菅首相の恩人“横浜のドン”藤木会長が、カジノ誘致反対で立憲民主党・枝野代表と連携!?

HARBOR BUSINESS Online / 2020年9月21日 8時32分

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菅義偉氏

◆“横浜のドン”と枝野代表が「横浜にカジノはいらない」と連携

 150人規模の合流新党となった「立憲民主党」の枝野幸男代表が、「ミスター叩き上げ」こと菅義偉首相との対決姿勢を露わにしている。

 国民民主党との合流新党の代表選前日の9月9日には、カジノ推進の旗振り役である菅首相(神奈川2区=横浜市西区・南区・江南区)の地元横浜に乗り込み、カジノ候補地の山下ふ頭を視察。“横浜のドン”と呼ばれ、「カジノなしの再開発計画」を提案している「横浜港ハーバーリゾート協会」の藤木幸夫会長らとも会談、カジノ誘致反対での連携を確認したのだ。

 この藤木会長は菅首相の恩師。菅首相は、藤木会長の盟友の小此木彦三郎・元建設大臣の秘書を11年務めた後、横浜市議から国会議員となった。ところが菅首相は、お世話になった恩師が反対するカジノ誘致を推進している(筆者記事「『叩き上げの苦労人』という虚像。新総裁に手をかけた菅義偉、利権のために恩師も裏切る素顔」参照)。

 枝野代表の現地視察と藤木会長との面談は、菅首相の「叩き上げ」「苦労人」「庶民派」の虚像を打ち砕くものだ。そこで、翌10日の代表選後の会見で、藤木会長との面談について枝野代表に聞いてみた。

――代表選前日に、横浜のカジノ候補地を視察した理由・狙いと、その際に菅さんの恩人である藤木幸夫さんとお会いになって「カジノ反対で連携をする」という報道をみました。一部週刊誌(『週刊新潮』)では「菅さんと藤木さんが手打ちをした」という報道もありますが、面談の感触などを含めてお伺いしたい。

枝野代表:代表選は演説会も7分ですし、メデイアの対談に呼んでいただいても、最初のプレゼンは3分とかで。訴えたいこと、特に個別テーマで訴えたいことは、なかなかそういう機会では取り上げられません。

 そういう中で実際に現地を見させていただいて、当事者の話をきちんと聞くことで、重要なテーマの方向性を示すことができるということで、横浜のカジノの予定とされているところに行かせていただいたのが経緯です。

 藤木(幸夫)さんにわざわざお出ましをいただき、カジノ(反対)について短時間ですが熱い思いと、「しっかりと時間を取って話を聞いてくれ」と言われて「当然です。喜んで」と申し上げました。

 藤木さんと菅さんとの関係については、別に話に出ておりません。そういった次元の話ではなくて、「あの場所にカジノを作ることは許されない。反対だ」ということで考え方が一致して、それについて連携させていただくことで一致しました。

◆カジノに反対する藤木会長の菅首相“ほめ殺し”

 なお「『菅義偉』総理への道」と銘打った『週刊新潮』9月10日号には、8月24日に菅首相が藤木会長と会ったことを紹介していた。去年の同誌のインタビューで藤木会長が「(菅首相は)安倍の腰巾着」と言っていたことについては、同誌が31日に直撃をして「いまでも腰巾着ですよ。腰巾着ってのは、すごい褒め言葉なんですよ。旅に出る時に持っていくんだよ。腰巾着が無くなったら旅は中止だよ」というコメントを引き出した。

「安倍首相の大事な存在」というわけだが、私が1月6日の港運協会の賀詞交歓会で藤木会長を直撃、「(菅首相の)安倍首相の腰巾着ぶりに変わりはないですか」と聞くと、こう解説してくれた。

「『安倍首相はトランプ大統領の腰巾着』というのはほめ言葉なのです。(腰巾着の)巾着は、お金が入っているがま口でしょう。スポンサーのことを言います。悪い意味で解釈をしてはダメなのです」(「カジノ誘致に反対する“横浜のドン”が安倍首相・菅官房長官に再び反旗」記事参照)

 ここで藤木会長は「ほめ言葉」と言っているが、これは痛烈な皮肉と言っていい。「日本のためではなく、米国のための“がま口”=スポンサー」だと言っているのだ。ここには、菅首相との長い関係から、表だってはっきりとは批判できない藤木会長の複雑な感情がうかがえる。

◆枝野代表「カジノは合流新党でも総力をあげるテーマにしたい」

 菅首相がこれまで支えてきた安倍政権は、トランプ大統領の要請に沿ってカジノ関連法案を成立させ、横浜などへのカジノ誘致を進めることで、間接的にトランプ大統領のスポンサー役となろうとしてきた。そして菅首相もまた、日本の国富流出を招く「米国益第一・日本国民二の次」の“腰巾着政治”を継承することが予想される。

