菅氏の人気に便乗、1年ぶりに有権者の前に姿を見せアピールに勤しむ菅原一秀前経産相

HARBOR BUSINESS Online / 2020年9月15日 8時33分

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菅氏との関係が生命線の菅原議員を支える現役秘書たち

 自民党総裁選で菅義偉氏に注目が集まり、政党支持率が回復する中で、自身の存在をアピールしているのが菅原一秀前経産相だ。1年ぶりに選挙区内での駅頭活動を再開、菅氏の総裁選チラシを配布し緊密な関係を強調する演説を行っている。

◆雲隠れしていた”カニメロン”大臣

 秘書が選挙区内の有権者の葬儀に香典を持参するなどした公選法違反疑惑により昨年10月、経産相を辞任した菅原議員。説明責任を求める有権者の声を無視、秋の国会を欠席しておきながらその裏では選挙区内の後援者回りを続け秘書や元秘書に嵌められたなどと責任を転嫁していた。

〈参照:| 国会欠席で雲隠れの「カニメロン」菅原一秀前経産相、被害者ヅラで弁明の日々か<政界宗教汚染〜安倍政権と問題教団の歪な共存関係・第25回>〉

 公選法違反で刑事告発を受けたものの今年6月に不可解な理由で起訴猶予となった菅原議員が、政治家を志して以降、30年間毎日行っていたと喧伝しているのが朝の駅頭活動だ。昨年9月の経産相就任以降は閣僚としての自身の警護体制の届け出などを理由に取りやめていたが、大臣辞任によりその“理由”の根拠がなくなったにもかかわらず、直撃取材や有権者からの非難を恐れたのか一向に駅頭の再開をしなかった。

〈参照:|公選法違反常態化の菅原一秀を東京地検が不起訴処分、起訴猶予は妥当ではない〉

◆突如再開した駅頭で菅氏との関係をアピール

 支援者の会合などクローズドな場所にしか顔を出さず、一般の有権者の前には姿を見せなかった菅原議員が9月7日朝、中村橋駅前に現れた。昨年9月11日の経産相就任日に大泉学園駅改札前で行って以降、1年ぶりに駅頭活動を再開したのだ。

 持病悪化を理由とした安倍晋三首相の辞任表明により行われる自民党総裁選で菅氏が当選確実となる中、世論調査でも政権支持率が50%を超えるなど回復、菅氏の人気にあやかろうと、どさくさ紛れに自分のアピールを始めたというわけだ。

 

 菅原議員は菅長官の子飼いと言われており、オフィシャルブログでは以下の文面を臆面もなく書き連ねている。

「私は国会にお送りいただいてから一貫して師事してまいりました、政治の師匠である菅官房長官をしっかりと最後まで応援してまいります。何としても、叩き上げの令和太閤を実現したい一心です」

〈参照:|直球勝負!菅原一秀オフィシャルブログ 菅官房長官を支援〉

「私は2003年の初当選以来、菅長官に師事し、一貫して無派閥を貫いてまいりました。私の両親が秋田県の湯沢の出身で、菅長官の出た湯沢高校の卒業生であったことから、初当選以来、温かいご縁をいただいてまいりました。そして、党内の部会や議連でもともに行動し、北朝鮮の万景峰号の乗り入れ規制や振り込め詐欺の撲滅対策、そして第一次安倍政権の発足の再チャレンジ議連等、様々な経験をさせていただきました。私が初当選以来18年間、無派閥を貫き、様々な経験をすることができたのはひとえに菅官房長官のおかげさまです」

〈参照:|直球勝負!菅原一秀オフィシャルブログ 菅官房長官出馬へ〉

 菅氏に近い菅原議員がこのタイミングで駅頭を再開したことについては、衆議院の解散総選挙が近いのではと見る向きもある。

◆駅頭場所を秘匿か

 菅原議員は当日駅頭を行った場所をFacebookに掲載しているが、先週駅頭を行った月曜から金曜のうち、8日の火曜のみ駅頭場所を記載しなかった。

 不審に思い、背景の画像に写った建物などから調べてみると、この日の駅頭は選挙区外の成増駅前で行われていた。同駅は練馬区旭町の2丁目と3丁目が至近で東京都第9区の有権者の一部も利用はしているものの、利用者の多くは東京第11区の有権者で板橋区民だ。遡って菅原議員のSNS等を調べたが、菅原議員がこれまで成増駅前において駅頭を行った形跡は見当たらない。ではなぜ、わざわざ自身の選挙区以外で駅頭を行ったのか。

 筆者は、前日に菅原議員の駅頭再開について、Twitter上で目撃情報の提供を呼びかけ、直撃取材を仄めかしていた。筆者のこうした動きを警戒し、選挙区以外の場所を選択したと見ている。

 再開後、菅原議員がどこで駅頭を行ってきたのかを見てみよう。

9/7(月)  中村橋駅前(東京9区)

9/8(火)  成増駅前(東京11区)

9/9(水)  保谷駅前(東京9区)

9/10(木) 練馬高野台駅前(東京9区)

9/11(金) 石神井公園駅前(東京9区)

9/14(月) 富士見台駅前(東京9区)

 石神井公園駅では行っているものの、その他に東京9区内で主要駅とされる練馬駅や大泉学園駅、光が丘駅には立っていない。

◆駅頭終了時間を偽装

 今回、筆者が菅原議員の駅頭場所を突き止めるため東京9区内の各駅を回ったのは8日と11日だ。両日とも菅原議員の駅頭には遭遇できなかったが、11日はいくつかの駅前をチェックした後、8時過ぎに到着した石神井公園駅前で菅原議員の秘書2人が駅頭の後片付けをしているところに行き会った。すでに駅頭は終了しており代議士も去った後だった。

 幟を片付ける政策秘書の石黒氏に確認すると、今回の駅頭で配布しているのは菅氏の総裁選チラシのみ。

 この日、菅原議員は8時16分にFacebookへ「今朝は6:30から8:15まで石神井公園駅にてマイクを握りました」と投稿。

 しかし、当日、筆者が石神井公園駅前で幟などを片付ける菅原事務所の秘書たちを発見したのは8時6分で、すでに菅原議員はその場にいなかった。にもかかわらず8時15分まで同駅前でマイクを握っていたと話を”盛った”のだ。

 細かいことだが、こんなところにも菅原議員の偽装体質が表れている。

◆まず果たすべきは有権者への説明責任

 昨年10月、有権者への贈答品や香典配布疑惑の追及に対し、メディアに「事務所内を調査中です」などと述べていた菅原議員、その裏では有権者買収の“顧客リスト”を破棄するよう命じていたことが明らかとなっている。

 菅義偉政権の下で復権を目論む菅原議員。その前に、有権者への説明責任を果たすべきであろう。

<取材・文・撮影/鈴木エイト(ジャーナリスト)>

【鈴木エイト】

すずきえいと●やや日刊カルト新聞主筆・Twitter ID:@cult_and_fraud。滋賀県生まれ。日本大学卒業 2009年創刊のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で副代表~主筆を歴任。2011年よりジャーナリスト活動を始め「週刊朝日」「AERA」「東洋経済」「ダイヤモンド」に寄稿。宗教と政治というテーマのほかに宗教2世問題や反ワクチン問題を取材しトークイベントの主催も行う。共著に『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書)

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