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食のプロのセンスをインテリアから学ぶ。CASE2 料理人・鈴木美樹

Hanako.tokyo / 2023年9月9日 16時0分

食のプロのセンスをインテリアから学ぶ。CASE2 料理人・鈴木美樹

おいしいものを作る人、おいしい場所をプロデュースする人。
食に関わるプロフェッショナルのセンスを、プライベート空間のインテリアから学びます。

設計は建築家・木下昌大さんに依頼。外壁、内壁ともグレーで天窓を設けた。鏡の上部に映り込むペインティングは、金沢が拠点のアーティスト・LAKAの作品。

鈴木美樹 料理人

すずき・みき/1974年、東京生まれ。計4年半のイタリア修業と、日本のイタリア料理史に名を残す澤口知之シェフの下で料理を学び、2011年〈メッシタ〉を開業(2017年閉店)。現在のレストランは紹介制。

「肉、魚、野菜、バランスのよい和食をたっぷり」

「食べることが一番の楽しみ」という食いしん坊で、男性にも負けない大食漢。今は外食より、自分で好きなものを作って食べるのが気分だ。ある日の献立。主菜は油淋鶏とかつおの刺身。野菜サラダとオクラの胡麻和え。ご飯は玄米を土鍋で炊き、味噌汁も作る。あんのごはんも一緒に準備。同じく、肉や野菜などをバランスよく。

働き、暮らす場所を一つにするために建てた家。

店はカウンター4席とテーブルが1卓6席。天井の一部をアーチ状にし、天窓を作った。天窓がある分2、3階は1階より少し狭くなっている。3階の自室の1/3はクローゼット。



6年前、一念発起して建てた家は、1階にレストランを備えた3階建て。時間をかけて買い集めた家具を配し妥協なく整えた空間は、小さいけれど、世界一楽しくくつろげる場所だ。
1階がレストランで、2階が家族の部屋とバスルーム、3階が自分の部屋。東京都世田谷区の端、生まれ育った実家を自分で建て直したのが今の店、そして家だ。住まいの1階で店を営むスタイルは、イタリア南部、シチリアの小さな町でよく訪れた、宿付きの食堂からヒントを得た。
2011年から6年間、目黒で〈メッシタ〉という店を営んでいた。朝4時に起きて市場に仕入れに行き、そのまま店に行って仕込みをして、夜からの営業を終え、深夜1時過ぎに帰宅する。開店から4年が経った頃に「こんな生活、長くは続けられない」と気付いた。家を建てる決断をしたのは、そのときだ。



時間をかけて作った“引きこもりたい”部屋。
現在の鈴木美樹さんの生活は規則正しく健康的だ。朝4時に起きて、愛犬のあん(レモンビーグル、4歳)と2時間、散歩をする。帰宅後にシャワーを浴びて、軽い朝食を摂る。家や店の掃除をし、レストランの営業がある日は仕込みをする。メインの食事は14時過ぎから。量も品数も多い。
「基本、和食で構成は毎日同じ。肉と魚料理が1品ずつ。火を入れた野菜と生野菜、玄米と汁物。イタリア料理は、食べません」
ペースを乱したくないから、休日も同じ時間に食事を摂り、夕方からは部屋にこもって、D
VDや配信で映画を観て過ごし、21時には寝る。外食にもほとんど行かない、積極的な“引きこもり”。家が好きなのだ。
今の家を建てる前、2年間だけマンションを借りて一人暮らしをした。玄関を開けるとガラス張りのバスルームがある、斬新な造りのデザイナーズマンション。イタリアでの修業期間を除けば、実家でしか暮らしたことがなかったから、家作りの参考にしたかったというのが理由だという。同時に、ストックルームの役目も果たした。今の店にある大きな時計や鏡、鍋の形をしたランプシェードは、すべてイタリアでコツコツと買い集めて、取っておいたものだ。
家具ばかりではない。洗面台やトイレの便座も、メイド・イン・ヨーロッパというこだわりよう。アートもデザインもファッションも「本物が好き」。妥協は絶対にしない。流行りにも乗らない。家を設計した建築家も、店の壁のペインティングを手掛けたアーティストも、新進気鋭、これからの人を自分で見つけてきた。

1.自室の手洗い場とテーブル。ここも、計算された雑然。

2.朝起きてすぐ、散歩帰り、店の営業前、就寝前と、毎日4回使うバスルーム。バスタブの外側にも壁と同じタイルを張っている。

3.食卓、デスク、ドレッサーを兼ねるテーブル。いい意味で生活感がある。子犬の頃、おてんばだったあんに壁や床を傷つけられたが、あんには甘々。



ブランドに頼らない、遊び心をちりばめる。
家で一番気に入っている場所は、バスルーム。バスタブまでタイル張り、ジャグジーまで付いている。あとはベッドの上。クイーンサイズの〈アルフレックス〉のベッドには、あんが自分で上れるよう、特注のステップを付けてもらった。
高級家具やオーダーメイドの家具が並ぶが、決してインテリア雑誌のような部屋ではないのも面白い。L字形のキャビネットには、子供の頃から今に至るまで大好きなスヌーピーのグッズあれこれやイタリアで買ったドゥオモのミニチュア、ピッツァの箱からけん玉(!)まで、好きなものがぎゅうぎゅうにディスプレーされている。何だかよくわからないけれど、クスッと笑えたり、突っ込みたくなったりするものを並べて、空間をにぎやかに楽しくするセンスは、店でも発揮されている。
イタリアで買い集めたレシピやインテリアブック、好きな映画のDVDボックスの背表紙もにぎやかだ。ハイセンスなアートブックもベタなラブコメも、全部「自分を作ってきたもの」。
それから、あん。あんを迎えて4年、「生活はすっかり、あん中心」だと言う。犬が描かれたブランケットや犬のおもちゃがあちこちに散らばり、まるで子供がいる部屋のよう。その混沌に、安らいでいる。

ESSENTIALOFMIKI SUZUKI
自分だけの秩序を、隅々にまで行き渡らせる。



( STOCK )



( SNOOPY )



( SHELF )



「残り少し」が不安なストック魔。
トイレの収納を開けると、スポンジがずらり。洗剤各種からバス用品、トイレットペーパー、文具まで、十分な在庫がないと不安な自称「ストック魔」。


生まれたときからスヌーピー好き。
敬愛する亡き母が残してくれた幼少期のアルバム。数えきれないほどのスヌーピーコレクションを持つ偏愛ぶりは、物心がつく前から育まれていた。


乱雑、整然、埃っぽさなき混沌。
一見、混沌。でも自分にとって心地よいビジュアルが計算し尽くされたキャビネットのディスプレー。乱雑に見えても塵や埃は許せない“掃除の鬼”だ。

photo_Norio Kidera illustration_ Yo Ueda text & edit_Kei Sasaki

No. 1224



No.1224 『京都の味』 2023年08月28日 発売号

今号から、Hanakoがリニューアルします。 Hanakoが創刊時から大事にしてきたDNA・食と旅を軸にして。 領域は、家の食事を楽しむためのインテリアと道具、旅の持ち物、日本各地のカルチャー情報も……。 一時的な情報だけでなく、読者のみなさんにとって、Hanakoの記事が刺激となり、脳内シナプスが多方向につながり、楽しいことがどんどん広がって、新しい世界が開いていく特集を作っていきます。 リニューアル第一号は、京都の味について考えます。 平安時代に始まり、戦国時代を通して、現代へ。古くから、日本人が京都を目指すの …



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