1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

【2024年問題】建築業界で深刻な人手不足…現場の事務作業を支援“建設ディレクター”が活躍「本来やるべき仕事に注力できるようになった」

北海道放送 / 2024年6月24日 20時14分

2024年問題に直面する建設業界です。新たな働き方として建設ディレクターが注目されています。

北海道新幹線の札幌延伸に、「ラピダス」の半導体工場。さらに札幌中心部の再開発など、道内で大規模工事が相次いでいます。
そんな中、建設業界が直面しているのが、深刻な「人手不足」です。

芝浦工業大学・蟹澤宏剛教授(建築学)
「このまま放っておくと、あと20年もすると今の半分ぐらいまで(担い手が)減ってしまう」

帝国データバンクが、ことし1月に行った調査では建設業のおよそ7割が「人手不足」を感じていると回答しています。
この危機的な状況に、追い打ちをかける「2024年問題」。働き方改革が求められる建設業界をもうひとホリします。

建設業界にも「2024年問題」がのしかかっています。4月から時間外労働の上限が原則として月45時間以内、年間360時間以内に規制されました。これにより、さらなる人手不足やコスト上昇への対応が求められます。

芝浦工業大学・蟹澤宏剛教授(建築学)
「建設業、特に現場で働く人の賃金は決して高くない。普通に週休2日でも今まで以上の賃金が得られるような利益構造にしていくことが必要」

この現状を打開したいと、新たな取り組みを始めた会社があります。

舗装工事などを手掛ける札幌市の建設会社です。この日の作業は、恵庭市内での下水道工事。

現場では、技術者が工事の進捗状況を記録するため写真を撮影しています。これまでは、現場作業が終わってから会社に戻り、事務作業に追われていましたが、午後の社内を覗いてみると…。

道路建設・建設ディレクター室 徳永やよい主任
「クラウド上できょう撮った写真と作業状況を見ています」

こちらの女性2人は、新しくできた職種「建設ディレクター」です。これまで技術者がやっていた写真の管理や施工計画書などの事務作業を支援するのが仕事です。

道路建設・建設ディレクター室 徳永やよい主任
「会社全体で良い工事になるようにサポートする。デジタルの技術を取り入れたり、こうしたほうがみんなの残業が減るんじゃないかとかアイディアを出し合って、一緒に変わっていこうとしてると感じています」

「建設ディレクター」のサポートに、現場の技術者は…。

道路建設・菊地和さん
「今までは現場に出ていた人間が書類も全部やっていたんですけど、いまは手間が省けるようになりました」

こちらの会社は2年前に新しい部署として「建設ディレクター室」を設置。認定資格を持つ2人を中途採用しました。

道路建設・宮﨑健悟社長
「まず残業時間が減った。それから現場で働く技術者は例えば工程を考えたりとか、より安全な施工とか、工事の品質を保つとか。だいぶ余裕ができて本来やるべき仕事に注力できるようになったので、だんだんとお客様満足度が上がってきた」

残業代が削減できた一方で、建設ディレクターの人件費がかかりますが、そこは生産性を上げることでカバーできると言います。

道路建設・宮﨑健悟社長
「いままで年間3現場しかできなかった技術者が、早く仕事にかかれて早く終わるので、4現場できるようになれば、それで生産性が上がりますので、そこを各企業が認識できれば、この制度は広まっていくと思う」

建設業界では直面する“2024年問題”の対策として、事務作業の負担を減らす「建設ディレクター」の存在が注目されています。

同時に、今回取材した芝浦工業大学の蟹澤教授によると、建設業界では、多すぎる書類の事務処理は、もっとデジタル技術を活用して、自動的に記録を残すような仕組みも必要だと話しています。

北海道内では建設業者の倒産が増えています。

■【北海道内の建設業者の倒産件数の数位】(帝国データバンク調べ)
・2019年=42件
・2020年=26件
・2021年=17件
・2022年=20件

2023年の【倒産件数62件】は前年比3倍超です。

これらを負債総額のデータから見ると、次の通りです。
・2019年=48.3億円
・2020年=27億円
・2021年=9.9億円
・2022年=15.9億円

そして2023年の負債総額は【68億7800万円】と大幅に増加。

背景には、円安による原材料費の高騰や人手不足による人件費高騰などがあるとされます。

現場によっては、労働力の1~2割が外国人というところもあります。

ただ、世界中で外国人労働者が取り合いになっている中で、急激な円安が進む日本は、国際的には競争力を失いつつあるそうです。

建設業界が直面する“2024年問題”によって、今後どのような影響が考えられるのかについて、専門家の指摘です。

■【 芝浦工業大学・蟹澤宏剛教授(建築生産学)】
▼工期が伸びてコストがかさむため、住宅価格は高くなる。
➡ただし高くなるのは業者が法律を守っている証拠。むしろ上がらない方が危険。

▼中古物件の需要も高まる可能性はあるが、北海道の場合は、断熱性や気密性を高めるリフォームが必要で、すぐに対応してもらえなくなる

簡単には解決策が見つかることではありませんが、私たちの暮らしにも影響は避けられない中、働きやすい労働環境を整えて、いかに持続可能な建設業界を作っていけばいいのか…。

社会全体で注目して、考えていくことが欠かせないようです。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください