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湘南ならではの食体験。食材への愛に溢れた若き料理人、片岡聖斗。 | “おいしい”のその先を求めて。Meet the Chef

Hanako.tokyo / 2023年11月24日 18時30分

湘南ならではの食体験。食材への愛に溢れた若き料理人、片岡聖斗。 | “おいしい”のその先を求めて。Meet the Chef

星子莉奈 フリーランスPR、ライター

レストランのプロデュースやディレクションに加え、PR、ライターなど食にまつわる仕事をメインにフリーランスとして活動している。

のんびりとした空気が流れる和田塚に溶け込む一軒家レストラン

鎌倉駅から江ノ電で一駅、閑静な和田塚駅の目の前にある一軒家レストラン〈

BREEZE BIRD CAFE & BAKERY〉。

元々オーナーさんが住まわれていた邸宅をリノベしたというレストランには、

自然との一体感を感じる大きな庭

ノスタルジックを感じる表札がそのまま残されています。店名の通り、そよ風が気持ちよく、どこからともなく鳥のさえずりが聴こえてくるロケーションは、

訪れるだけでゲストの気分を高めてくれます

2年前のオープンから、着実に地元のファンを増やし、最近では

東京からはるばる通う食いしん坊も増えているという〈BREEZE BIRD CAFE & BAKERY〉のシェフ、

片岡聖斗さんに料理へのこだわりと、これまでの歩みを伺いました。

湘南で揃えた食材にシェフの好奇心が吹き込まれる

海で魚を釣ったり、山にキノコを獲りにいったりと、

自分の足で食材を調達しにいくのが好きだと話す片岡シェフ。自ら手に入れた食材であれば思いはひとしおで、お客様にも

その食材をどこでどのように獲ってきたのか、細かく説明されていると言います。

この日は横須賀の走水海岸で

先週釣ってきたという太刀魚と、

鎌倉で採れたインゲンを春巻きにした珍しい一皿。サフランとトマトを使ったあっさり目の赤いソースをたっぷりと纏わせ、早速いただきます。

FISH LUNCH:3,000円(※2023年11月21日現在)

パリッとおいしい音を立てると、

インゲンの旨味がしっかり染み込んだふわふわの太刀魚に到達


素材の旨味が凝縮されたとても優しい味。はじめての組み合わせなのに、なんだか馴染み深くて、不思議な感覚です。

お肉料理は、藤沢の「みやじ豚」の内モモを

低温調理でローストしたもの。「先日ご近所の鎌倉ワイナリーさんへお手伝いに行った際に、シャルドネの搾りかすをいただいたので、塩麹と合わせ、お肉を漬け込みました。

塩麹臭さがなくなり、味わいに深みが出ます。」と、シェフ。

MEAT LUNCH:3,300円(※2023年11月21日現在)

