あとを引く福島第一原発事故。一方で、世界は16歳の少女によって変わり始めた~2019年の原発・環境ニュース5選

HARBOR BUSINESS Online / 2019年12月31日 15時31分

写真

福島第一原発事故による帰宅困難区域 photo by 多瑠都 / PIXTA(ピクスタ)

 元日本原子力研究開発機構J-PARCセンター(研究副主幹)という立場から原子力関連の話題について発信を続けている井田真人氏(ネコ好き)に、2019年に気になったニュースをピックアップしてもらった。

◆福島第一原発事故被害者の苦難。台風との「二重被害」

◆東日本で相次ぐ豪雨。東京電力原発事故の避難者の「二重被災」も

 近年、毎年のように大きな自然災害に見舞われている日本だが、2019年は東日本に台風が相次いで上陸、記録的な豪雨となった。とくに台風19号では多数の河川で同時多発的に氾濫が起こり、死者が94名にのぼるなど、極めて大きな被害となった。

 台風19号ではさらに、2011年の東京電力福島第一原発の事故で避難を余儀なくされた人たちが、避難先で再び浸水などの被害にあう「二重被災」の不幸が多数発生している。

◆「公的資金の援助を受けてるはずの東電が原電を資金援助」の歪み

◆東海第二原発を再稼働させたい原電に、東京電力が資金支援|(朝日、毎日)

 10月28日、東京電力が日本原子力発電への資金支援を正式決定。福島第一原発事故を起こし、公的資金による援助(※現時点で9兆円を超える|東京電力プレスリリース )を受け続けている東電が、東海第二原発を再稼働したく、そのための安全対策工事費が必要となっている原電を助けるという、何ともねじれた構造の支援策。

 再稼働後の東海第二が大事故を起こした場合に備える周辺14市町村、合計94万人の住民のための避難計画は、その立案に大難航しており、いまだ大半の自治体で策定に至らないままだ。

◆学会誌に「チェルノブイリ原発事故後の乳がん増加」論文が掲載

◆チェルノブイリ原発事故後の乳がんの増加|International Journal of Epidemiology via Oxford academic

 チェルノブイリ原発事故(1986年)による被ばくの影響で、乳がんの増加が起こっているらしい、とする報告。事故発生時にロシアのブリャンスク州に住んでいた人たちを対象に行われた疫学調査の結果で、調査期間は2008~2013年。ロシアと米国の研究者らによる。

 チェルノブイリ後の乳がんについては以前にも増加を示唆する報告があるが、これはより高い精度の調査手法によるもの。被ばくのがん影響の調査には長い年月が掛かるため、「チェルノブイリ後のがん影響は甲状腺がんだけだった」と結論するのは時期尚早。チェルノブイリ原発事故はまだ終わっていない。

◆環境活動家グレタ・トゥーンベリさん大躍進|TV朝日

 9月の国連サミットでの演説で日本でも多くの人に知られるようになったグレタ・トゥーンベリさん(16)。温暖化対策の強化を求め2018年にたった一人で始めたストライキ活動は世界各地に飛び火し、その影響力は米国のトランプ大統領やロシアのプーチン大統領にとっても無視できないほどになっているよう。

 グレタさんの支持者には“行動派”の有名人も多く、アーノルド・シュワルツェネッガーやレオナルド・ディカプリオ(参照)、アイルランドのロックバンドU2、そして日本の尾畠春夫さん(“スーパーボランティア”とも呼ばれる、あの尾畠さん)などがいる。

◆最後は猫好きとして

◆猫の表情を読み解くのが上手な人がいる?|ナショジオニュース

 人間の中に、猫の顔の表情を読み解くのが上手い人たちがいるかもしれない、というカナダからの報告。被験者たちに猫の顔だけが映った動画を見せ、その猫が快適な状況にいるか不快な状況にいるかを当てさせるテストを行ったところ、被験者の一部に高い正解率を出す人がいたらしい。

 猫を飼った経験のある人ならば、猫の物欲しげな表情や、自力では降りられないほどに高い塀に登ってしまった時の「ごめん、おろして…」と言いたげな情けない表情を知っている人は多いだろうが、そんな猫の表情の秘密に、科学のメスが入り始めた格好。

<文/井田真人>

【井田 真人】

いだまさと● Twitter ID:@miakiza20100906。2017年4月に日本原子力研究開発機構J-PARCセンター(研究副主幹)を自主退職し、フリーに。J-PARCセンター在職中は、陽子加速器を利用した大強度中性子源の研究開発に携わる。専門はシミュレーション物理学、流体力学、超音波医工学、中性子源施設開発、原子力工学。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング