「ナンパで自信がついた」というアラサー男性。モテ商材に頼るも、相変わらず「非モテ」なワケ

HARBOR BUSINESS Online / 2020年9月3日 15時31分

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 「介護職の現場は忙しく、出会いもありません。福祉科だった高校時代から周りは男ばかりで、仕事を始めてからは独身女性との出会いは皆無になりました」

 そう嘆くのは、千葉県舞浜市で介護職員として働いている倉田篤さん(仮名・28歳)。福祉系の高校を卒業し、地元から遠くない場所で働き始めて10年になるという。

◆都会のきらびやかな「モテ」にあこがれてしまう

 介護職員として堅実に働く倉田さんだが、収入が少なく、友人たちと比べてみじめな気持になることが多いという。

「地元は千葉ですが東京もすぐそこなので、休日には東京にも遊びに行きます。小中の友人の中には東京で一人暮らしして働いているヤツもいます。東京にしかいないようなかわいい子と付き合ったり、毎日のように合コンしたり、相席屋で散財したり、とにかく出会いが尽きない上にちゃんとモテている。逆に、実家を出るほどの給料もなく、女遊びもできない自分が惨めになります。

 給料は手取り18万円程度で、とても東京で一人暮らしする余裕はありません。実家住まいということもあり、生活は保証されていますが、その分危機感もなく、貯金はあまりありません」

 そんな倉田さん、実は25歳まで素人童貞だったという。アラサーにさしかかる年齢になり、慌てて開いてもらった合コンで、1度彼女ができたこともあったが、長続きはしなかったそうだ。しかし、そんな彼にも非モテ人生の転機が訪れたという。

「あの頃の自分はかっこよくもないし面白くもなかったと思います。それで彼女に2ヶ月で振られて……『このままずっと一人だったら』って、急に不安になってしまって。それで、男性向けのモテ関係の書籍やブログを読み漁ったんです。そんな中で僕が最も感銘を受けたのは、ナンパ関係の本でした。自分に自信をつけるためのナンパ術。これさえ身につけば、もっと自分に自信がつく。それに、念願だった彼女やモテも手に入る、と思ったんです」

◆ナンパが生きる希望

 年齢としてはアラサーになる倉田さんだが、風貌は少し若々しく見える。夏は白いスキニーデニムにデニムシャツが定番コーデだという。分かりやすく渋谷・六本木系のナンパ師っぽい服装を好むようだ。イケメン、という感じではない倉田さんだが、ナンパは彼の人生をどう変えたのか。

「ナンパを始めてから、生きる希望みたいなものは見えるようになりました。いろんな街に行くのが楽しくなったし、上手くいけば女性とも知り合えます。誰にも相手にされない日もあるけど、SNSでナンパ師のアカウントをフォローしていると、同じような人もたくさんいるので、その日がダメでも前を向けます。

 僕はなるべくお金をかけずにコンバージョンするのが流儀なので、みんなが思うほどは女遊びにお金をかけません。飲み代やラブホ代も、基本的には割り勘。少ない給料の中でも遊べる日ができるようになって、休日が楽しみになりました」

◆結婚のため本命の彼女がほしい

 本人の中で「ナンパ」が生きがいになっていったのなら、それはそれでいいことだ。しかし、結婚願望はあるのか、と話を振ると、少し表情を曇らせる。

「結婚願望もあるんですが……ナンパで引っかける女性は関係が長続きしないことが多いので、本命彼女が欲しくてマッチングアプリを始めました。けど、アプリはアプリでまた難しくて……ネットでナンパするネトナン師のアカウントにテクニックやコツを教えてもらっているけど、リアルナンパより打率は低いし、お金もかかりやすくて。上手くいかないなあって感じです」

 結婚願望について聞いたのに、本命彼女を探すための活動も「ネットナンパ」の一環として認識してしまっていることに少し驚いた。ワンナイトラブが目的のナンパと、結婚のための彼女を探す活動は、途中経過が大きく異なってくるように思えるが……。

「ネットでモテてるネトナン師たちは、ネットナンパの延長で、彼女や結婚相手も見つけていくんです。ネトナンとは言っても、マッチングアプリでの出会いってナンパじゃないから、ネット出会いでのモテテクを活用しているだけなんです。と言っても、そんなに簡単にはいかなくて……マッチしてもメッセージが来ないことなんてザラだし、当日に集合場所まで行ってからドタキャンされたこともある」

 倉田さんは女性との出会いのすべてに「モテテク」「ナンパテク」を駆使しているように見える。彼の人生を変えたものだと考えると、それに頼ってしまうのも分かるが、本命探しという点においては、現実問題上手くいっていない。それでも、自分にはそれしかないのだという。

「だって、俺自身に中身なんてないんですよ。ただ女の子からモテたい、結婚もしたい。それだけ。自分に中身がないから、女の子と接する方法はモテテクに頼ってきました。だから、それ以外の方法がわからないんです」

 一般の恋愛で行われるような誠実なアタックは「コスパが悪い」と感じてしまうという。低年収というハンディキャップゆえというところはあるのかもしれないが、恋愛をコストで考えてしまうあたりは、誠実な出会いでは疎まれそうだ。

◆年収や役職が上がらないシビアな現実

 まだ20代の倉田さんには時間がある。しかし男性は年齢を追うにつれて、年収面がシビアに見られるようになってくるという現実がある。

「給料面では、これ以上上がっていく見込みが見えない。介護の現場に役職はほとんどなく、たまにあっても大学卒の人たちがそのポストを担っている。そう思うと20代のうちに結婚したいけど、上手くいかないものはしょうがない。ナンパとマッチングアプリに張り付くしかない」

 倉田さんは「ナンパで自分に自信がついた」と語るが、今もそうなのだろうか。初めてやったパチンコが大当たりした時のように、最初は大きな達成感を得られたのかもしれないが、今の倉田さんは空疎なモテテクにすがりつき、他の方法も探せず自分をすり減らしていっているように感じる。モテテクで結婚に至る人もいるのかもしれないが、ナンパ師にもそれぞれのスペックがあり、結婚に至った人が本当にモテテクゆえに結婚できたのかどうかは分からない。

 SNSやネットにはモテ商材が溢れている。しかしそれも一つのコンプレックス商材だ。結局彼は今も、これまでの「非モテ」のマインドを引きずり続けている。そのコンプレックスが彼を、上手くいかないナンパの藁にすがらせてしまっているようにも見えた。

<取材・文/ミクニシオリ>

【ミクニシオリ】

1992年生まれ・フリーライター。週刊誌などにアングラな性情報、最新出会い事情など寄稿。逆ナンや港区合コンの現場にも乗り込み、恋愛経験を活かしてtwitterで恋愛相談にも回答。カルチャーにも素養がある生粋のサブカル女子。Twitter:ライタ〜ミクニシオリ

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