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「ゆるめる23時」#1 YUNO TAKEMURAさんに教わるヨガ

Hanako.tokyo / 2023年8月30日 23時0分

「ゆるめる23時」#1 YUNO TAKEMURAさんに教わるヨガ

一日はあっという間に過ぎていく。起きて、仕事して、合間にごはんを食べて、息をつく間もなく眠りについて。気づいたらカレンダーがどんどん次の日にめくれていく。やるべきことをこなしたり、やりたいことに夢中になったりする時間も大切だけれど、ふと一息、ぴんとはりつめた自分をゆるめる時間をどこかに取り入れられたら。たとえば、眠る前の23時だけでもそんな時間がつくれるように、日々のなかで取り入れられる「ゆるめる」方法をme and youの竹中万季さんが探しにいく体験型のコラム連載です。

竹中万季

1988年生まれ。2017年に「She is」を野村由芽と共に立ち上げ、2021年に野村と独立し「me and you」を設立。『わたしとあなた 小さな光のための対話集』や『me and youの日記文通』の出版や、ウェブマガジン・コミュニティ「me and you little magazine & club」を運営するほか、J-WAVE「わたしたちのスリープオーバー」のナビゲーターを務める。
Instagram / Twitter / me and you

01. YUNO TAKEMURAさんにヨガを教わって「ゆるめる」

35歳、運動は苦手で、面倒くさがり。スポーツジムは年間契約したのに1回しか通えず解約し、朝のランニングはTODOリストにいれたまま一度もやれた試しがない。これまではそれでも日々をやれてきたけれど、漠然と「身体の調子、悪いな」と思う日が増えて、いよいよどうしようかと真剣に考えている。

コロナ禍で自宅で仕事をするようになってから、一日中同じ姿勢で仕事していることも増え、気づくと身体中がやんわりと痛み、その痛みが心の調子も乱してくるようになった。どうにかしなきゃ、とYouTubeを見ながらヨガやストレッチを見様見真似でやってみると、少し身体が和らぎ、気持ちも晴れやかになることを感じる。これまでの人生で、能動的に身体を動かそうとしたことってあったっけ……? できるだけ動かさずに済むように生活してきたけれど、調子がよくなるのであればもっと動かしてみたいし、身体と心の関係についても知ってみたいと思い立ち、プロのヨガインストラクターの方にお会いすることになった。

原宿にあるIGNITE YOGAで待ち合わせ。今日ヨガを教えていただくのは、ここでヨガインストラクターをしているYUNO TAKEMURAさん。身体の調子に関する悩みをもとにしながら、ヨガや「ゆるめる」に役立つ考え方を教えてもらった。

YUNO TAKEMURAさんIGNITE YOGA 認定講師。北海道生まれ。2021年に独立し、ヘアメイク、美容師、サロンワークを中心に、ヨガインストラクターとして活動中。アシスタントとして忙しく働いていた時にメンタルの不調を抱えたことをきっかけに、ヨガ療法や植物療法と出会いヨガの国際ライセンスを取得。自身の体験を活かし、自分や周りの人たちが心地よく生きるための健康と美容にフォーカスしたウェルネスを提供している。

YUNO TAKEMURAさん
IGNITE YOGA 認定講師。北海道生まれ。2021年に独立し、ヘアメイク、美容師、サロンワークを中心に、ヨガインストラクターとして活動中。アシスタントとして忙しく働いていた時にメンタルの不調を抱えたことをきっかけに、ヨガ療法や植物療法と出会いヨガの国際ライセンスを取得。自身の体験を活かし、自分や周りの人たちが心地よく生きるための健康と美容にフォーカスしたウェルネスを提供している。

朝が気持ちよく始まらないときには? 肩甲骨をほぐし、自分に優しくしてあげる時間を持つ。

まずは、朝の悩みから。わたしは朝から疲れていることが多く、首から肩にかけてだるさを感じて、そのせいでベッドから出るのがいつも億劫になってしまう。同じ体勢でのデスクワークが多いことや、眠る直前までベッドでスマホを見てしまっていることも影響しているかもしれない。気持ちよく目覚めるためにはどうしたらいいんだろう?



