工学的思考がビジネススキルを向上させる! キャリアデザインのカギを学生に直撃

HARBOR BUSINESS Online / 2019年8月12日 15時31分

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横浜国立大学大学院理工学府博士課程前期1年の大塚直斗氏(左)とモチベーションファクター株式会社代表取締役社長の山口博氏(右)

「ビジネススキルの上達や浸透には時間がかかる」と思われている。「経験を積み重ねないとスキルは高まらない」という定説もある。しかし、ビジネススキルを極めて短い時間で高いレベルで修得した学生がいるのをご存知だろうか?

 今回はその本人、横浜国立大学大学院の大塚直斗氏に、本連載「分解スキル反復演習が人生を変える」でお馴染みの山口博氏が迫ります。

Contents1 スキル向上のカギは見様見真似2 先輩のプレゼンを意識してスキルを取り込んだ3 行動が意識を変える4 モチベーションファクターを梃にキャリアデザインを実現

◆スキル向上のカギは見様見真似

山口博氏(以下、山口):「大塚さんには、私が横浜国立大学大学院で実施している『グローバルスタンダードの次世代ビジネススキル』講座を履修いただきましたね。すばらしいスキルを発揮し、演習をリードしてくださいました」

大塚直斗氏(以下、大塚):「『話したくなった人から話して下さい』という、とても印象的な進め方でした。発言を強制せず、順番を決めることもせず、受講者の主体性を最大限に引き出していただきました。理論を覚えるのではなく、演習で実践することでスキルの有用性を肌で感じながら、一分一秒と自分の成長を感じることができました」

◆先輩のプレゼンを意識してスキルを取り込んだ

山口:「とても印象的だったのは、大塚さんが初日の第一声から、『アイコンタクト』『一人に対してワンセンテンス』『理解を促す間』など、高いレベルでスキル発揮されていたことです。私の書籍を読んであらかじめ訓練されてきたのかと思いましたが、そうではなかったのですね」

大塚:「もしかしたら、研究室の先輩の影響かもしれません。私はプレゼンテーションが好きで、学部時代から聞き手を惹きつける発表スキルを磨いてきました。そんななか、とてもわかりやすく、面白く、見入ってしまうほどの発表に出会ったのです。本演習の過去の履修者である、研究室の先輩の発表でした。優秀な先輩を意識するうちに、自然とスキルが身体に染みついていたのかもしれません」

山口:「先輩がスキル発揮していた様子をみて、どのように身につけられたのですか」

大塚:「優れた部分を見様見真似で取り込んでいました。というより、それしか方法はなかったと思います。もちろん、当時は先輩の能力が『スキル』としてパーツ分解され、言語化されているという認識はなかったので。プログラムを受けたあとでしたら、もっと効率よく吸収できたに違いありません」

◆行動が意識を変える

山口:「演習中も、いち早くスキルを修得して、それも自分のものとして駆使されていたように思います。どのようにしてスキルを自分のものにされるのですか。見たことを再現するということが得意でいらっしゃるのですか」

大塚:「はい、得意ではあります。しかし、スキルを身につけるためには、再現の得意不得意は関係ないと思います。一番大切なのは、アウトプットすること自体だと考えています。

 再現が不得意であろうが、自信をもって自分なりにアウトプットしてみる。すると理解が深まり自分なりに定着していきます。積極性の高い私は、他の受講者よりアウトプットの回数が多かったのでいち早くスキルを修得できました」

山口:「私は『意識が行動を変える』のではなく、『行動が意識を変える』のだと思います。少なくとも、前者はとても時間がかかるが、後者のほうが実現するリードタイムが極めて短いと言えます。

 模倣であろうが再現して行動するこということが、スキル修得の早道だと考えています。行動で発揮し続けていきますと、自然と意識が変わってくるものだと思います。アウトプット重視の考え方に強く共感します」

大塚:「まさしくそのとおりだと思います。私の周りにも『頭では分かっているが、実行できない』という人が多く見受けられます。どれほど人に影響されようが、最後に行動に移すのは自分自身であり、その最終決定を待っていてはとても時間がかかってしまいます。

 プログラムで、パーツ行動を反復演習することでスキルが染みつき、考え方が変わっていくのを実感しました。行動が意識を変えたのです。しかし、そもそもこういった機会がなければ行動することさえできませんでした。『行動が意識を変える』のは個人ではなく組織向けの考え方だと思います。将来、組織変革に携わる際には大切にしたい考え方です」

山口:「パーツ行動が全体を制御するという考え方は、工学的思考と共通性がありますか?」

大塚:「大いにあると思います。工学的思考のなかで、目的をパーツ分解し、全体の枠組みを制御していくことがあります。ある研究目的を達成する手段を導くために、より小さな目的へと細分化していく。これによりトップダウン式に目的までの道筋を明確にします。この思考はパーツ行動が全体を制御する考え方と類似していると思います」

◆モチベーションファクターを梃にキャリアデザインを実現

山口:「私はモチベーションファクター(意欲を高める要素)を2つの志向、6つの要素にわけて捉えています。モチベーションファクターとキャリアデザイン(プラン)とは、密接な関係があると考えています」

大塚:「私のモチベーションファクターを見極めた際は『地位権限』だけが突出した結果となりました。私には、自らの会社を立ち上げるというキャリアデザインがあり、そうすることで自己流の社会貢献を達成し、有名になりたいという気持ちがあります。このような考えの根底にあるのはまさに『地位権限』であり、モチベーションファクターとキャリアデザインとの密接な関係を感じました」

山口:「キャリアデザイン実現のカギは、大塚さんにとっては何でしょうか」

大塚:「視野を広く持って幅広い知見を身につけることです。起業家として有名になるためには並大抵の事業ではもちろん不可能です。人々の生活を変えてしまうような並外れた社会貢献を達成したいと考えています。そうしたときにひとつの専門分野に固執するのではなく、視野を広げて常に多方面にアンテナを張る必要があると考えております。

 技術職のようなプロフェッショナル性を極めた仕事も素晴らしいのですが、たとえばコンサルタントのように、幅広い知見を身に付けながら何事にも多角的にアプローチできる人材になりたいと考えています」

山口:「キャリアデザイン実現のために、ビジネススキルをどのように役立てていきますか」

大塚:「実現のためには厳しい環境で早期成長していく必要があります。そうした中で、アクションプランやプロセスマッピングなどのスキルは、無数の業務を効率的・生産的に捌いていくためにすばらしく魅力的に感じました。

 またこれらは、ビジネスパーソンとしてだけでなく、大学院生としても研究室での生活で役に立つと感じました。まずはいち大学院生として、そしていち社会人として活躍するために役立てていきたいと思います。

 さらには実現後も、組織を作り上げる側としてモチベーションファクターを活用した仕事の適正判断や管理手法はとても有効的だと感じました。修得したスキルは生涯を通して、さまざまな場面で役に立ち、洗練し続けたいと考えています」

<対談を終えて>

「意識が行動を変える」という考え方があるが、私はそうは思わない。「行動が意識を変える」のだと、20年来の演習経験を通じて確信している。見様見真似による再現が得意かどうかということよりも、アウトプット自体がスキルを上げると実感している大塚さんの経験は、まさに行動が意識を変えることを実証したモデルと言えよう。

<取材・文/山口博 撮影/荒熊流星>

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第149回】

【山口博】

(やまぐち・ひろし)

グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある

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