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自ら「密」状態を作っても千代田区長選の応援をした小池都知事、国政を目指して再び“劇場”の開幕か

HARBOR BUSINESS Online / 2021年2月12日 8時31分

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緊急事態宣言の発令中、小池知事による応援演説は“密集街宣”に

◆都民には外出自粛を呼びかけながら、自身は「密」状態を作っていた

「カイロ大学首席卒業」という疑わしい経歴を引っ下げて、キャスターから国会議員を経て都知事に登り詰めた小池百合子知事が、再び“虚言癖”を露わにした。4年前の都議選圧勝に弾みをつけた千代田区長選で再度、直系の愛弟子候補である樋口高顕氏を全面的に支援し、勝利に貢献した時のことだ。

 2月5日の小池知事会見で『東京新聞』の記者は、投開票前日の1月30日夜、「密」状態を作り出していた街頭演説について次のように問い質した。

「選挙期間中は、緊急事態宣言が発令されていてで、都民に外出自粛を呼び掛けていた時期。飯田橋で街頭演説に立った判断理由や経緯を聞かせてください」

 これに対して小池知事は「お集まりいただいた方には『密にならないように』ということで、徹底してお願いをした」と非を認めず、まるで「密」状態にはなっていなかったかのような答弁をした。

 しかし、実際には「密集」「密接」状態が出現していた。感染拡大抑制の先頭に立つべき小池知事自身が「密」状態を作っていたという不都合な真実を、隠蔽・改竄したのだ。

◆「飯田橋での街宣は『密』では?」という筆者の質問を小池知事は無視

 しかし『東京新聞』の記者は、この件について再質問をして追及を続けることはなかった。そこで会見終了直後、この日も質問者として指されない“記者排除”を受けた筆者は、小池知事に向けて声掛け質問をした。

――(千代田区長選の)飯田橋街宣、密集状態ではなかったのですか。自分で「密」状態を招いてどうするのですか。

 小池知事は、無言のまま立ち去った。

 著書『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』で筆者が紹介した都知事会見の“風物詩”的なやりとりが、この日も繰り返された。しかし小池知事は結局、2020年夏の都知事選では一度もしなかった街頭演説を千代田区長選では断行し、「密」状態を作り出したことを認めることも反省も謝罪もしなかった。「自分(選挙)ファースト」とはこのことだ。

◆小池知事の登場は「サプライズ」ではなかった

“虚言癖”が疑われるという点では、自公推薦の早尾恭一候補(前・千代田区議)と維新推薦の五十嵐朝青候補(会社役員)を破って初当選をした、樋口高顕・前都議(都民ファースト)も小池知事と瓜二つだ。樋口氏は1月30日のツイッターでこう発信した。

「飯田橋駅西口サクラテラスにて最終最後の街頭演説。密を避けるため事前の告知は控えておりましたが、小池知事の応援演説もいただき、多くの区民の皆さまが足を止めてくださいました」

 しかし実際には、街宣開始前から小池知事登場を大音量で告知、19時半前には到着を待つ聴衆の人だかりができていた。たまたま通りかかった人が「足を止め」たのではない。小池知事がマイクを握るなり小池知事が「密を避けましょう」と叫んだのは、すでに「密」状態が出現していたことの証だ。

 また事前告知は街宣開始直前だけではなく、一部関係者にはかなり早い段階で行われていたのも確実だった。筆者も千代田区民から情報提供を受けて、現場で待ち構えていたのだ。

 区長選告示日の1月24日にも、小池知事は樋口候補の出陣式にも駆け付けた。これは「小池氏、区長選立候補の『超側近』をサプライズ激励」(1月24日付『日刊スポーツ』)と報じられたが、これも事実とは違うようだ。

 ジャーナリストの鈴木哲夫氏は2月1日の「選挙ドットコム」の記事で、知事の側近の一人が「小池知事は、区長選のかなり前から樋口氏擁立を決め、サプライズなどと言われた応援入りも実は事前から練っていました」という発言を紹介していた。

 筆者も告示前日(1月23日)に、樋口候補と選挙事務所の担当者に「出陣式(第一声)に小池知事が来るのですか」と聞いたが、「予定は決まっていない」と回答。鈴木氏の記事の側近発言が事実なら、『日刊スポーツ』をはじめ報道関係者に虚偽情報を流して、事前に予定されていた小池知事の登場を、突然決まった「サプライズ激励」と歪曲して報じさせたことになる。