「肩甲骨がすべてを握っています」とYUNOさん。肩甲骨。名前は知っているけれど、日々の生活のなかで意識したことがあっただろうか。背中にある羽みたいな部分であるこの場所を使って胸を開いたり閉じたりしているため、息をすることにも関係しているらしい。そんなに重要な場所だったのか!

今回は、朝やっても夜やってもいい、肩甲骨を中心とした簡単なストレッチを教えてもらった。まずは床に四つん這いになったら、つま先を立てて、お尻をかかとに乗せる。そのまま両手を前の方に持っていって、胸を床に近づけていくと、肩甲骨がぐーっと内側に入っていく(猫のポーズ)。指を立てるとさらに胸が開いていって、気づくと息を大きく吸い込めるようになっていた。

このままお尻をかかとに乗せていく

次に、頭を床につけて、自分の体重を使ったセルフヘッドスパへ(うさぎのポーズ)。首筋の裏を伸ばし、頭頂を左右や上下に揺らす。脳疲労が改善され、頭がすっきりするみたい。

最後に、足を伸ばして座り、両足の裏を手で抱えて持って、身体を伸ばす(長座前屈)。膝裏と肩甲骨がストレッチされてとても気持ちがいい。

身体が緊張していると心も緊張していくように感じていたけれど、ストレッチをしただけで身体がほぐれて、呼吸が深まり、それにつれて心も次第にゆるんでいくのを感じる。数分でこんなに変わるなんて。「肩甲骨がすべてを握っている」という言葉を胸に、これからは生活していきたい。

朝の悩みとして、もう一つ。身体が整わない悩みだけでなく、心が整わないという悩みもあった。ばたばたと準備して、焦りや不安な気持ちと共に一日が始まることも。YUNOさんに朝の過ごし方について聞いてみたら、「朝は丁寧に準備して、何があっても大丈夫な自分を思い出しておきます。準備することで自分に自信がつきますよね」とのこと。たとえば、鏡を見てしっかりと歯を磨いたり、ぱぱっと適当に終わらせるのではなく納得のいくメイクをしたり。特別なことをするというよりかは、「やばい! 急がなきゃ!」としないことが大事だそう。朝に時間がかけられないのであれば、まつげや眉毛をプロにお願いするなど、誰かに頼るのもいいですよね、と話してくれた。



「まわりを見渡すと、優しくしたい人が多いじゃないですか。自分に優しくしてあげて自信をつけれたら、まわりにも優しくできるんです」。本当にそうだなあと思う。朝、準備する時間がなくてバタバタと出かけるとき、「わたしなんか」と投げやりな気持ちが湧いてしまうことがよくある。初めは自分に対しての投げやりな気持ちだったのが、気づくとまわりの人とのコミュニケーションでもその投げやりさが滲んでいるのを感じて、自己嫌悪のループに陥ってしまう。朝は意識的に時間をつくり、自分を大切にしてあげて「大丈夫な自分」を確認することで、どんなことが起きたとしても戻ってくる場所が生まれそうだなと感じた。

不安になってしまうときは、不安な自分を無視しないことと、余白の時間が大事。

家で仕事をしているときや外にでかけているときに、不安で息が詰まるような感じがする瞬間がときたまある。そんなときに呼吸がしやすくなったり、リフレッシュできる方法はあるのだろうか……?



