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食のプロのセンスをインテリアから学ぶ。CASE6松坂 愛〈赤い部屋〉 オーナーソムリエール

Hanako.tokyo / 2023年11月21日 15時0分

食のプロのセンスをインテリアから学ぶ。CASE6松坂 愛〈赤い部屋〉 オーナーソムリエール

松坂 愛 〈赤い部屋〉 オーナーソムリエール

まつざか・あい/神奈川県生まれ。ライブレストラン〈ブルーノート東京〉でソムリエールとして15年間活躍。2016年、パートナーの飯田貴志さんとお好み焼きとナチュラルワインの店〈赤い部屋〉を開業。J.S.A.認定シニアソムリエ。

本連載「HOME SWEET HOME」の記事一覧はこちら。

猫と住む“赤くない”マイ・スイート・ホーム。

年1ペースの“引っ越し魔”に終止符を打つべく、パートナーと一緒に都心に構えたマイホーム。猫は3匹、赤は控えめ、小さな空間の中に「自分たち基準」の快適を詰め込んだ。

黒白のふじくんが食卓に。三本の脚が紐蝶番でつながれたテーブルは、森宣雄デザイン。店の絵は座二郎氏の作品。

キッチンにも小さな窓がある。白猫のまめくんと。

松坂愛さんがパートナーの飯田貴志さんと暮らす家は、世田谷区の三軒茶屋にも下北沢にもアクセスしやすい住宅街にある。「下北沢界隈が好きで、ずっと周りを転々としている感じです」
2人で暮らし始めて7年で5回もの引っ越しをした。
「最初は、少し背伸びして代沢に一軒家を借りたのですが、当時の私たちには贅沢過ぎた(笑)。次は店を開ける時期だったので、〝軌道に乗るまでは〟と慎重になり、渋谷区東の小さな部屋に。もうネタ満載の古い家で」
 その後も、少しくつろげる部屋を求めて参宮橋のルーフバルコニー付きマンションに、猫との暮らしを考え始め下馬のペット可の物件に、という具合だ。



〝出世マンション〟を経て2人と3匹の家族に。
 

1.80年前の真空管ラジオは、飯田さんの父がレストアしたもの。ざらりとした音でAM放送が流れる。

2.ガスストーブで冬支度。バルコニーで過ごす時間を増やすのが目標。

3.松坂さんの寝室。赤いベッドカバーの上にかけられたブランケットは、友人のデザイナー・榎悠太さんの手編み!

4.トイレは、赤い照明がアクセント。

渋谷区東の小さな部屋は、大家さんいわく〝出世マンション〟。「うちに住んだ人は、みんな偉くなるの」が口癖で、気にかけて店にもよく来てくれたという。言霊が効いたかはわからないが、店は着々と繁盛店になった。ナチュラルワインとお好み焼きとレコードの店、ミラーボールがきらめく〈赤い部屋〉は、いくつになっても遊び足りない大人たちで、夜ごとにぎわっている。
 はからずも自宅で過ごす時間が増えたコロナ禍に、念願の猫を迎えた。最初の緊急事態宣言時にキジトラのつぶ、2度目に白猫のまめ。結局3年の間に黒白のふじまで加わり、人より猫が多い2人と3匹家族になった。不動産業を営む店のお客さんに、今の家を紹介されたのもその頃。条件付きの古い一軒家は破格の安さで、立地もいい。こうして考えてもいなかったマイホーム購入、フルリノベーションに踏み切ることになったのだ。

 スペースや建築基準上の制約があり、予算にも上限がある。でも「いろんな家に暮らしたおかげで、住まいに求めること、その優先順位がクリアになっていたのはよかった」と振り返る。



明るく風通しのいい家で、飾らず規律ある日常を。

築65年を超える再建築不可物件をフルリノベーション。1階はそれぞれの寝室とバスルーム、トイレ、2階にキッチンとリビングダイニングがある2LDK。バルコニーは約8畳。

