北朝鮮、マスゲームを史上初5月1日から長期開催の可能性浮上。背景に外貨収入減少か

HARBOR BUSINESS Online / 2019年3月26日 15時30分

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5年ぶりに復活した2018年のマスゲーム

 北朝鮮最大の外貨獲得イベントであるマスゲームが5月1日から開催される可能性が明らかになった。

 マスゲームは昨年5年ぶりに復活したことで話題となったが、韓国系メディアが今年も9月に開催すると報じ、「高麗ツアーズ」(中国北京)も9月に開催すると発表していた。

◆9月開催予定とは言われていたが……

 現在、北京や上海、大連、吉林などを訪問している北朝鮮の複数の省庁からなる訪中団と会談した関係者が今年のマスゲーム開催について確認すると北朝鮮の内閣府直下の観光総局幹部は、開催する方向で進んでいることを認めた上で、驚くべき発言をした。

 「今年は5月1日のメーデーを初日にマスゲーム公演を始める可能性がある」

 期間は昨年のマスゲームが始まった北朝鮮の建国記念日である9月9日を含め9月末までだろうとの見通しを示す。

 驚いた会談者は「すでにマスゲームの準備は始まっているのか?」と尋ねるも「それは分からない」と濁したので不確実性も感じさせるが2002年から始まったマスゲーム(アリラン祭)で、5月から始まるとなれば史上初となる。

◆背景に逼迫した財政状況による「観光産業の活性化」命令!?

 2002年スタートのマスゲームは、夏の北朝鮮観光の目玉として多くの外国人観光客を集めたが、金正日総書記死去の翌年の2013年を最後に終了。終了した理由は、子どもたちに学業へ専念させるためとされたいた。

 マスゲームは開催練習に半年かかるとされる。5月1日開催が事実であれば、とっくに練習が始まっていることになる。さらに5月1日から9月末でマスゲームが実施されると5か月と練習期間を合わせると1年近くが費やされることになる。

 明かしてくれた観光総局幹部は、「開催は毎日ではなく、日曜日と木曜日など決まった日になるかもしれないがまだ何も決まっていない」と話す。5月から始めて細く長く観光の目玉に据えたいという狙いもありそうだ。マスゲームの会場が、大同江の中洲のあるメーデースタジアムなので5月1日メーデースタートは絶好の日と言えるのかもしれない。

 これだけだと、確実性の薄い話で終わりそうだが、最高指導者から「観光産業を活性化させるためにマスゲームを開催するように」との指示があったと明言したというからマスゲーム開催は現実味がありそうだ。

 

 また、別の省庁幹部は、外貨枯渇が深刻だとも漏らしたという。米朝首脳会談決裂で、このまま国連制裁が続くと北朝鮮国外で働く労働者全員が今年12月までに帰国しなければならず、それまでに何とかしないといけないと焦った話しぶりを見せたという。

 過去の例からすると、省庁幹部クラスが外貨が枯渇しているとか、外貨を稼ぐなどに言及したことはあまり聞いたことない。もしかすると中国を通じて周辺国へ否定的な状況を拡散させるために意図的に流しているのかもしれないが、省庁幹部クラスまで危機感が共有されていることが分かる。これまでには見られなかったことだ。

◆外国人入国数制限は「未定」

 加えて、一部の韓国メディアが報じていた外国人入国者を制限するという報道についても確認したところ、確かに外国人旅行者を制限することは決定したが、実施時期などは未確定とのこと。

 報道では1日1800人を上限と報じていたが、それは否定し、1日1000人を上限として、それを超える日があれば、受け入れを停止するとのことだ。実はこれは数年前からすでに実施しているとも付け加えている。

 北朝鮮へ滞在する外国人は最短2泊3日以上となるので、最低でも3日間は滞在することになる。そうすると1日あたりの最大外国人滞在人数は3000人となる。この人数が、外国人用の客室数や管理体制の限界のようだ。

 とは言ってもこの上限に達したことは過去に数度しかなく、外国人の制限枠を北朝鮮国内の旅行会社向けに設定したようだ。今回の外国人入国制限の主な対象は、外国人観光客全体の9割を占め1人あたりの単価が安い中国人であり、その他の外国人が制限されることないだろうと省庁幹部は話す。

 さらに観光総局幹部は、4月7日に開催れる今年の平壌マラソンについても現時点で過去最高だった一昨年の1000人を超えるランナーが参加する見込みであることも明かした。

◆続く国連制裁に焦りか?

 これまで北朝鮮関係者は、国連制裁による影響を感じさせるような言及は少なかったが、今回は北朝鮮にとっても想定外だった2月末の米朝会談決裂が計画を狂わせているのか焦りを感じさせるような話しぶりだったそうだ。

 昨年は5年ぶりのマスゲーム復活ということで旅行者の心に刺さったが、果たして2年連続、しかも前倒しのマスゲーム開催は吉と出るのだろうか。

<取材・文・写真/中野鷹(Twitter ID:@you_nakano2017>

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