1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

食のプロのセンスをインテリアから学ぶ。CASE8大津光太郎オーナーシェフ

Hanako.tokyo / 2023年12月14日 15時0分

食のプロのセンスをインテリアから学ぶ。CASE8大津光太郎オーナーシェフ

大津光太郎 オーナーシェフ

おおつ・こうたろう/1982年、東京都生まれ。専門学校卒業後、脇屋友詞シェフに師事。〈トゥーランドット臥龍居〉などで15年腕を磨き、2018年開業。レストラン仕込みのモダンな料理とワイン、酒場スタイルの店で中華の新時代を拓く。

本連載「HOME SWEET HOME」の記事一覧はこちら。

家族の記憶が詰まった家を、未来形に更新。

生まれも育ちも下町、江東区。祭好き、人と集うのが大好きという大津光太郎さんは、父から受け継いだ実家を大胆にフルリノベーションした。大事な家族と、仲間との拠点になる家。

〈プレイマウンテン〉のテーブルをもとに、カウンターを設計。

江東区内に立つ4階建ての住居兼テナントビルは、大津光太郎さんの実家だ。数年来、父が一人で暮らしていた家を、昨年引き継ぐことになった。都心に一戸建てとは多くの人の憧れ、「親に感謝です」と話すが、自身でも26歳のとき、都内にマンションを購入している。
「不動産業をしていた父から、買うなら早いうちがいいと助言され。若かったけど、修業先が有名店で8年以上勤めていたので、融資先からの信用も得やすかったんです」

厨房、食卓を中心に、人が集う場所を作る。

ビルのエントランスから3階の自宅玄関まで、コンクリートの床で統一。エレベーター付き! 

大津さんの希望であつらえたシステムキッチン。自身が台所に立つのは、「妻の誕生日だけ」。

大津さんの希望であつらえたシステムキッチン。自身が台所に立つのは、「妻の誕生日だけ」。

洗面所の壁は、石材のタイルに。

ガレージ兼倉庫には、スニーカーコレクションも。自転車は、トライアスロン用を含めて3台所有する。

 住まいに求める条件は人それぞれだが、大津さんの場合、「新しさ」は譲れない。実家を出て、賃貸を含め4軒の家に住んだが、すべてが新築か同等の築浅物件だ。今回の住み替えに際しても、妻と二人の今の生活になじむよう、3、4階の住居部分を大改修した。
 新しい大津家のシンボルは、4階ワンフロアを占有する、約40㎡のLDK。キッチンとリビングダイニングの床に高低差を設け、長いテーブルで一つにつないでいる。
「以前から使っていたダイニングテーブルに天板の材質を合わせてキッチン側のハイカウンターを作ったんです。日常で使い分けもできるし、大人数でも集まれるようにと」
 下町で生まれ、地域との関わりの中で育ってきた大津さんにとって、人と「集う」場や機会は大事。最たるものが店であり、家もまたその延長線上にある。
「インテリアは8割がた妻任せで」と、満足気に話し、家ではほぼ料理をしないというが、厨房機材は自分で選んだ。ガスコンロと食器洗浄機はスウェーデン〈アスコ〉社製。システムキッチンはカスタムキッチンブランド〈キッチンハウス〉に依頼したオーダーメイドだ。
「ありそうでない火口の配置は使い勝手がよく、火力もプロ仕様。日本のシステムキッチンは機能過多なので、あえてミニマムに仕上げました」 
 日々の食事は、朝に重点を置き、夜は極力食べない。夜型にならざるを得ないシェフの仕事を続ける中で辿り着いた、健康管理術だ。『スター・ウォーズ』グッズを中心に、〝趣味の部屋〟感満載な店には文系キャラがにじむが、小学校から専門学校時代まで野球を続けた体育会系。今も朝から10キロ走り、フルマラソンも完走する。朝食は、妻の弓さんが支度してくれる。秋田から送られてくる米が主役の和食だ。
 リビングにあるのは、ソファとコーヒーテーブル、テレビのみで、すっきりとしている。大型の収納家具を置かずに済むのは、ロフト部分に作った書架と、広いガレージのおかげだ。転居の時期に空いた1階の物件を、丸ごとガレージに。車を1台置いても余裕があるから、業務用冷蔵庫を置いて、店のストックと空間を分け合っている。

築29年、鉄筋コンクリート4階建て。現在、2階のテナント以外は、大津さん夫妻が使用している。3階に住居の玄関、バスルームと寝室がある。屋上の使い道も考え中。

今の自分を作った、家族の記憶を繋ぐ家。

 子供の頃は、木造2階建てだった実家の1階で、母が美容室を営んでいた。その母が若くして亡くなり、父が建て替えたのが今、暮らしているビルだ。
「料理をするようになったのは、母のことが大きい。食べるものは自分で、少しでもおいしくと考えるようになったから。母が生きていたら、美容師になっていたかもしれません。漠然と家を継ぐという意識があって」
 好きな家で気ままに暮らす選択肢もあったけれど、帰ってきたのは「家を継ぐ」ため。2歳下の妹にとっても、家族の思い出が宿る大切な家だ。二人暮らしとは思えないダイニングは、兄妹がそれぞれの家族や友人を連れて来ても集えるサイズ感。頑固さ控えめ、次代の「下町のオヤジ」は、人の輪の中で年を重ねていくのだろう。

秋田の米が主役、エネルギー源は毎朝のご飯。

一日の活力の源は、朝食にあり。妻の弓さんが、故郷・秋田の親戚が栽培するとびきりのあきたこまちを取り寄せ、〝至高の炊飯釜〟との呼び声が高い「ベストポット」の鍋で炊いてくれる。味噌汁やご飯のおともと一緒に、多いときは二杯おかわりし、しっかりとエネルギーチャージする。

ESSENTIAL OF ASAMI KUCHIOKOTARO OTSU

デッドスペースも活用、物量を感じさせない充実の収納。



( WINE CELLAR )
店のストックを兼ねたセラー。
ビルのエントランスと、建物内のガレージの入口をつなぐ廊下をワインセラーに。約400本あるうちの半分は熟成中の店用在庫で、半分が自宅用。




( BOOKSHELF )
自宅の最上部に位置する書架。
ロフト部分に作り付けた本棚。料理書や専門誌は大津さん、映画関連の書籍やパンフレットなどは弓さんと、棚を分けてさまざまな本が並ぶ。




( TABLEWARE )
キッチンカウンター下の器収納。
決して少なくない食器類だが、キッチンのカウンター下に設けた収納にきっちり収まる。店の器製作も依頼する、国内の作家のものが多い。


photo_Norio Kidera illustration_Yo Ueda text & edit_Kei Sasaki

No. 1227



No.1227 『47都道府県、おいしいあの町へ』 2023年11月28日 発売号

47都道府県、あらゆる県のあらゆる町に、まだまだ私たちが知らない、おいしいものが待っています。 1県たりとも食べ逃したくない! そんな食いしん坊心で、「47都道府県・全県グルメガイド」ができました。ガイド役は、各県に暮らす食通、総勢47名。それぞれの県から1箇所ずつ、今行くべきグルメエリアをピックアップし、在住者の目線で「おいしい地元案内」を披露してもらいました。郷土料理、食堂、スイーツ、ご当地土産、B級グルメから、グルメと併せてチェックしたいアートスポットやパワースポットまで、旅の目的地はなんと合計282スポット …



もっと読む

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください