世界のセレブリティから支持されるグレタさん、COP25会場のスペインに無事到着

HARBOR BUSINESS Online / 2019年12月9日 15時31分

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マドリードで気候変動学生ストライキに登場したグレタさん。(彼女のInstagramより)

◆グレタ・トゥーンベリさんのピンチと支援の声

 国連気候行動サミット2019(9月、ニューヨーク)での熱のこもったスピーチにより一躍、世界的な有名人となった環境活動家グレタ・トゥーンベリさん(16)。

 最近では、彼女をノーベル平和賞に推す声が挙がったり、彼女が北欧理事会『環境賞』を辞退したことまでが大きく報じられたりするなど、グレタさんの言動に希望を見た人たちの期待は、ますます高まっているようだ。

 そんな有名人の常であるが、賞賛の声が高まると同時に、一部からは強いバッシングの声が上がるようになっている。一時はウソの混じった嫌がらせのような言説までが飛びかい、筆者もいささか心配になってしまった。

 しかし、もう大きな心配は必要なさそうだ。今、“行動派”のセレブリティたち(大臣や有名映画俳優まで!)が続々とグレタさんへの支持を表明しているのだ。

◆行動派セレブが続々支持を表明!

◆テレサ・リベラ・スペイン環境保護大臣

 まずは、スペインの環境保護大臣、テレサ・リベラ(Teresa Ribera)さん。

 グレタさんは9月のサミット参加以降、12月に南米チリで開かれるはずだったCOP25(第25回 国連気候変動枠組み条約締約国会議)に参加するため、北米に滞在していた。しかし、COP25の開催地が急遽、スペインのマドリードに変更されたため、グレタさんは大西洋を横断し、欧州に渡らなければならなくなってしまった。

 以前より飛行機を使わないことを表明しているグレタさんはこの時、大西洋横断を支援してくれる人をTwitterにて募った。

 グレタさんのその声に真っ先に応えたのが、COP25の新しいホスト国となったスペインのリベラ大臣なのだ。

”グレタさん、あなたがここマドリッドに来ることを心待ちにしています。あなたは長い旅をし、私たちみんなに、懸念を表明すること、関心を向けること、そして、行動を強化することを促してくれました。

私たちはあなたの大西洋横断を支援したく思っています。支援の実現に向け、連絡を取り合いましょう。”(テレサ・リベラ氏のツイートより。意訳は筆者による)

◆レオナルド・ディカプリオ

 続いて、言わずと知れた名俳優、レオナルド・ディカプリオさん(!!)。

 北米に滞在中、グレタさんは沢山の人と出会い、意見交換したようで、多くの人たちがInstagramやTwitterにグレタさんと映った写真を公開している。なんと、そのうちの一人が、あのレオナルド・ディカプリオなのだ。そう、名画『タイタニック』や『レヴェナント:蘇えりし者』などへの出演で知られる“レオ様”だ。

 彼はグレタさんと映った写真をInstagramで披露し、そこに次のような賛辞を添えている。

”このような極めて重要な時期に、このような変革的な方法で人々の声が増幅されることは、人類の歴史上、ほとんど無いことだ ―― しかし、グレタは我々の時代のリーダー(の1人)になった。

 私は、グレタの発するメッセージが「不作為の時代は終わったのだ」ということを世界のリーダーたちに告げる警鐘となることを期待している。私が未来に希望を持てているのは、グレタや世界中の若い活動家たちのお陰なのだ。

 彼女と私は、地球のより明るい未来を手にすることを願い、互いに支援し合うことを約束した。”(レオナルド・デカプリオ氏のInstagramより抜粋。意訳は筆者)

(※ 筆者による抜粋意訳)

◆アーノルド・シュワルツェネッガー

 締めは、説明不要の大俳優であり、米国カリフォルニア州知事を2期7年務めた元政治家、アーノルド・シュワルツェネッガーさん(!!!)。

“ターミネーター”シュワルツェネッガーはカリフォルニア州のサンタモニカ市でグレタさんに会ったそうで、そのことを嬉しそうにTwitterで報告している。その時に5枚の写真とともに公開されたのが以下のコメントだ。

”素晴らしいことに、先週、友人であり、私のヒーローの1人でもあるグレタに会い、サンタモニカで一緒にサイクリングすることができた。彼女を娘のクリスティーナに紹介するとき、すごく興奮してしまった。

 これからも鼓舞し続けてくれ、グレタ!”(アーノルド・シュワルツェネッガー氏のツイートより。意訳は筆者)

「私のヒーローの1人」(one of my heroes)とまで言っていることから、シュワルツェネッガーがグレタさんのことを相当に信頼していることがうかがえる。

 この興奮気味のコメントと一緒に公開された写真の中に、彼とグレタさんを含む4人で映っているものがあるが、一番左にいるのが上のコメントにも登場する次女、クリスティーナだ。また、一番右は、テレビ番組『Keith Lemon』シリーズなどで知られるコメディアン/俳優のリー・フランシス(Leigh Francis)氏らしい。

◆3人のセレブリティに共通するのは? 行動は行動を呼ぶ

 ところで、上に登場した3人のセレブリティたち、すなわち、リベラ大臣、ディカプリオ、シュワルツェネッガーには、ある重要な共通点がある。それぞれが環境問題に強い関心を持ち、実際に行動してきた経験を持つことだ。

◆リベラ大臣の行動

 リベラ大臣は、マドリードの大学で憲法と政治学の学位を取得したのち、大学教員として、そして、政治家として、気候変動問題を含む環境問題に取り組んできた。2018年にスペインの環境保護大臣に就任してからも、太陽光発電に課されていた“太陽税”を廃止したり、石炭汚染を削減するため、炭鉱の条件付き閉鎖を炭坑夫組合に合意させたりなど、具体的な対策を実施している。

 これらの働きにより、リベラ大臣は国際非政府組織“The Climate Reality Project”から2018年の『公人賞』を贈られている。同組織は、ノーベル平和賞受賞者アル・ゴア氏(元米国副大統領)の主導で設立された非営利団体だ。

◆ディカプリオの行動

 ディカプリオは俳優としての顔の他に、もう一つの顔を持っている。熱心な環境保護活動家としての顔だ。彼はアル・ゴア氏との対話から環境問題への関心を深め、1998年に“レオナルド・ディカプリオ財団”を設立した。同財団はすでに1億ドル以上を集めており、気候変動や種の保存、再生可能エネルギーなどの環境プロジェクトに資金を提供している。

◆シュワルツェネッガーの行動

 シュワルツェネッガーはカリフォルニア州知事時代、2002年に提案された州独自の温室効果ガス規制法案の具現化に向けて奔走。導入を承認するよう求める州政府からの声を繰り返し無視した連邦政府機関「環境保護庁EPA」を2007年11月に提訴した。オバマ政権下の2009年6月になり、EPAはようやく同法案の導入を承認。それを受け、2010年、州政府は温室効果ガスの排出権取引制度を2012年から施行することを決定した。

 シュワルツェネッガーは2011年1月3日に任期を終え、州知事を退任したが、その後も環境問題に取り組み続けている。2017年には母国オーストリアで『Austrian World Summit』を立ち上げ、年1回、気候変動対策を議論する国際会議を開いている。 

 2019年の会議にはグレタさんも招かれ、そこでスピーチを披露している。(参照:「AFPBB」 , 「Austrian World Summit」。

 シュワルツェネッガーはまた、米国経済を最優先し、環境対策を疎かにするドナルド・トランプ大統領を繰り返し批判している。2017年6月にトランプは“パリ協定”(温暖化防止のための国際条約)からの離脱を表明したが、シュワルツェネッガーはそれを苛烈に批判した。2019年9月、トランプは意趣返しとばかりに、カリフォルニア州独自の温室効果ガス規制について、その承認を撤回するとツイートした。そう、シュワルツェネッガーが提訴までして取り付けた、あの承認だ。

 今年の9月、グレタさんはトランプ大統領とすれ違う時、睨みつけるような険しい表情を見せた。その表情の裏には、上のような背景があったのだ。

◆グレタさん、マドリードに到着

 そのグレタさん、無事に支援者が見つかり、海路と陸路を伝ってCOP25の開催地マドリードに到着した。会場ではホスト国の環境保護大臣、テレサ・リベラさんが待ち構えているはずだ。

 さあ、COP25でのグレタさんの言動に、そして、気候変動問題に対する各国首脳の行動に注目しよう。

<文/井田 真人>

【井田 真人】

いだまさと● Twitter ID:@miakiza20100906。2017年4月に日本原子力研究開発機構J-PARCセンター(研究副主幹)を自主退職し、フリーに。J-PARCセンター在職中は、陽子加速器を利用した大強度中性子源の研究開発に携わる。専門はシミュレーション物理学、流体力学、超音波医工学、中性子源施設開発、原子力工学。

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