「すごくわかる。でも、それぞれの経験・バランス・状況・体調があるから、『これをやったらいい』とは言い切れなくて。だから、わたしの話をしようかな」。YUNOさんは突如として強い緊張感や終わりのない不安に襲われる時期があり、そのときは「タッピング」を行っていたそう。目を瞑ることができる環境に行き、自分をハグしながら一定のリズムで肩を軽く叩く。ドキドキしていた心臓を安定した鼓動のリズムに戻せていたそうだ。

でも、何より大切なのは

「不安な状態になっていることを受け入れ、その自分を無視しない」ことだと感じているそう。

「一つのきっかけというより、小さいきっかけの積み重ねを見ないようにしているときのほうがで不安に陥りやすいと思うんです」。たとえば、疲れていたり、睡眠不足だったり、栄養が取れていなかったり、わだかまりがあるけど見ないふりをしていたり。そうしたときに、つい「これくらいなら大丈夫」とやり過ごしてしまいがちだけれど、無視せずに自分の状態を見つめ、自分が欲しているもので満たしてあげるようにしていると話してくれた。

自分に目を向けるためには、余白をつくることが大事で、それがYUNOさんにとってはヨガマットの上にいる時間だそうだ。今まであったことやこの先のことを一回手放して、マットの上で呼吸して身体の筋肉をほぐすと、思考もほぐれ、ふとした瞬間に「自分が何を欲しているか」が降りてくる経験があったそう。その感覚を知っているからこそ、「マットの上に来れば、自分と向き合える」という信頼が生まれているとのことだった。



「楽しいときにこそ、立ち止まれる人はすごいと思うんです。自分が走っている環境から一度外れることで、本当にそれがやりたいんだっけ? あっちに行きたいんじゃなかったっけ? と気づける。わたしはマットの上だけど、自分なりに決めていいと思います」。

YUNOさんはマットの上にいる時間に加えて、「カップ1杯のコーヒーを飲む時間」も余白の時間になっていると話してくれた。コーヒーを飲み終わるまでは何をやっても何もしなくてもいい時間にして、ひたすらかわいいLINEスタンプを探したり、占いのページを読んだり、気ままに過ごしているそうだ。

「1日は24時間しかないから、手放せる部分をどうつくるか、ずっと考え続けていて。あれもこれもやらなきゃ、とつい思ってしまうので、自分に時間を許してあげるようにしています。時計の針で進む時間ではなくて、自分のなかで進む時間をつくってあげるのが大事」。つい予定をぎゅうぎゅうに詰めてしまうけれど、そういうときこそ意識しなくてはいけないな。

夜寝る前のリラックスヨガ。なかなか難しい、習慣づくりのコツは?

夜眠る直前まで仕事をして、慌てて眠りにつくと、眠りが浅く悪夢を見ることもしばしば。安心して、リラックスして眠るためにはどうしたらいい……?

ここでもやっぱり、「何が自分を不安にさせているのか?」に向き合うことは必要不可欠で、そのうえでリラックスして眠るためにぴったりのブロックを使ったストレッチを教えてもらった。ブロックは枕のようなものでも代替できるし、オンラインショップなどでも購入できるそう。

まず、仰向けになって、肩甲骨の内側に立てたブロックをいれて、膝を曲げる(魚のポーズ)。ブロックのおかげで肩甲骨がぐっと開いて、呼吸が深くできるようになった。

それから、ブロックを腰の仙骨の下に移動させると、骨盤や股関節が開いていく(橋のポーズ)。ブロックを使うと、身体のなかで普段使わない場所が自然とストレッチされて、縮こまっていた筋肉が伸びていく感じがする。最後に、ブロックは使わずに仰向けになり、膝を曲げて足で数字の4の字をつくるポーズ(四の字のポーズ)。なかなかほぐすことがない、お尻の筋肉がほぐれていく。YUNOさんにポーズを直してもらうことで、よりほぐれていく感じがした。

YUNOさんはヨガを始めた頃、お尻の筋肉をほぐしてもらって泣いたことがあったそうだ。

「身体が先に理解して、それが後で感情につながった感じでした。涙って本当の自分の気持ちに気づいたときに出てくると思うんです。大丈夫じゃないけど『大丈夫』って言い続けていて、誰かに『大丈夫じゃないって言っていいよ』と言ってもらえたときに出るみたいに」。身体と心は、つながっているはず。けれど、日々の生活のなかで、身体と心がばらばらになっているように感じるときもある。

