パチンコ業界にゆるキャラブーム。しかし、一部では謎の自主規制も

HARBOR BUSINESS Online / 2019年5月11日 8時32分

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パチンコ業界で最も有名なゆるキャラ「ひばりんご」

◆ゆるキャラすらNG!? 踏み込んだ業界自主規制

 パチンコ店の広告宣伝が厳しく規制されるなか、芸能人やライター取材等の集客イベントが禁止に追い込まれているということは「パチンコ店、集客イベントの断末魔 しかし、業界もホール側もむしろ禁止に賛同?」にも書いたが、今回はより踏み込んだ自主規制の内容が発表され、ホール関係者らが当惑している。

 新たな自主規制を発表したのは、北海道の札幌方面遊技事業協同組合と札幌遊技業協同組合。その内容とは、札幌方面のパチンコホールにおいて、自社キャラクター等の着ぐるみの来店すらも禁止にするというもの。

 そこまで厳しい自主規制を敷く必要があるのか。そもそも自社キャラクターの着ぐるみの来店禁止について、わざわざ禁止だOKだと判断する必要があるのか。

 パチンコ業界の「ゆるキャラ」事情と、今回の自主規制について解説する。

◆最も有名なの業界ゆるキャラ、「ひばりんご」

 今や下火傾向となったが、世の「ゆるキャラブーム」に乗じたのがパチンコ業界である。

 有名どころとしては、業界最大手のマルハンのキャラクター「にゃんまる」。この「にゃんまる」は、2017年のゆるキャラグランプリ(企業・その他部門)において、第3位にもなっており、また一般社団法人日本記念日協会は2月22日を「にゃんまるの日」として正式登録もしている。

 マルハンだけではない。大阪府のベラジオコーポレーション(ホール名:ベラジオ)の公式キャラクターである「えがおん」は、「にゃんまる」と同じゆるキャラグランプリ2017(企業・その他部門)において第2位となっており、HPでは公式グッズなども販売されるほどの人気だ。

 パチンコ業界において、もっとも有名なゆるキャラと言えば、福岡や長崎でホールを展開しているヒラオカコーポレーション(ホール名:HIBARI)の「ひばりんご」だろう。公式HPも持ち、Twitterは1万人以上のフォロワーを持つ「ひばりんご」のパワーは絶大だ。

 独特のツイートセンスが業界外の人たちからも受け、ホールの景品として並ぶ「ひばりんご」商品を入手するために、わざわざ福岡にまで出向いてパチンコを打つフォロワーもいる。

 ここに紹介した3体のゆるキャラだけではない。そこでもあそこでもパチンコ店はゆるキャラを作っており、着ぐるみは勿論のこと、SNSを利用したゆるキャラ戦略を展開するホールも無数にある。

 まさに今こそがパチンコ業界のゆるキャラブームのピークであり、その背景には、実はがんじ絡めに縛られた広告宣伝規制の影響が色濃く反映されているのだが、その点については本稿の最後に解説する。

◆北海道の「ゆるキャラ」来店規制

 北海道の札幌方面遊技事業協同組合と札幌遊技業協同組合(以下、札幌組合)が発布した「ゆるキャラ規制」の内容を見てみよう。そもそも札幌組合は、4月1日から元々あった自主規制を一部改正にホールに伝達している。その内容とはーー

 営業所でショー類をすること、営業所でイベントをすること、又はこれらをさせること(有名人等を招聘したイベント、ライター取材、来店イベントの類を含む。一部他の定めによる「総付景品配布」「来店ポイント制度」「ファン感謝デー開催」を除く)を行ってはならない。

 というもの。

 この文言に対し、加盟ホールから質疑があり、その質問に対する札幌組合が返答した。

【質問】

自社キャラクターが来店する行為について

【回答】

禁止とします。自社キャラクター等着ぐるみ・その他キャラクターの来店はイベント行為と見なされ自主規制の対象となります。

 この回答をもって、自社キャラクター(=ゆるキャラ)の規制となった。この札幌組合の回答こそが、全国のホール関係者を当惑させているものなのだ。

◆ゆるキャラ=射幸心には繋がらないはずだが……

 一般的に「ゆるキャラ」に求められているものとは、地域・企業のアイコンとしての役割である。地域や企業をキャラクターとしてイメージ化し、見る人に親しみを持ってもらう事により、地域や企業は知名度を上げ、その知名度が様々な形で地域・企業に還元される。

 パチンコ店のゆるキャラもその多分に漏れない。

「にゃんまる」や「えがおん」や「ひばりんご」もそれぞれの企業やホールのアイコンとしての役割を持つし、それはそのまま広告塔としての活躍の場を広げている。

 ただ一部のホールでは、この「ゆるキャラ」を利用した出玉示唆や特定機種の示唆等、風営法が禁じている、客の射幸心を露骨に煽ろうとする傾向も見られるのだ。

◆ほとんどのパチンコ店ゆるキャラは「優等生」

 例えば、ゆるキャラのアカウントがSNSで、特定機種や特定日を想起させるような文言を掲載した場合。例えば、「今日は新台入替の手伝いをしてる○○(←独特な語尾)」というツイートを写真付きで掲載するのだが、偶然なのかわざとなのか、特定の機種しか写真に写りこんでいない場合。

 このようなものは、今のパチンコ業界においては完全にアウトな事例である。

 しかし今やホール企業やパチンコ店のゆるキャラは、パチンコ店の賑やかしとして欠かせない存在になりつつある。上記のようなアウトローなゆるキャラは、今はほとんどいない。(いたとしても、その多くは既にまっとうに更生した)そもそも、パチンコ店にその企業の「ゆるキャラ」がいたとして、何人の客が「お、今日は出玉が期待できる!」と理解するのだろうか。

 今回の規制はあくまで札幌近郊のホールを対象としたものであるが、万が一にもこの規制に追随する地域や組合が出てきた場合、多くのゆるキャラ優等生はとんだとばっちりをくらう事になる。

 ギャンブル等依存症対策等により世間からも行政からも風当たりが強い業界で、自らが必要以上の規制をする必要が果たしてあるのだろうか?

<文・安達 夕 @yuu_adachi>

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