付け合わせは

丁寧にローストされた湘南のお野菜、下には

玉ねぎと生姜を使ったソースが敷かれ、

旬の青ゆずが添えられています。最後にオーブンで焼き付けているというお肉は、

外側はカリッと香ばしく、中はもっちりと弾力があり、思わぬ食感のギャップに動揺させられる逸品です。

セットには鎌倉野菜の豊かさを感じられる

ボリューム満点のサラダも。葉野菜の上にはイチジクと赤ワインで煮込んだほんのり甘いサツマイモと横須賀で獲れたサバのチリコンカンが盛り付けられています。



BREEZE BIRD CAFE & BAKERY〉の入り口には

14種類ものパンがずらりと並び、朝から焼き立てを求めるお客様を、

芳純な香りと共に出迎えてくれます。もちろんこちらも、ランチセットでいただくことができます。

“釣り好き“が強い動機となって、料理の世界へ



実家が釣具屋で、家の裏に海がある環境で育ったので、物心ついた頃からずっと釣りをしていました。

料理人を志すきっかけになった原体験も釣りでした。釣ってきた魚を料理して、家族に美味しいと言ってもらえるのが嬉しかったので、料理の道に進むことを決めたんです」。

水産高校に進学して調理師免許を取得した後、

実習船で料理人として働きはじめた片岡シェフ。

「船の上では電波もない狭い相部屋で生活し、今考えると過酷な環境だったように思いますが、日本全国を巡りながら

各地に根付く郷土料理や食材に刺激を受け、なんとか楽しくやっていました」。

船旅生活も3年を過ぎた頃、

片岡シェフに転機が訪れます

「たまたまテレビを観ていたら、RED U-35(35歳以下の料理人が出場する大会)の第一回大会の最終戦が流れていました。その映像を眺めていたら、“

このままここで仕事を続けて、自分は数年後にここに辿り着けるのか”という疑問がふつふつと湧いてきたんです。直感的に

今すぐ踏み出さなきゃダメだと思って、その足で辞表を出しに行きました」。

そのまま東京へ上京し、素材を生かしたフレンチベースの料理に定評がある新富町の名店〈Coulis〉で働くことに。今までとは180度異なる環境でゼロからのスタートを切った片岡シェフ、サービスとキッチンを兼任しながら奮闘していたと言います。

「料理を提供できるようになったのは3年目からで、それまではサービス中心でした。あの頃はサービスを学ぶ大切さをよく理解できていなかったんですが、今となっては、

本当にいい経験をさせていただいたな、と。

〈Coulis〉では計6年働かせてもらったんですが、その間に

お客様を観察するクセが身につき、年配のお客様がご来店されたら塩分を控えめに、若い方がいらっしゃったらボリューム多めにと、自然と

お客様一人ひとりに寄り添った料理が提供できるようになりました」。

さらに現在は部下を指導する立場になり、改めて当時の経験が生きていると実感しているそうで、「2年前から今のお店に移り、部下を数名抱えながら仕事をしていますが、

視野を広く持ちながら指導できるのも、あの時の経験があったからこそ。本当に感謝しています」。と語ってくれました。

あるようでなかった“新しい味わい”を教えてくれる



食材に会いに行かないと、料理のイメージが浮かばないんです」と、片岡シェフ。生産者さんの元を訪ねるのはもちろん、日常的に市場やスーパーにも足を運んでいるそう。

「生産者さんから話を伺いながら、どう調理するか考える日もあれば、その食材を手にとった時の感覚がダイレクトに料理に反映されることもあります。

香りや色など、五感が刺激されてインスピレーションが湧くパターンです」。

メニューは食材ありきで決めていると言い、「食材がなくなってしまえば、メニューも変わるので

数日間限定のメニューなってしまうこともあります」。

それでも食材優先で料理を作りたいと思うのはなぜですか、と投げかけると「

その土地を活かしてどんな食材を作れるかということに向き合っている生産者さんに惹かれるからです。
信頼している生産者さんがおすすめしてくれる食材は、

できる限り使いたいと思っています」と、率直な想いを明かしてくれました。

今まで出合うことがなかった食材を掛け合わせ、

新しい味わいを教えてくれるのも片岡シェフならでは。

どこからその閃きが生まれてくるのか興味が湧いて尋ねてみると、「

レシピ本を読むのが好きなんです。でもその通りに食材を集めるのではなくて、旬の食材だったり、庭にある食材だったりを使って再現してみます。すると今までにあったようでなかった、

新しい味わいに出合えるのがいいところです」と、爽やかな笑顔で答えてくれました。

その一皿が生まれた情景に思いを馳せて



自然に身を置く“ことが好きだと語る片岡シェフ。だからこそ食材への興味を絶やさず、その大切さを本質的に理解することができるのでしょう。

食材の特徴を捉えた調理によって完成された一皿からもその想いをしっかり感じられますが、お料理の解説に耳を傾け、鮮明にその一皿が生まれた情景を思い浮かべて食事をすれば


食べ手もより一層、食材への理解が深まるはず

そんな尊い食体験を求めて、私はこれからも鎌倉に通い続けます。

INFORMATION



今回うかがったお店:BREEZE BIRD CAFE & BAKERY


場所:神奈川県鎌倉市由比ガ浜3-4-5


営業時間
【BAKERY】9:00~15:30頃
【MORNING】9:00~11:30(L.O.10:30)
【LUNCH】11:30~15:30(L.O.14:30)
【DINNER】18:00~22:00(L.O.21:00)
※ディナータイムは12月より


電話番号:0467-73-8055


公式HP:https://breeze-bird.com/

text_Rina Hoshiko photo_Ryo Tsuchiya

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