「男児・眼球くりぬき事件」にみる、中国の歪んだ倫理観と貧困層の過酷な現状

ハピズム / 2013年9月9日 21時0分

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 先月24日、6歳男児の両目がくりぬかれるという猟奇的な事件が、中国の国営通信によって伝えられた。

 男児は24日夕方、近所で遊んでいたのを最後に、夜10時過ぎ、血まみれの状態で近所の野原に倒れているところを発見された。当初、近くに男児の眼球が落ちていたことから、角膜の違法臓器売買目的で狙われた犯行ではないかという憶測も飛び交ったが、翌日、角膜がついた状態での発見だったとの警察発表によって、それは否定された。その後、地元警察の捜査により、実の伯母(41)が犯人であったことが明らかになったが、伯母は井戸に身を投げてすでに自殺していた。

■事件の真相は?

 当初、他地域に住む訛りのある女性が捜査線上にあがり、地元警察は10万元(約160万円)の懸賞金を出して捜査を開始したが、さすがに実の伯母が犯人であったとは驚愕の結末である。伯母は30日に自殺しているが、衣類に付着していた血痕をDNA鑑定した結果、男児のものと確認された。男児は、自分の目がくりぬかれたことを理解できておらず「なんでまだ、太陽さんは出てこないの?」と、家族に尋ねているという。

 4日付の新聞・新京報によれば、男児の両親と伯母一家の間には、半身不随の老いた父親の介護問題をめぐって争いが絶えなかったという。ただ、事件当時伯母は別の場所にいたという証言もあり、親戚らは伯母の無実を主張している。

 また、男児の証言にも矛盾する点があることから、依然捜査は続行中の模様だ。容疑者とされている伯母は、山間部にて夫婦で鶏肉処理業を営んでいたが、昨年、夫が仕事中の事故で怪我をして以来、3人の娘を育てるために働いてきた。これからどうすればいいのかと、伯母の夫は途方に暮れている。

■肉体労働者の老後、救いのない現状

 中国では小学校までは無料だが、その後の教育費に関してはどうにか捻出しなくてはならない。そこに来て高齢化に伴った介護費用の負担が重く家計を圧迫する。学がなければ、肉体労働に従事するのみ。格差問題が生んだ貧困から抜け出せず、負のスパイラル状態に陥ってしまうのが現状である。

 こうした諸処の事情から、伯母が何らかの精神異常をきたしたのではないかという見方もある。経済成長と加速する経済格差。今回の事件の背景には、そうした闇に追いやられた人々の悲痛な叫びが聞こえてくるような気がしてならない。

 事件直後から男児の元に各方面から寄付が寄せられ、2日までに10万元(約160万円)を超えた。また、香港の医師が無償で義眼を入れる手術を行う意向を示し、すでに治療を行っている。

ハピズム

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