女子柔道と桜宮高校の体罰問題で考える、暴力が「身体と魂」に与える深い傷

ハピズム / 2013年3月4日 21時0分

写真

 3月4日、ロンドン五輪の柔道日本女子代表ら15選手が指導陣による暴力やパワーハラスメントを告発した問題で、辞任した園田隆二前監督に代わって指揮を執る監督代行と女性コーチ2人が辞意を固めたことがわかった。この、女子柔道選手による告発や、大阪桜宮高校の体罰による生徒の自殺事件などを皮切りに、これまで日本では公の議論を避けてきた「体罰」が社会的な問題になっている。

 体罰はお互いの関係性や、その暴力の程度、時代背景や当事者の価値観などによって認識や解釈が異なる。だが、体罰という名の虐待、暴力行為はある種の精神的・心理的歪みと関係していて、暴力そのものの悪影響が過小評価されがちなところに大きな問題が潜んでいる。

■機能不全家族が招く、低身長・低体重、PTSD

 機能不全家族のもとで身体的な虐待を受けた子どもは、「アダルトチルドレン」と呼ばれ、心理的な問題や情緒発達の障害を起こしやすいともいわれている。機能不全家族とは、アルコールや薬物などの依存症の親や家族がいる家庭、幼児虐待やDV、家庭内暴力などが行われていて、家の中での安全が確保されず、常に不安や恐怖がある家庭(家族)を指す。

 また、虐待を受けた子どもは、成長ホルモンの分泌が不十分だったり、精神的ストレスから低身長・低体重になる傾向があることも知られている。虐待されて育った子どもが親になって自分の子どもに同じように虐待してしまうことがあるのも、当人にそれが異常だとの認識がないか、もしかすると無意識のうちに復習心理が働いているのかもしれない。

 また、DV(ドメスティック・バイオレンス)も、配偶者や恋人など親密な関係にある者から振るわれる、いわば“密室的な暴力行為”なので第三者には理解されにくい。だがどんな背景や理由があるにせよ、DVを受けた側にとっては心身ともに深刻なダメージを与えるのは明らかだ。心の傷(トラウマ)やひどい場合は「PTSD」(外傷後ストレス障害)や、夫から暴力を振るわれてる「バタード・ウーマン・シンドローム」を生むこともある。このシンドロームには、「認知の歪み」「麻痺・抑うつ」「過覚醒・不安障害」の3つの構成要素があり、認知の歪みには、恐怖の体験が始終思い出されたり、ささいな引き金によって過去の記憶に引きずり込まれてしまうフラッシュバックや、悪夢にうなされる、などといったケースが含まれる。

  • 前のページ
    • 1
    • 2
  • 次のページ
ハピズム

トピックスRSS

ランキング