飲食や観光業だけじゃない。生活の変化で驚くほど広範囲に及ぶ「コロナショック」の深刻度

HARBOR BUSINESS Online / 2020年8月5日 8時31分

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Ryuji / PIXTA(ピクスタ)

 感染者数の最多人数が連日のように更新されるなど、新型コロナの猛威が止まらない。日本経済が急速に冷え込むなかで、各産業はどのような打撃を受けているのか。

◆ほぼ全業界で甚大な被害。今後さらに厳しさを増す業界は?

 新型コロナの流行が始まって以来、急速な不景気の大波がさまざまな業界を巻き込んでいる。7月14日に帝国データバンクが出した「新型コロナウイルス関連倒産業種別件数上位」(表①次ページ参照)を見ると、全336件のうち「飲食」「ホテル・旅館」が約3割を占めた。同社情報部の丸山昌吾氏が解説する。

「当初は中国からの渡航規制の影響でホテルや観光業の落ち込みが目立ちましたが、自粛が始まり飲食店の倒産数が追い抜いた形です。アパレル業界も同様ですが、業界全体が落ち込んでもワークマンや西松屋など独自の商品構成で営業する企業や強いEC基盤がある一部の企業はむしろ伸びています。ただ、全体的には今は金融機関の支援である程度、倒産が抑えられている状態でしょう。8月から年末に向けて、徐々に倒産数は増えていくと予測しています」

 なかでも不安視されるのが、不動産や建設業界だという。

「建設業はもとから人件費の割合の高さが問題でしたが、外国人労働者がいなくなり、さらに厳しくなるでしょう。また、大手ゼネコンが一時工事を中止したことで工期が遅れ、月ごとの売り上げが大きく落ち込んだ下請け業者も出ています。建物の竣工が遅れればマンションデベロッパーなどにも波及するでしょうし、懸念材料は多いです」

◆AIが解析した新型コロナの影響は驚くほど広範囲

 また、さらに多種多様な業界に対する影響を“予測”するデータもある。表②(記事後半参照)はAI分析を手がけるフィンティックベンチャー、ゼノデータ・ラボが公開した「63業界影響度ランキング」だ。国内外の経済ニュースやIR情報をAIに解析させ、63業界に分けて影響度スコアを算出している。同社代表の関洋二郎氏が解説する。

「弊社では4月から各業界への影響度ランキングを、随時情報をアップデートしながら公開していますが、おおむね今の状況と合っている印象です。観光・宿泊、外食、百貨店がTOP3にくるのは納得だとして、自動車が続くという結果に、算出した側としても不安になりました。自動車業界は市場規模も大きく関連業界が多いので、今後は部品や塗装、鉄鋼、広告など多くの業界に影響が広がるのではないかと予想しています」

 ランキングには、意外な結果になる業界もあったという。

「例えば運輸業。ネット通販の需要増で好調のように思えますが、実際には企業間の物流がなくなった影響のほうが甚大でした。AIによって因果関係を繋げていくと、コロナの影響が驚くほど広範囲に及んでいるとわかります。『会社に行かなくなる』という生活変化だけでも、不動産、文具、紳士服、交通、運輸、化粧品などさまざまな業界に影響が広がっている。第2波の状況を考えても、この流れはまだ続くのではないでしょうか」

◆「ファクト」と「AI予測」から見るコロナ打撃の大きい業界はどこ?

表1 新型コロナによる業種別倒産件数(6月末時点)

飲食 51件

ホテル・旅館 46件

アパレル小売店 21件

食品卸 21件

食品製造 19件

アパレル卸 14件

建設 12件

食品小売 8件

結婚式場・葬儀社 7件

タクシー・バス運行 7件

旅行代理業 6件

美容室 5件

自動車部品製造 3件

パチンコホール 3件

出版 3件

印刷 3件

人材派遣 3件

婦人服縫製加工 3件

不動産 3件

表2 ゼノデータ・ラボによる63業界影響度ランキング

一日5000本のニュースデータと全上場企業の開示資料を自社開発のAIで解析。新型コロナウイルスの影響を企業ごとに予測して、そのデータを独自の63業種に分けて集計している。「総合スコア」のマイナスは業界全体での減益を表し、プラスは増益を表している。あくまで予測なので参考値だが、各業界への影響を見るうえで一定の指標になるだろう

1位 観光・宿泊 -1133.2

2位 外食 -770.6

3位 百貨店 -628.5

4位 自動車 -484.9

5位 自動車部品 -426.6

6位 鉄道輸送 -426

7位 倉庫 -402.7

8位 レジャー -343.2

9位 航空輸送 -330.6

10位 家具・雑貨店 -309.9

11位 ホームセンター・その他小売 -279.5

12位 海上輸送 -247.7

13位 リース・レンタル -245.6

14位 ビルメンテナンス・リフォーム -237.8

15位 生活関連サービス -234.4

16位 電力・ガス -229.4

17位 広告・イベント -224

18位 鉄鋼 -177.2

19位 家具・OA機器・携帯販売 -175.4

20位 建設 -168.6

21位 印刷 -151.7

22位 日用品・化粧品 -138.2

23位 スポーツ・フィットネス -134.2

24位 エネルギー -131.9

25位 人材紹介・派遣 -131.1

26位 セラミック・ガラス・セメント -127.7

27位 住宅設備・建材 -119.1

28位 製造用工具・部品 -107.5

29位 製造用機械・FA -107.5

30位 電子部品材料 -99

31位 産業用機械 -87.5

32位 精密機器 -82

33位 半導体 -77.6

34位 アパレル・装飾品 -77.4

35位 電機製品 -75.2

36位 重工業 -70.9

37位 不動産開発 -70.1

38位 教育・学習支援 -67.6

39位 商社・卸売 -65.7

40位 カー用品・中古車販売 -56.9

41位 非鉄金属 -49.1

42位 リサイクル・環境対策 -43.6

43位 塗料・接着剤・容器 -43

44位 放送・出版 -34.7

45位 金融 -31.7

46位 合成樹脂・界面活性剤・工業薬品 -29.6

47位 総合科学・基礎科学 -26.3

48位 繊維 -19.3

49位 トラック輸送 -18.9

50位 通信インフラ -13.3

51位 食品・飲料 -10.7

52位 アウトソーシング -9.9

53位 農業・畜産・水産 4.1

54位 ネットメディア 22.2

55位 システムインテグレーター 29.8

56位 製紙・パルプ 45.7

57位 ソフトウェア開発 55.7

58位 ゲーム・コンテンツ制作 70.3

59位 スーパー・コンビニ 89.9

60位 ドラッグストア・薬局 132.1

61位 製薬・臨床試験 137.8

62位 医療用機器・医療関連サービス 170

63位 Eコマース 260.2

【帝国データバンク情報部 丸山昌吾氏】

創業120年で国内最大級の企業情報データを保有する同社のなかでも企業調査のスペシャリスト。帝国データバンク情報部がまとめた著書に『倒産の前兆』がある

【ゼノデータ・ラボ代表 関 洋二郎氏】

慶應義塾大学卒。公認会計士やIT系企業を経て、’16年に同社を設立。’19年6月には、AIを使った世界初の経済予測サービス「ゼノブレイン」を正式リリース

<取材・文/週刊SPA!編集部>

※週刊SPA!8月4日発売号より

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