 視察直後に枝野代表は、報道陣にこう語った。

「自然環境や近隣施設との距離などを実際に確認した。魅力的な景観を崩してまで、カジノを持ってくる理由はない。地域の特性を生かした代替案(カジノなしの再開発案)を聞いた。合流新党でも総力をあげるテーマにしたい」

 合流で150人規模となった立憲民主党ではカジノが重点テーマとなり、10月にも行われるといわれる解散・総選挙でも主要争点の一つになるのは確実のようだ。菅新総理の地元横浜で反対の声が上がっているカジノ誘致の是非を問いかけていこうとしているのだ。

◆カジノについて直撃するも、菅氏はすべてノーコメント

 一方の菅首相は総裁選中、カジノについてほとんど語ることはなかった。総裁選告示日(9月8日)の共同記者会見でも翌9日の公開討論会でも、質問が出なかったこともあってまったく触れなかったのだ。

 そこで筆者は、8日の共同記者会見終了直後に声掛け質問をしてみた。この日も、記者クラブの記者しか質問できなかったためだ。

「フリーは質問できないのですか? コロナ禍でもカジノ、リニアを進めるのですか? 菅さん、第二の故郷をカジノ業者に売り渡すのですか。藤木(幸夫)会長を裏切るのですか。恩を仇で返すことになりませんか。カジノについて一言、菅さん、お願いします。横浜を裏切ることになりませんか」

 菅氏は無言のまま立ち去った。

 翌9日に自民党本部で開かれた公開討論会では、エレベーターに乗り込むところを見かけたので、声をかけてみた。

「菅さん、今日はカジノのことを説明するのですか。横浜を売り渡すことになるのではないですか。第二の故郷を売渡すのですか、カジノ業者に。(世話になった)藤木さんを、裏切ることにならないでしょうか」

 菅氏はこの時も無言のまま、スタッフに囲まれてエレベーターに乗り込んだ。

 公開討論会でも、カジノ関連の質問がまったく出なかったので、司会者の三原順子参院議員が「それでは、候補者の皆様にはご退場をしていただきます。本当にありがとうございました」と言ったとたん、菅氏に向かって「菅さん、第二のふるさと(横浜)にカジノを持ってくるのですか。恩を仇で返すのですか」と大声を張り上げたが、ここでも菅氏は無言のまま会場を後にした。

 9月2日の出馬表明での声かけ質問を入れると、合計で4回カジノ誘致について聞いたが、菅氏は一言もコメントすることはなかった。

◆「横田一が来たら入れるな」と自民党が守衛に指示

 都合の悪い質問にまったく答えない対応は小池百合子都知事と瓜二つだが、菅首相は声掛け質問の機会さえ与えない徹底した“記者排除”をしてきた。9月14日の総裁選投開票(両院議員総会)を受けて菅・新総裁は、自民党本部での初記者会見に臨んだのだが、筆者は自民党本部に入ることを入口の守衛に拒否されたのだ。

――新総裁の会見、6時からですよね。

守衛:今日は入れないので、ダメです。横田さんはダメなのです。「ダメ」と言われてしまったから。

――(自民党広報部の担当者の)浅見さんから。

守衛:うん。「ダメ」と言われてしまったから。

――理由は。

守衛:理由はわからない。

――菅さんに声をかけたからですか。

守衛:理由はわからないけど。

――なんで「ダメ」と言われたのですか。

守衛:理由はわからない。

――理由はわからないけれども、「横田一が来たら入れるな」と。

守衛:そうですね。

――そうなのですか。ひどいじゃないですか。

守衛:私に言われても。

――菅さんの評判が悪くなりますよ。

守衛:私に言われてもわからない。

――(自民党広報部の担当者の)浅見さんに電話をかけてくださいよ。「菅さんの評判が(悪くなる)」と。

守衛:いやいや。

――顔をよく覚えていますね。

守衛:仕事ですから。

 徹底した“記者排除(選別)”で不都合な質問に答えない一方、記者クラブ所属の“お気に入り記者”との質疑応答を通じて自らのプラスになる情報が垂れ流されるようにする。菅・新総理は、小池知事と同等以上のメディア・コントロールを行っている。

「叩き上げの苦労人」の美談(虚像)で塗り固められた首相の“素顔”も、明らかにしていく必要があるのではないだろうか。

<文・写真/横田一>

【横田一】

ジャーナリスト。8月7日に新刊『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)を刊行。他に、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)の編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数

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