◆千代田区保健所視察は、税金を使った露骨な選挙活動

 告示2日前の1月22日の小池知事による千代田保健所視察も、選挙対策のパフォーマンスだった。「行政視察」と銘打った公務として、小池知事は「都議会」の文字を縫い込んだ制服姿の樋口候補(当時はまだ都議)とともに千代田保健所を視察。保健所長らと意見交換をした。

 1月31日の筆者記事「保健所視察は千代田区長選のための『選挙対策』!? 『五輪ファースト』で動き始めた小池都知事の“野望”」にある通り、保健所を訪れる時から樋口氏は小池知事と並んで歩き、最後の囲み取材でも隣に立ってメデイアに露出する“舞台設定”になっていたのだ。

「直系候補応援のための『選挙対策』」と指摘したのはこのためだ。千代田区長選の投開票日である1月31日、バンザイをした後の囲み取材で樋口氏は「小池知事が公務で選挙活動をしたに等しいと思いますが」という筆者の質問にこう反論した。

「どうお考えになっているのか分かりませんが、当然私は現職の都議でありましたし、地域の悲痛な声を聞いておりました。そうした中で『ぜひ、保健所を見ていただきたい』と緊急要望をしまして、これをすることに何の問題があるのか。私にはわかりません」

 ここで筆者が再質問をし始めた瞬間、司会者が囲み取材の終了を宣言した。

 しかし筆者はすでに、千代田保健所長に視察後の囲み取材で「保健所から頼んで知事が来たのか。都からの要請だったのか」と質問し、「私たちのほうから『小池知事に来てほしい』ということは言えません」との回答を得ていた。

 つまり「千代田保健所からの緊急要望」ではなく、「愛弟子の樋口都議(当時)の要請を受けて、師匠の小池知事が告示2日前(1月22日)に千代田区保健所視察をした」と考えるのがごく自然だ。

 しかも東京23区内にある保健所のうち、先進的な取り組みが報道された世田谷区や墨田区以外の3区を選び、千代田保健所だけを取材可能としたのは、長年の師弟関係の産物にしか見えない。これは「税金を使った露骨な選挙活動」「公務中に保健所視察を名目に愛弟子候補のテコ入れをした」と批判されても仕方がない。

◆都議選で圧勝して国政転身、「初の女性総理大臣」の座を狙う!?

 都知事として感染爆発を抑え込む役割をかなぐり捨てて“密集街宣”に踏み切り、質問されても「密」状態だったことを否定して虚偽答弁を行った小池知事だが、何でもありの選挙で勝利した効果はハッキリと現れた。

「千代田区長選で自公系候補敗北 夏の都議選に不安、小池氏は存在感」(2月1日付『産経新聞』)などと報道され、内閣支持率激減の菅政権(首相)を尻目に注目度が上昇。「“小池劇場”が再開幕した」といった雰囲気さえ漂い始めたのだ。

 元・都民ファースト幹事長(都議)だった維新の音喜多駿・参院議員は、2回目の出馬となった維新推薦の五十嵐氏も票を伸ばしたことから、千代田区長選についてこう総括した。

「今回の区長選挙の票差を見ると、自民党の『一人負け』と言わざるを得ないのではないでしょうか。小池知事と都民ファーストは逆転大勝利で、7月4日投開票の都議選に弾みがついたことは間違いありません」

 4年前の再現を小池知事が狙っているのは確実だ。2017年はトリプルスコアで圧勝した千代田区長選で弾みをつけ、都議選で自民党を歴史的惨敗に追い込んだ。その勢いを買って「希望の党」代表に就任し「女性初の総理大臣誕生か」との見方も流れた。その時と同様に、ホップ・ステップ・ジャンプの三段階で国政転身をはかろうとしているというわけだ。

 小池知事の最終目標が総理ポストに違いないことは、ベストセラーとなった石井妙子著『女帝』や先の『仮面』などの中で指摘されていることだが、第一段階を劇的な逆転勝利でクリア、続く都議選でも落ち目の自民党に圧勝する可能性が高まる中、国政転身への道筋が再び切り開かれる状況になりつつあるのだ。

 現在の永田町は「安倍一強多弱」から「菅一弱多弱」という“戦国時代”に突入している。メディアコントロールに長けた「自分(選挙)ファースト」の小池知事が、ポスト菅候補として急浮上する“政治的環境”は徐々に整いつつあるのだ。『女帝』の副題は、「小池百合子――救世主か? “怪物”か?」だったが、まさに“怪物”のような小池知事から当分、目が離せない。

<文・写真/横田一>

【横田一】

ジャーナリスト。8月7日に新刊『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)を刊行。他に、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)の編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数

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