キャンプブームで急増中! 迷惑キャンパーのトンデモ行動に驚愕

HARBOR BUSINESS Online / 2019年9月7日 15時41分

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y-ka10 / PIXTA(ピクスタ)

 芸能人のキャンプ動画やアニメの影響、キャンプ関連メディアがもたらす情報、高機能ギアの充実など複合的要因により、盛り上がりを見せるキャンプ界隈。その陰で困った事態が進行していた!

◆日本アウトドアの知られざる危機!?

 キャンプシーンが盛り上がりを見せている。週休2日制が導入された1990年代を第1次キャンプブーム、現在を第2次ブーム、あるいは第3次ブームと呼ぶ向きもあるほどだ。日本オートキャンプ協会が毎年発表している「オートキャンプ白書」によると、オートキャンプ参加人口はここ5年で右肩上がりの100万人増。昨年は850万人に及んでいる。

「これは一過性のブームではなく、家族はもとよりソロや女性同士であったり、釣りや登山といった他のアウトドアと組み合わせるなど、キャンプの楽しみ方があらゆる方向に広がった結果だと我々は考えています」

 そう語るのは、日本オートキャンプ協会の堺廣明氏。盛り上がりに伴い、キャンプギアの輸入総額や用品メーカー、アウトドアショップの売り上げも総じて堅調な伸びを見せているという。

◆湖の水で洗車。閉鎖したキャンプ場も

 その一方でマナー違反の利用者も目立ってきている。「キャンプ場規定の就寝時間を過ぎても音楽を流して騒ぐ輩がいる」といった不満が、キャンプサイトの口コミでも目につく。なかには雨をしのぐためかトイレ内にテントを張り、ほかの利用者を困惑させる珍行動も。毎年、キャンプツーリングで日本を縦断しているという志田文雄氏(仮名・48歳)によると、今夏こんなことがあったという。

「仲間同士だけで楽しみたいからか、キャンピングカー数台がキャンプサイトを取り囲むように駐車していて封鎖状態にあり、お目当てのキャンプ場に入れなかったんです」

 該当のキャンプ場は管理者が常駐していないタイプだったそうで、そういったキャンプ場は自治体が管理しているケースが多い。電話やメールなど方法はさまざまだが、大抵は簡単な申請手続きで美しいフィールドとともに炊事場やトイレを利用することができる。料金は無料か数百円と安価。そんなありがたい場所こそ、立つ鳥跡を濁さずの精神でキレイに利用したいものだが……。

「湖畔のキャンプ場で、湖にクルマごと乗り入れて洗車をしていたキャンパーや、合成洗剤の使用を禁止している炊事場でクレンザーを使ってBBQコンロを洗ったりする人もいます」と過去の目撃例について話すのは、SNSなどで積極的にマナー問題を発信しているキャンプコーディネーターの佐久間亮介氏。

 キャンプ場では利用者がゴミを持ち帰るようルール化している場所も多い。しかし、ゴミを放置して炊事場を詰まらせる、その場に放置したゴミを野生動物が荒らす、曲がったペグをそのまま捨て置き、子供がつまずいてケガをしたという例もある。ゴミマナー悪化の最たる例は、今年1月にキャンプ場の一時閉鎖を決めた兵庫県猪名川町の大野アルプスランドだろう。

 管理を担っている町では、注意喚起のために利用者が放置したゴミの写真をホームページ上に掲載している。現在も再開の目途は立っていないと担当者。今年8月には東京都も来年3月までに神津島のキャンプ場2ヵ所を廃止すると発表。キャンプ場閉鎖の多くは施設の老朽化や後継者問題だが、マナーの悪化が最悪の事態を招いた格好だ。観光立国の先駆けヨーロッパには、「ツーリズモフォビア(観光恐怖症)」という造語がある。

 最初は観光客の増加を喜んでいた地元住民が、オーバーキャパシティによって暮らしの質が悪化したと感じたり、訪問者が観光を楽しめないと感じるに至ることを指す言葉だが、このままでは日本のキャンプ場でも同じように感じる人が出てきてもおかしくない。

◆持参の家具を燃やし生木を燃やす

 キャンプの醍醐味といえば焚き火に尽きる。揺れる炎による癒やし効果もさることながら、焚き火で作るキャンプ飯のうまさは格別だ。しかし、焚き火を巡る問題も勃発している。

「風の強い日に焚き火をしていたキャンパーの火の粉が飛んできて、テントに小さな穴がいくつも開いてしまったんです」と嘆くのは、キャンプ歴15年の川崎淳子さん(仮名・40代)。強風時の火の粉は思った以上に飛ぶ。そんな時、花火気分で火の粉を眺めてでもいるのか、山火事になってしまったケースもある。

「マナーの悪化から、直火を禁止されたキャンプ場さんもいくつか耳に入ってきています」とは前出の堺氏。栃木県にあるキャンプラビットもそのひとつ。管理人の倉川氏は語る。

「ウチは今年で26年目を迎えるのですが、今年7月で25年間お楽しみいただいていた直火による焚き火を禁止いたしました。キャンプで使うテーブルや椅子といったDIY家具の失敗作を持ちこんで燃やす、燃やしきれないものや薪を放置などのマナー違反が目立ちまして……。悲しかったのは、生木のそばで焚き火をされて、木根を燃やされてしまったことです」

 関東近郊でキャンパーに人気の某キャンプ場も段階的に直火を禁止しており、今年いっぱいで全面禁止にすると言う。

「キャンプ場側も手をこまねいているわけではなく、きちんと注意喚起したり、直接注意を行ったりしています。今の時代はそういう状況をほっておくと、『あそこのキャンプ場は無法者を注意しない』と口コミサイトに書きこまれ、逆にマナーのいいキャンパーに敬遠されてしまいますから。また、マナー違反をした人もまったく聞く耳を持っていないわけではないんです。例えば、うるさいグループに対してはリーダーと話をして他の人に伝えてもらえばスムーズですし、周りの人に、『ランタンの明かりを少し暗くしてもらえますか』とお願いすれば、声のボリュームも同時に下げてもらえたりします。そういったノウハウも少しずつ共有されはじめています」(堺氏)

 キャンプ場は管理人の考え方や利用形態などさまざまなので、全国一律、あるいは行政区域一律の条例や規制をかけることは難しいだろう。マナーを遵守していた利用者が窮屈を強いられるような事態にもなりかねない。今必要なのは、ひとりひとりの意識に働きかけ、マナーの周知を図ることだろう。佐久間氏は語る。

「地道ですがSNSで発信するなど、啓蒙活動を続けていくことかなと思っています。ただ、『マナーを守りましょう!』と声高に言っても、すんなり聞き入れてもらうことが難しかったりするので、自分ごととして認識してもらうよう伝え方に留意しています。せっかく、自然のなかでのんびりさせてもらっているのだから、その自然を汚すことは、回り回って自分たちのもとに返ってきてしまうということを意識してもらえたら」

 今回は困ったキャンパーによる負の側面のみを取り上げたが、キャンプ場には過疎化した地域に人を呼び込むなどプラスの側面も多い。何よりキャンプは楽しい。深刻な状況が今以上に広がることを防ぐため、後の人が気持ちよく使える利用を心がけたいものだ。

【佐久間亮介氏】

キャンプコーディネーター。テレビ、雑誌などでキャンプの達人役として出演。共同運営するキャンプブログ『camp-in-japan.com』は月間最高80万PV。現在は新規キャンプ場の開業準備中

取材・文・撮影/山脇麻生

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