島1-5-40
TEL：[phone]
営業時間：17：00〜23：30（土16：00〜22：00）
定休日：日祝

ベーコンのステーキ（1,100円）などフードも充実。付き出しのピーナッツ220円。14席、立ち飲み約10名　全面喫煙可

photo : Yoshiki Okamoto　text & edit : Hitoshi Kura編集部 Hanako編集部

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