致死率30%「痛くて息ができない…」人食いバクテリア【劇症型溶連菌】感染者が語る症状悪化の速さ…感染者数は1000人超えで過去最多に
北海道放送 / 2024年6月28日 19時57分
全国に広がっている致死率の高い「劇症型溶連菌」。感染者の女性と、父を亡くした元ファイターズの選手が、いまの思いを語ってくれました。
植田万喜子さん
「ただ事ではないことになっているな…っていう気がしたんですよ。もう私、死んじゃうのかなと思って」
札幌市に住む、植田万喜子さんは3年前、命にかかわる感染症を患いました。
植田万喜子さん
「もうどんどん、どんどん本当に腕、どうしたのかなっていうくらい、ポンッて腫れてきて…何が起きているんだろうっていう感じ」
植田さんは、病気の進行を食い止めるため、右腕を切断。一命は取り留めたものの、手術を機に生活は一変しました。
感染したのは“劇症型溶血性レンサ球菌感染症”…いわゆる【劇症型溶連菌】です。
“人食いバクテリア”とも呼ばれ、発症すると、手足の壊死や多臓器不全を引き起こすなど
急速に症状が進み、致死率は30パーセントとされています。
札幌市保健所 感染症担当部長 前木孝洋さん
「菌が侵入した場合は、菌が爆発的に増えて、急激な短期間で症状が進むということが言われている」
過去最悪のペースで増え続けている”人食いバクテリア”【劇症型溶連菌】を、もうひとホリします。
今年に入り、全国の【劇症型溶連菌】の感染者数は急増しています。わずか半年で、過去最多だった去年1年間の感染者数を上回り、北海道内でも47人の感染が報告されています。
【劇症型溶連菌】とは、どのような感染症なのでしょうか?
札幌市保健所 感染症担当部長 前木孝洋さん
「子どもで、よく喉の痛みと熱で症状を出す“溶連菌”と同じ菌として分類される。軽い症状で終わることがほとんどだが、たまに重篤な重い症状を示して、命に関わってしまうような病気」
“溶連菌”が劇症化するメカニズムは、いまだ解明されておらず、感染経路は、手足などの傷口や粘膜、または飛沫感染が考えられます。
発症すると、発熱やけん怠感など、インフルエンザと似た症状が出るほか、手足に非常に強い痛みや腫れが現れます。
やがて、手足が壊死して、最悪の場合は…死に至ります。驚くべきは、症状が進行する速さです。
3年前に【劇症型溶連菌】に感染した植田万喜子さんはその怖さを、身をもって体験しました。
植田万喜子さん
「普通に何か熱が出て寒気がして、食欲ないけれど、ちょっと食べようかなと思ったら、右手が痛くて…赤くなっていたんですが、どんどん広がって」
「痛くて息ができないというか、どんどん色が変わって、どんどん上がってくるんですよ。多分、肩のあたりまで来てたかな。もう元には戻らない気がしてました、何となく」
体調に異変を感じてから右腕を切断するまでは、わずか3日の出来事でした。
植田万喜子さん
「(担当医師は)“植田さんの命は(残り)24時間なかったね”って言ってました。病院の先生たちも看護師さんも“本当によかった、よかった”って…すごいですよね。やっぱりね本当に助けられた」
しかし、不幸にして、命を落としてしまうケースも少なくありません。
ファイターズで長年スカウトを務め、ダルビッシュ有や大谷翔平の入団に尽力した今成泰章さんです。
2年前「劇症型溶連菌」に感染し、帰らぬ人となりました。
次男で元ファイターズの選手 今成亮太さんは、症状が出るまで、普段と変わらない姿だったといいます。
今成亮太さん
「(発症の)1週間ぐらい前ですかね。あのときも一緒に(ゴルフの)打ちっぱなしに行っているんですよ…普通に元気よく。体調悪いとか、そうことも一切聞かず…」
「(最初の症状は)おう吐と下痢が結構あったそうで、1日間は(病院に行くのを)我慢していたらしいんですね。病院に着いたときには、意識もちゃんとありながら、でもちょっと体調が悪いみたいな」
しかし、入院が決まってからは、みるみる体調が悪化。亡くなる寸前には手首、足首まで壊死が進行していました。
わずか一週間ほどで父親を亡くすことになった今成さんには、心残りがありました。
今成亮太さん
「1日でも早く診察していたら、助かる命だったのかな…というところがあったので、ちょっとでもおかしかったら病院に行ってもらいたい」
“人食いバクテリア”とも呼ばれる【劇症型溶連菌】に感染した場合、早い段階で治療を受けることができるかが、生死を分けることになります。
今年は感染者数が急激に増えています。全国の感染者数の推移です。
◆《【劇症型溶連菌】感染者数の推移》
去年は年間900人を超えて過去最多となりましたが、今年は6月16日時点で1060人の感染が報告されています。
北海道内では47人の感染が判っています。では、どんな人が感染リスクが高いと考えられるのでしょうか。
◆《【劇症型溶連菌】どんな人がリスク高いか》
東京都の感染推移をみると、50歳以降の感染者数が多く、年齢が高いほど、感染リスクも高くなる傾向が読み取れます。
新型コロナが落ち着いた今、感染症に対する意識を、改めて見つめなおす必要がありそうです。
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