 最優先事項は、猫たちの〝住み心地〟だ。持ち家となれば格段に自由度が上がり、キャットドアは、全ドアに標準装備した。庭かバルコニーか、外でくつろげる場所も譲れない。一日の大半を、地下の〈赤い部屋〉で過ごすから? ともあれ、一部屋分の広さがあるバルコニーを造った。コーヒーブレイクにアペリティーヴォと、外の空気に触れて過ごせる場所があるのは、都会暮らしには大きな贅沢だ。

「実際、そんな余裕ないんすけどね」と話す飯田さんは、松坂さんにとって、仲の良い友人のような存在。仕事もプライベートも一緒でも飽きず、休日も2人で食事に出かけ、共通の友人たちと旅をする。でも、それぞれの部屋は設けた。一人になれる場所は必要。例えば、何にも邪魔されず深く眠りたいとき。不規則になりがちな生活を続けながら、不健康に陥らないためには睡眠と食生活はおろそかにできない。食事は基本、1日1・5食。簡単で、でも雑にならないものを心がけている。

 リビングダイニングには当初、憧れのソファやダイニングセットを買って置いてみたが、どうにもピンとこず、結局、松坂さんが一人暮らし時代から愛用するウォールナット材のローテーブルをちゃぶ台使いにする形に落ち着く。物持ちはいいほうで、自室には20年もののラグもあるし、家電も器も料理家、編集者、デザイナーなどの友人たちから何らかの形で譲り受けたものが多い。新品もいいけれど、センスよく気心も知れた友人が使ってきたものを受け継ぐのが好きなのだ。
 広いバルコルニーを介して外とつながる明るく風通しのいい部屋は、真新しくいい意味で飾りっ気なく、すっぴんの美肌のような清々しさ。クセ強な大人を相手に刺激的な夜を回すソムリエールが、素顔で寛いでいる。

スパイス×発酵、〝ととのう〟作りおきカレー。

冷凍しておけばレトルト級に手軽に食べられる、喜多見の人気店〈ビートイート〉の竹林久仁子さんによるレシピのラムカレー。仕込みは飯田さんの担当。白菜とセロリのアチャールは松坂さん作で、一度干してから発酵させて、自家製の梅酢で味付けしている。忙しい毎日を助けるバランス食だ。

ESSENTIAL OF AI MATSUZAKA

シンプルな暮らしを彩るポップでカラフルなアクセント。



( TREASURE )
寝室に隠したお宝。
小沢健二の『LIFE』(1994年)リリース時の等身大ポップが寝室に! いつか店に飾る予定。容量90本のワインセラーは、店のワインの保管用。




( SAKE )
プライベートは日本酒党。
「飲み切りにちょうどよく、このまま燗もつけられて、電車旅に持っていくにも便利」と、好きな蔵の純米酒を小瓶で常備。晩酌は日本酒が多い。




( FOOD CONTAINER )
レトロなフードコンテナ。
「タッパーウェア」など、昭和の食品保存容器をコレクション。密閉性が高く、冷凍も自在。「メルカリ」で買ったり、友人たちから譲り受けたり。

photo_Norio Kidera illustration_Yo Ueda text & edit_Kei Sasaki

No. 1226



No.1226 『もう少しだけワインのことを知りたい』 2023年10月27日 発売号

今日も町のレストランやワインスタンドには人があふれ、そこにはにぎわう場に欠かせないアイテムとなったワインが。楽しく飲む!が正解。でも、楽しければ楽しいほど、後日“この前飲んだおいしかったワイン、何だったっけ”となることはありませんか?それはとてももったいないことだと思うのです。今よりもう少しだけワインのことを知ることができたら、自分にとっての“おいしいワイン”を忘れずにいられるようになるかもしれません。 教科書は、町のグラスワインにワインショップに並ぶボトル。必要な知識・教養をまとめた「ワインがもっと楽しくなる基礎 …



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