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食のプロのセンスをインテリアから学ぶ。CASE5 丸山智博 〈シェルシュ〉 代表・料理人

Hanako.tokyo / 2023年11月20日 18時0分

食のプロのセンスをインテリアから学ぶ。CASE5 丸山智博 〈シェルシュ〉 代表・料理人

丸山智博 〈シェルシュ〉 代表・料理人

まるやま・ちひろ/1981年、長野県生まれ。2010年、代々木上原〈メゾンサンカントサンク〉開業を皮切りに〈LANTERNE〉〈AELU〉など、レストラン、ギャラリーショップ計6軒を経営。飲食店のプロデュースも手掛ける。

本連載「HOME SWEET HOME」の記事一覧はこちら。

自分史を繋ぐ、少し贅沢でミニマムな暮らし。

キャリアを重ねた今だから手に入る贅沢を享受しつつ、思い描く“理想の住まい”の最終形に向けた中継地点でもある。丸山智博さんの家の在り方から、歩んできた道とこれからが見える。

ダイニングの「シェーカーチェア」と揃えた、ボーエ・モーエンセンのベンチで朝食を。ガラスの天板のコーヒーテーブルは20年来の相棒。

テーブルクロスはクラシックに、花も忘れずに。

小さなダイニングテーブルと大きなプランターに加え、ラタンのアームチェアが二つ、並ぶ。ほぼ正方形の広いベランダは、丸山智博さんが今のマンションに住むことを決めた理由の筆頭だ。
「一つの部屋として考えられるなと思ったんです。休日、ゆっくりブランチを楽しんだり、仕事部屋として使ったり。気候のいい時期は、最高ですよ」



小さくてもくつろげて人が集まる家が原点に。

1.床から天井まで一面が収納に。目線の高さに当たる部分がガラス扉になっている。エアコンも収納の下部に。

2.木の天板が珍しいキッチン。

3.スペースに合わせて選んだかのようなキャビネット、実はコーヒーテーブルの次に付き合いが長い15年選手。照明は池尻大橋〈LANTERNE〉と同じ、〈ニューライトポタリー〉のもの。

自ら経営するレストランやギャラリーショップに加え、カフェなど飲食店のプロデュース業も数多く手掛けている丸山さん。料理人であると同時にインテリアやプロダクトのプロでもある。家具からアート作品まで今の部屋に合わせ、厳しい目で選び抜かれたものが隅々まで……と思いきや、実は丸山さんが20年来使い続ける〝古株〟も活躍する。
「コーヒーテーブルは、料理人を目指して上京してすぐ、都立大学の1Kの部屋に住んでいた頃に〈ランドスケーププロダクツ〉のファミリーセールで買ったものです」

料理人見習いは薄給で長時間労働が当たり前だった20年前、「寝に帰るだけ」と、住まいをおろそかにする仲間も多かったが、丸山さんは違った。セールとはいえ10万円以上の買い物は大奮発だったが、「家は居心地よく、くつろぐ場所」という想いが当時からあったのだ。

その後、調理師学校時代の同級生で和食の料理人とルームシェアをしたことも。リビングのほかに二部屋あり、若い二人が住むには十分な広さだった。

築約50年、1970年代にできた建物。2LDK+ベランダで約70㎡。構造的に手を入れた箇所はなく、収納の取っ手やカーペットの床など、少し懐かしさもある“そのまま”を生かしている。

「人が集まる家でした。昔から家に友達を招くのが好きで、料理が好きになったきっかけでもある。わいわい盛り上がっているのを少し離れたところから眺めて、料理が楽しさに一役買っていると思えると、たまらなくうれしい。今も、家でも店でも」

コーヒーテーブルに格別の思い入れがあるわけでもないのだが、「買い替えてもいいけれど、とりあえず」と運び込んだ先々に違和感なくハマるものだから、別れ際が見つからない。建物の周りを木々が囲む今のマンションでは、ガラスの天板が窓の外の鮮やかな緑を映し出す。

シンプルに特別を楽しむ一日の始まり。

妻のデンマーク出張土産〈リル・ベーカリー〉のシリアルで朝食を。デンマークの離島・レソ島の塩をアクセントにハーブを添えて、季節のフルーツと一緒に。食べることが大好きな妻のおかげもあり、シンプルながら贅沢な一食。朝はパンとコーヒーなど軽く、夜はしっかり和食が多い。



店作りと同時に楽しむミニマムな暮らし。
広いベランダに加えてもう一つ、今のマンションでとても気に入っているのが、豊富な造り付けの収納だ。
「次に引っ越しをするときは、家を買ったり、建てたりするかもと考えると、一生ものの家具選びは、そのときまで取っておき、今は少しでもミニマムに暮らせたらという気持ちです」

おかげで家具は最小限、ガラス扉だから見せる収納にも好適。文学にビジュアルブックとカラフルな本の背表紙が、日常使いのものからアートピース的なものまで数々の器が、フラットな収納にぴたりと収まりながら、部屋に彩りを生み出している。
「食事の支度中、どの器に盛ろうかと考える時間が楽しい」と、その扉を開け、いくつかを手に取りながら話す。朝は、パンやグラノーラで軽く済ますのがお決まりだ。テーブルウェアは、まず家用に一つか二つ買って、手触りや使い心地、耐久性などを確かめてから、店用に購入することも多々あるという。
「家具もときどき、店と家のものを交換したりするんです。模様替えの選択肢が広がって、どちらもリフレッシュできる」

ビストロに居酒屋、カフェなど業態やキャラクターはさまざまでも、どこか共通する〝丸山カラー〟は、住まいを軸足に考える、楽しさや居心地から来ているのだろう。店の厨房に立つことが少なくなった今も、時折営業中の店をふらりと訪れる。小さな家に人を招くのが好きだった若い頃同様、少し離れた場所から、人々がにぎわう様子を確かめるのだ。

ESSENTIAL OF CHIHIRO MARUYAMA

フラットな収納に並ぶ知と美のコレクション。



( POTTERY )
膨大な器類は用途別に。
ギャラリーショップオーナーでもある丸山さんの器のコレクションは膨大。
キッチンからの動線や使う頻度を考えた収納を心がける。




( BOOK )
所有枠がそのまま分類枠。
サイズとジャンルが連なり、景色として美しい書架。
海外のアートやビジュアルブック、レシピ本はもちろん、硬派な純文学も多い。




( CAMERA )
玄人はだしの写真道具。
SNS等のためにカメラを買い、撮り始めた写真が、今や仕事になることも。
プロのカメラマンも思わず見入るカメラコレクション。


photo_Norio Kidera illustration_Yo Ueda text & edit_Kei Sasaki

No. 1226



No.1226 『もう少しだけワインのことを知りたい』 2023年10月27日 発売号

今日も町のレストランやワインスタンドには人があふれ、そこにはにぎわう場に欠かせないアイテムとなったワインが。楽しく飲む!が正解。でも、楽しければ楽しいほど、後日“この前飲んだおいしかったワイン、何だったっけ”となることはありませんか?それはとてももったいないことだと思うのです。今よりもう少しだけワインのことを知ることができたら、自分にとっての“おいしいワイン”を忘れずにいられるようになるかもしれません。 教科書は、町のグラスワインにワインショップに並ぶボトル。必要な知識・教養をまとめた「ワインがもっと楽しくなる基礎 …



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