「ヨガやストレッチは、身体と心をつなげるためにも大事なもの」だとYUNOさんは言う。

けれど、頭ではわかっていても、習慣化するのはなかなか大変。習慣にするにはどうしたらいいのだろう? という問いに対しては、こう答えてくれた。

「自分との約束が強く結べるようになったときに、初めて習慣になると思うんです。まずは習慣化するまでの心地よさを、身体と心でしっかり感じることが大事。スクールでプロに心地よさを教えてもらったり仲間ができたりすることで、きっかけが生まれると思います。そこから、自分の生活のなかで続けていけるスタイルを探してみてください」。

YUNOさんは月曜の朝7時からのヨガクラスを担当していて、そこにはさまざまな年齢・性別・職業の人が集っているそう。



「今回紹介したストレッチはわたしにはとても合っているものだけれど、あなたはわたしではないから、『自分にはこれが合ってるんだ!』というものが見つかる瞬間がきっとあるはず。それが習慣に一番取り入れる必要があるものなので、見つける過程をぜひ楽しんでほしいです」。

「物事には必ずポジティブとネガティブがある」ことに気づいて。

YUNOさんはもともと美容師で、現在もヘアメイクアーティストとしてサロンワークを続けている。仕事を始めた頃に心と身体がばらばらになってしまった瞬間を体験し、それがヨガを始めるきっかけになったそうだ。

当時は睡眠時間を削って、ごはんは3食コンビニ弁当のことも。「やれる人だけが勝つ」というムードのなかで、つらさを無視して過ごしていたら、自分をコントロールできなくなってしまったそう。それから北海道の実家に帰って療養生活を始め、もともとヨガをしていたお母さんが知り合いだったことでたまたま出会ったのが「ヨーガ療法」。心療内科や精神科病院のほか、産婦人科病院などさまざまな場所でとりいれられている療法だそう。また、ヨーロッパの薬局で心の不調に関する商品が日本よりもっとオープンに並んでいるのを見たことをきっかけに、そこで知ったハーブやフラワーエッセンスなどの植物療法の知識も取り入れるようになる。偶然の出会いも大切にしながら、自分に合っている方法を模索して見つけていってるのが素敵だな、と感じた。



「ヨガを始めて、愛で満たされていると感じるようになりました。この先も、いいことも悪いことも両方あるはず。物事には陰と陽があって、ネガティブがなければポジティブに気づけないですよね。ちょっとしたことでもスペシャルであることに気づいたり、特別な何かがなくてもこの時間を共に過ごせた喜びに気づいたり。そうしたことに気づいていくステップも、ヨガの哲学から得られることだと思います」

YUNOさんはヨガを始めてから「ネガティブなことを味わう」という感覚がわかるようになったそうだ。

「不安定なバランスを楽しんだことってありますか?」と話しながら、ヨガには「不安定でぐらぐらしててもいい」ということを身体で体感していくポーズもあると教えてもらった。

ヨガというと、ポーズをつくって身体を動かすというイメージがあったけれど、決してそれだけではないのだということを知った時間だった。「身体と心はつながっている」という言葉はよく聞くけれど、それが自分のなかにすっと溶け込んだ感じ。きっとレッスンを受けたり、長く続けていったら、見える世界がもっとあるのだろうなと思う。

家に帰って、習ったストレッチをしてみる。明日の朝は自分のために時間を使ってあげよう、ぎゅうぎゅうに予定を詰めるのではなく余白をつくりながらやっていこう。背中にある羽みたいな部分を意識して生活しよう。そんなことを思いながら眠りについた。

YUNO TAKEMURA

IGNITE YOGA 認定講師。北海道生まれ。2021年に独立し、ヘアメイク、美容師、サロンワークを中心に、ヨガインストラクターとして活動中。アシスタントとして忙しく働いていた時にメンタルの不調を抱えたことをきっかけに、ヨガ療法や植物療法と出会いヨガの国際ライセンスを取得。自身の体験を活かし、自分や周りの人たちが心地よく生きるための健康と美容にフォーカスしたウェルネスを提供している。

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IGNITE YOGA studio h

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text&photo_Maki Takenaka illustration_Karin Okamoto edit_Kei Kawaura

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