中米諸国で加速する中国の札束外交。ビジョンなき政治は中国の支配を強めるだけと識者

HARBOR BUSINESS Online / 2018年11月18日 15時30分

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Etereuti via pixabay(CC0 PublicDomain)

 1990年代末から2000年初頭にかけて始まる中国の南米への影響力の浸透から拡大した今、中国は米国の正に裏庭にあたる中米を支配する方向に向かっている。

◆中米8か国のうち、4か国はすでに手中に収めた中国

 中米には経済協力などを目的とした8か国が加盟している中米統合機構(SICA)というのが存在している。その加盟国はグアテマラ、ベリーズ、ホンジュラス、エル・サルバドル、ニカラグア、コスタリカ、パナマ、ドミニカ共和国の8か国である。かつては、その8か国は台湾と国交を結んでいた。しかし、2007年にコスタリカを台湾から”奪い取って”中国と国交を結ばせたのを皮切りに、パナマ、ドミニカ共和国、エル・サルバドルも中国と国交を結んで行った。即ち現在、台湾と国交を結んでいた8か国の内の4か国が既に中国との国交樹立にシフトしているのである。この次に中国が標的にしているのがグアテマラだと噂されている。

 もちろん、米国側もこの動きを警戒しており、中国と国交がある4か国を介して中国がこの機構の中で影響力を発揮して台湾と国交を結んでいる他の4か国に影響力を与えようとするのではないかと懸念している。(参照:「Prensa Libre」)

◆札束外交でエル・サルバドル政府を掌握する中国

 中国と国交を結んでいる4か国の中で一番最近国交を樹立したのがエル・サルバドルである。同国の産業そして農業の発展の為に、エル・サルバドルは台湾と7つのプロジェクトの合意を結んでいたが、それを蹴っての中国との国交樹立であった。

 大統領のサルバドル・サンチェス・セレンは北京訪問から帰国してすぐに中国から3年間を目安に1億5000万ドル(165億円)の返済なしの資金の供与があったことを発表した。これまでの台湾からの資金支援とは金額の桁が異なりエル・サルバドルにとって多額の資金供与である。(参照:「El Mundo」)

 エル・サルバドル政府はこの資金を厚生、教育、テクノロジー、水道供給、災害予防、自然災害救援などに充てるとしている。

 これに対して、2014年の選挙で負けて現在野党に回っている国民共和同盟(ARENA)のノルマン・キハノは、中国から提供された資金の用途について目を光らせていくことを宣言している。というのも、中国と国交を樹立してから比較的僅かの期間に今回の資金の贈与となったわけで、その裏には、台湾との国交断絶を短期間に決め、3か月先の選挙を睨んでの現与党ファラブンド・マルティ民族戦解放戦線(FWIN)を再び勝利に導かせる為の「選挙資金」になる可能性があるということだ。

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