ラッパー・呂布カルマが学習塾で働いて悟った「絶対に売れる方法」<ダメリーマン成り上がり道#19>

HARBOR BUSINESS Online / 2019年6月15日 15時31分

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MC正社員(左)と呂布カルマ(右)<撮影/古澤誠一郎>

 脱サラを果たし、現在はMCバトルの主催者を本業としているMC正社員の連載『ダメリーマン成り上がり道』。その第19回は、引き続きラッパー・呂布カルマとの対談をお届けする。今回は呂布カルマが塾の教室長として働いていた時代に「同じことをミュージシャンがやったら絶対に売れる」と感じた成功法則の話だ。

◆塾の教室長として働き進路相談も担当

MC正社員(以下、正社員):「呂布さんは働きながら音楽活動をしている時期も長かったと思いますけど、その時期はやっぱり時間はなかったですか?」

呂布カルマ(以下、呂布):「今よりなかったですね」

――忙しいなかでどうやってモチベーションを保っていたんでしょうか?

呂布:「逆にモチベーションは高かったかもしれないです。足掛けのつもりで学習塾に就職して、サラリーマンをしていた時期もありましたけど、常にタスクに追われて頭が回っている状態で、それは悪くはなかったというか。少しだけしかない空き時間でも『いま曲を作らなきゃ』と創作意欲が高まっていました。音楽活動が忙しくなり、塾の仕事は物理的に時間がなくなって辞めましたけど、そんなに悪い仕事ではなかったです」

正社員:「塾ではどんな仕事をしてたんですか?」

呂布:「僕は教室長っていって、教室のマネジメントや進路相談をしていましたね。生徒と面接をして入塾させるのも僕の仕事でした」

――同僚の方は呂布カルマの音楽活動を知っていたんですか?

呂布:「社員は知っていましたけど、バイトの人や生徒には言っていなかったですね。まあ反社会的な感じなので、『ウチの先生こんなことやってるよ』と生徒が親に言って、親がそれを見たりしたらよくないし。辞める直前に打ち明けました」

◆生徒が真面目なので音楽活動はバレず

正社員:「塾で働いていたのはいつまでですか?」

呂布:「3年前はまだやってましたね」

――であれば、業界ではかなり名前も広まっていた時期ですよね。

呂布:「いや、言ってもそんなに知っている人はいなかったですね。業種によると思います。教育系にいく前に、一回不動産の営業をしようと思って、一日体験もしたんですけど、そのときに3人の社員に『呂布カルマさんですよね?』と言われて。やっぱり教育系とかは真面目な人が多いし、塾に来てるコたちも真面目なんで、知らないんだと思います」

――そうなんですか。塾で担当されていたのは中学生とかですか?

呂布:「個別指導塾だったので、小中高生がいて、先生たちは大学生という感じでした」

――高校生や大学生だと知っている人は多そうな気がしますけど。

呂布:「いや、みんな真面目でしたからね」

正社員:「サイファーに来るヤツとかは塾に行ってないからな、絶対」

呂布:「ヒップホップなんて知ったら勉強するモチベーションなくなっちゃいますからね。トラップとかは絶対聞かない子供たちです」

◆仕事の努力を趣味に費やせば絶対に成功する

――塾ではガッツリ働いていたんですね。

呂布:「そうでしたね。週5から週6、フルタイムで働いていましたから。でも途中から、土日のライブで稼ぐギャラがその給料を上回ってきて、『これはマジでやってる意味ないんじゃないか』と思って辞めました」

正社員:「その社会人経験が活きていると思うことってあります?」

呂布:「ありますね。会社という組織では、週に何回も会議をしてアイデアを出し合い、空き時間には他社を研究してデータ作り、『どうすれば生徒が増えるか、成績が上がるのか』と常に考えている。そして全力で実践と検証もする。『これ、同じことを音楽でやったら絶対売れるやん』と思いましたね。それがなかなかできないんですけど」

――簡単にはできないことでしょうね。

呂布:「ミュージシャンは自発的にそれをしなきゃいけないですけど、塾の仕事では上からやれと言われてやる環境でしたから。今の音楽を分析して、自分で営業回って、周囲からアイデアも集めてということができたら、それは売れるはず。同じ作業を、僕は根本的には興味のない塾でやっていたわけですけど、やるなら音楽のほうがいいなと思いました。音楽以外のことでも同じだと思いますよ。会社でやらされているような努力を、自分の趣味に費やせば、絶対にメシくらいは食えるようになるはずです」

◆話術が営業には合っていた

正社員:「かなり真面目に働いてたんですね。俺みたいに全然ダメリーマンじゃない!」

呂布:「マジメにはやってたよ。でも、ダメリーマンだった。営業の前に配送の仕事もしていたんですけど、決められたルーティンを続ける仕事で、それは本当にダメでクビになりました。歯抜けのオッサンとかができることが僕は全然できなくて、決められたことをこなすのは本当にダメなんだなと。それで『営業だったら口が達者だったらなんとかなるかな』と思ったんで営業にいきました」

正社員:「何を扱う配送の仕事だったんですか?」

呂布:「病院に薬を納品する仕事ですね。注文書を見て倉庫から薬を選んで、時間どおりに持っていく仕事だったんです。似たような薬がブヮ―っと並んでいて、『しっかり何回も確認しろ』と言われるんですけど、僕は何回確認しても漏れがあるんですよ。向いてねーなって思いました」

――逆に営業のほうは口のうまさで何とかなったと。

呂布:「そうですね。生徒をたくさん入れて、夏期講習もたくさん取らせればいいだけなんで、それは割とできました。子どもの相手をするのも嫌いじゃなかったし、嫌な仕事でもなかったので、『もし音楽で食えなくてもこれで食っていけるな』とも思いました」

――足掛けのつもりの仕事という話でしたけど、全力で向き合ってはいたんですね。

呂布:「やらないと『どうなってるんだ! 数字上げろ!』って怒られますからね。でも結局一年で辞めちゃったんですよ。教室長として先生も生徒もぜんぶ自分で入れる仕事を一年やったあと、別の教室に異動になると言われて。その頃には音楽のほうがサラリーマンの給料を上回っていたし、また一から教室の仕事をするなら、もう音楽だけに絞ったらいいかなと思って辞めました。もし異動がなかったら、もう少し長く働いていたかもしれないです」

<構成/古澤誠一郎>

【MC正社員】

戦極MCBATTLE主催。自らもラッパーとしてバトルに参戦していたが、運営を中心に活動するようになり、現在のフリースタイルブームの土台を築く

【呂布カルマ】

ヒップホップMC。愛知県名古屋市を拠点に活動。JET CITY PEOPLE代表。最新シングルは4月リリースの『SAMSAVANNA』。リリースや出演の情報はTwitterアカウント@Yakamashiwaで配信中

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