ベネズエラのグアイドー暫定大統領が秘密裏に中国と接触か。マドゥロの権力、風前の灯に

HARBOR BUSINESS Online / 2019年2月23日 15時31分

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 2月13日、コロンビアのドゥケ大統領はホワイトハウスにてトランプ大統領と会談した。麻薬との戦いにおけるコロンビアの役割についても語られたが、あくまでも本題は「ベネズエラ」についてだった。

 というのも、コロンビアは、ベネズエラと2200キロの国境を分かつ国だからである。それゆえ、ベネズエラの政情不安はまっさきにベネズエラに伝わってくる。ベネズエラとコロンビアを結ぶ国境都市のひとつコロンビアのククタ市には、今も毎日ベネズエラからおよそ2万5000人が入国しているという。ベネズエラの食糧難が顕著になってから既に400万人がベネズエラを脱出したとされているが、今年末までにその数は500万人に到達すると言われている。(参照:「Notimerica」)

 コロンビア紙『El ESPECTADOR』(1月13日付電子版)は、両者の会談の内容を次のように要約した。

 トランプはファン・グアイドーが勇気ある人物だと称賛し、彼への支援を確認した。また、トランプは彼自身、大統領としてはもっとも柔軟性のある人物だと自称しながら現行の支援物資を送ったAプラン以外にB、C、Dと選択肢できるプランを用意していることを明らかにしたという。

 また、軍事介入についても選択肢としてあることを明らかにした上で、補佐官ボルトンが手書きノートに「兵士5000人をコロンビアへ」と記載していたことについて記者からの質問に、トランプは「様子を見よう」と簡単に回答しただけであった。

 さらに、支援物資のベネズエラへの搬入をマドゥロ大統領が阻止していることについて、トランプは「マドゥロはひどい過ちを犯している」と答えた。

 同紙の以上の要約の中にある支援物資について、グアイドーは2月23日までにベネズエラに搬入させることを表明している。彼が暫定大統領として宣誓した1月23日に、ひと月以内に支援物資が支給されることを市民に約束した。それに応えるべく、2月23日までには支援物資を配給するとしたのである。

 実際、グアイドーは現在までに25万人のボランティアが待機していることを明らかにした。これはベネズエラの歴史上において最大のボランティアの数だと指摘した。その中には、子供の為の栄養食品170万人分、妊婦の為の4500錠剤も含まれているという。(参照:「El Mundo」)

◆減っていく「マドゥロ支援」の国

 米国がグアイドーを介してベネズエラへの支援をより一層強化しているのと併行して、ラテンアメリカ、欧州連合などからもグアイドーを暫定大統領として支援を明確にしている。その一方で、マドゥロといえばキューバ、ロシア、中国、ニカラグア、ボリビアが明確な支援を表明しているだけだ。エル・サルバドルはつい先日の大統領選挙で現政権が敗退して次期大統領からの支援は得られなくなることは明確になっている。

 マドゥロを支援している国で最後まで支援し続けるのはキューバだけであろう。マドゥロがベネズエラから姿を消すことになると、キューバ経済は大きく後退するからである。

 かつて、ソ連が崩壊した時にキューバは極度の経済後退を余儀なくさせられた。マドゥロ政権が倒壊すれば、それと似たような事態にキューバは陥ることになることが宿命づけられているからである。

◆グアイドーの接触で揺らぐ中国

 このような情勢の中で、2月12日付けで米紙ウォール・ストリート・ジャーナルがグアイドーを支える側近のカルロス・ベッチオと彼のチームが中国と秘密裏に接触していることを報じたというのがスペインからラテンアメリカ情勢を報じている電子紙『Alnavío』(2月23日付)で明らかにされた。同電子紙は、中国外務省の報道官がそれを早速否定したが、<1週間前に別の報道官が接触していることを肯定した>と報じている。

 そして同電子紙は、さらに次のような内容を報じた。

 オックスフォード大学国際政治部のマリヘン・ヒメネス・モラレス博士が「秘密外交は秘密であらねばならない」と言及しながらも、「グアイドーの側近と接触があったはずだ」と肯定した。しかし、「中国は(まだグアイドーとの接触が)安全だという確信がないので、この接触が明るみになることに否定的だと見ているようだ」と指摘した。そしてモラレス博士は「キーはグアイドーが中国に信頼されることだ」と強調した。

 ベネズエラは中国に200億ドル(2兆2000億円)負債を抱えているということで、「ベネズエラの石油の産出が発展性があるようにすることに中国は強い関心をもっている」と博士は述べた。それはロシアそして米国にとっても同様で、グアイドーはそれを軌道に乗せることを『Rusia Today 』のインタビューで明らかにしたという。

 双方の接触で、ベネズエラから中国への返済に暫定期間を設けるということも議論されたという。しかし、「中国はマドゥロの方とも接触しているはずだ」と博士は述べた。

 ベネズエラの国民の9割はもうマドゥロを支持していないことから中国が今後もマドゥロを支え続けることは非常に複雑だ。しかも、博士が指摘するに「マドゥロが正統な大統領でないとなると、中国政府そして中国の企業にとっても問題を生じさせることになる」ことを挙げた。

 グアイドーは、中国が誰よりも先にマドゥロが暴利をむさぼっていたことの証人でもあることを中国に促して、マドゥロから離れることを誘っているそうだ。

 このようなことから、同電子紙によると「中国はグアイドーに賭けることに決めることは近い」と博士は結論づけているという。

 中国がマドゥロへの支援を放棄すれば、ロシアも同じような行動を取るはずである。

 結局、マドゥロは亡命を余儀なくさせられる可能性が高くなる。実際、亡命の可能性が既に生まれているという。その第一候補はキューバになることは以前より言われている。しかし、それ以外にも他3か国あるのがブルームバーグが指摘しているのをアルゼンチン紙『LA NACION』(2月12日付電子版)が報じた。その国とは、キューバ、ロシア、メキシコ、トルコと挙げた。

<文/白石和幸>

しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身

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