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保育園“水増し請求”疑惑の助成金はどこに?元職員「経営者の快楽のために…」ススキノの店で1晩300万円も 札幌の5つの保育園が一斉休園で行き場をなくした園児たち 徹底追跡【疑惑の保育園】

北海道放送 / 2024年6月6日 19時34分

札幌の保育園が相次いで休園した問題です。運営会社は、助成金を過大申請した疑惑も持たれています。HBCが3月から継続的に取材し、放送してきた、札幌市の保育園運営会社「中和興産」をめぐる問題。

保育士不足や、助成金の過大申請の疑惑が持ち上がる中、6月に入り、この会社が運営する5つの保育園が突然、休園しました。

子どもを預けていた保護者
「園からは一切補償とかそういうのもなく」

働いていた保育士
「(子どもに)申し訳ないですし、もっと早い段階でわかっていれば、子どもたちも保護者も路頭に迷わなかった」

転園を余儀なくされ、行き場を失った70人以上の園児たち。いま保育の現場で何が起きているのか、もうひとホリします。

石黒拓海記者
「多くの子どもが通うこちらの認可保育園、今週から突然閉園しました。中は暗く、子ども達の物が残されたままになっています」

札幌市西区の「ちゅうわ発寒保育園」です。38人の園児が通っていましたが、今週3日から突然、休園となりました。

ほかにも認可保育園と認可外保育園のあわせて、5つの保育園が休園。これらはすべて札幌の「中和興産」が運営しています。

子どもを預けていた保護者たちは、突然の休園に戸惑いを隠せません。

子どもを預けていた保護者
・「夫が別の保育園を見つけてくると思うが、娘が受け入れてくれるかどうか」

・「すごい困ってます。いま現在は、うちの職場は、割と子供を休んで連れて行っても大丈夫なところではあるので、周りに申し訳ないなと思いながらも、一緒に職場に連れて行って仕事している感じ」

休園によって転園を余儀なくされた園児は、6月6日現在、認可保育園だけで74人にのぼります。この事態に、札幌市の秋元市長は…。

札幌市 秋元克広市長
「今回はあまりにも突然で、市の方にも事前の連絡がありませんでした。そういう意味では大変ずさんで無責任な対応だと」

関係者によりますと、休園の理由は、給与の未払いや人員不足による職員の一斉退職です。働いていた保育士たちは、園のずさんな運営実態をこう訴えます。

働いていた保育士
・「私も、もう一人辞めた先生も(給料が)払われていないです。1か月分ですね…出てないです。メールで“給料はいつになりますか?”と聞いたところ、メールで“労基に聞け”と、その一言で終わりました」

・「保育士ももう配置基準には満たない状態で、監査にも引っかかっていましたし、実際、系列園の先生がうちの職員になっているという書類を作られていたことも」

・「職員がいない中でも、入園したい希望があったら、絶対断るなって…“今はこれ以上(保育園に)入れられないです”と言っても“子ども1人にいくらのお金が出ると思って、その補助金とか…お前はそれを無駄にするのか”とかを言われるので、やっぱり、私から見たら、子どもをお金に見てるのかな…と感じていました」

「中和興産」をめぐっては、認可外保育園の助成事業を行う「児童育成協会」が、およそ4700万円分の過払い金を返還請求しているほか、札幌市も、施設運営のための助成金およそ2600万円が、過払いだったとして返還を求めています。

「中和興産」の元職員は、在職していない職員を書類に記載するなどの“水増し申請”が、男性経営者によって行われていたと証言します。

中和興産の元職員
「これはいない人間。私会ったこともない人間ですよ。いいんですか…こんな人を入れてと。それに対して彼が言ったのは“そんなこと、みんなやっているから…何があっても会社が責任を取るし、そのために市議会議員とか支援しているんだ。だからやってくれ”…と」

過大に支払われた助成金は、どこに消えたのか。

HBCが入手した「中和興産」の男性経営者が利用していた法人カードの利用明細書によると、2021年のある月の請求額はおよそ960万円。明細をみると、1日に何軒も飲食店を利用していたことがわかります。その多くが、ススキノにある女性による接待を伴う店でした。

中和興産の元職員
「男性経営者の快楽のために使われてますね、実際のところは…。ススキノの夜のお店で一晩で300万円とか使うことも、日常化してますので。保育事業に何の関係があるのか」

子どもを預けていた保護者
「中和興産にも電話したら電話つながらない状況で」

保育園が休園してから、保護者からも連絡が取れない状態だという「中和興産」。

働いていた保育士
「(子どもたちに)申し訳ないですし、もっと早い段階でわかっていれば子どもたちも保護者も、路頭に迷わなかったっていうのは、私の中ですごい思っていて…謝っても、謝り切れない」

「だからきちんと表に出て謝るなり、説明責任をきちんとしてほしいと、私は思います」

今年3月の取材では…。

石黒拓海記者
「児童育成協会からの助成金で、水増し請求が行われていたんではないか…という話を聞きまして」

中和興産の男性経営者
「いや、水増しっていうか、概算と清算の差はあるので、それを返却するっていうことはやって…すみません、撮らないで欲しいんですけれど」

男性経営者はこれまでHBCの取材に対し、助成金の水増し申請の疑惑を否定してきました。今回の休園措置について、改めて取材を申し込むと…応答はありませんでした。

行き場を失った74人の園児について、札幌市は保護者から転園先の希望を聞き取り、来週中をめどに転園できるよう調整するとしています。

また「中和興産」に対する認可の取り消しや、刑事告訴についても検討するとしています。

もしも助成金が私的に使われていたとすれば大問題です。その過大に支払われた助成金の額をまとめました。

▼《4つの認可保育園》
・札幌市から約2600万円の助成金の返還を求められる。

▼《1つの認可外保育園》
・児童育成協会から約4700万円の助成金の返還を求められる。

当然、札幌市からの助成金は、税金から成り立っていますし、児童育成協会からの助成金は、全国にある数多く企業から集めた拠出金がもとになっています。

いずれについても、未だ返済されていません。

こうした助成金の申請などについて、保育園の経営に詳しい【株式会社いちたす・大窪由衣さん】に尋ねました。

▼申請内容のすべてをチェックできる体制になく、一部は事業者のモラル任せになっている。

▼人手を増やすなど、チェック体制を強化したり、申請の抜け道をなくすルール作りが必要。

待機児童の問題を背景に、参入する事業者が増える一方で、事業者のモラルが問われています。

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