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Fビレッジに移転する北海道医療大学が北広島市と連携加速…大学が去る当別町は「コンパクトシティ」「北海道バレー構想」など官民一体で未来図描く

北海道放送 / 2024年6月29日 16時56分

Fビレッジへ移転する北海道医療大学(北海道当別町)

北海道医療大学がキャンパスを当別町から北広島市へ移転させることを決めてから約9か月。
大学が北広島市との連携を加速させる一方で、当別町は大学が去った後の新たな街の魅力づくりに向けて動き出しています。

北海道医療大学を運営する東日本学園の鈴木英二理事長と北広島市の上野正三市長は6月26日、2028年に北海道日本ハムファイターズの本拠地「Fビレッジ」への大学移転に向けて、地域活性化など7つの項目で連携協定を結びました。

北海道医療大学を運営する東日本学園・鈴木英二理事長
「北広島市と本学の相互の発展にふさわしい事業内容となっています」

一方、大学が去る当別町の後藤正洋町長はHBCの取材に、大学の移転についての思いを語りました。

当別町・後藤正洋町長
「これ以上慰留することは現実的ではないと判断し、町としては次のフェーズに移っていくということが適切な判断だろう」

当別町は、移転をとどまるよう大学側に働きかけてきましたが、大学側から正式に移転が決定したと連絡を受けて、町はその働きかけを断念しました。

当別町・後藤正洋町長
「医療大は、エスコンさんと1年近く水面下で協議をされていて、その間、町の方には経過報告がなく、去年9月に突然発表があった。もし1年前に話をしてくれていたら、町としても違う判断ができたのではないか。そのことは非常に残念に思う。それも過ぎたことですし、医療大も決断された。町としてこれ以上何も言えない。ともに今後の課題をどう解決していくか協議させていただきたい」

後藤町長は、こう述べたうえで、キャンパスの跡地について、大学側と協議していくとしています。

当別町内の若手経営者たちは、大学の移転構想が浮上したことを機に、英語でたいまつを意味する「トーチ」という団体を結成しました。今後の街づくりを考えるにあたり「自分たちが街をしっかり運営していく責任世代」として、深く関わっていこうという思いが込められています。

当別町・後藤正洋町長
「医療大がなくなることは残念だが、若い人たちも次の自分たちの在り方を見つけようということで、町民の大部分の方が意識を変えていただいているのかなと感じる」

後藤町長は、「トーチ」や商工会などの地元経済界からの要望を踏まえながら、キャンパス跡地の活用策を検討していく方針です。

とはいえ、大学の移転が地元経済に与えるダメージは深刻です。アパートの空き室や学生アルバイトに支えられてきた地元商店街の人材不足など、影響は多岐にわたります。

当別町によりますと、町内のアパートなどに住む北海道医療大学の学生は約900人。

JR当別駅のすぐ近くには、当初、学生向けのマンションなどが入る10階建ての複合ビルが建設される予定でしたが、大学の移転に伴い、規模が5階に縮小するなど、計画が見直されました。

駅周辺の別のマンションを取材すると…。

松岡商事・松岡宏尚社長
「去年がすごい暑かったので、今年は全部屋にエアコンを付けたんです。学生には机や冷蔵庫など家具家電一式を貸していて、いつでも住んでもらえるようにしています。建てて30年以上になるので、男性が学生の時に住んだ部屋に、その息子さんが入るなど親子2代で利用されたこともありました」

現在の50部屋はほぼ満室で、このうち7割にあたる35部屋に、北海道医療大学の学生が住んでいます。今後、大学が移転し、学生が住んでいる部屋すべてが空室になった場合、このマンションだけで1年間の損失は1500万円と試算されています。

松岡商事・松岡宏尚社長
「数パーセントの望みは残しつつ、大学は移転すると想定していました。起こってしまったものはしょうがない。前を向いて何かやれることをひとつずつやっていくしかありません。みんなに前を向いてもらえるような当別町の流れをつくりたい」

今後想定される空き部屋対策について、松岡宏尚社長は、町営住宅や民泊施設としての活用も視野に入れています。背景には、老朽化した町営住宅の改築費用の抑制や、札幌など都市部のホテル宿泊費高騰や客室不足などがあります。また豪雪地帯の当別町で、戸建てに住み除雪に悩む高齢者に、アパートなどの集合住宅へ転居を促し、コンパクトシティとしてのモデルケースをつくることなども見すえています。

最後に、当別町の後藤町長にこれからのまち未来図を聞きました。

当別町・後藤正洋町長
「ラピダスが千歳市に進出してきて半導体産業が集積する。その一方で北海道と札幌市が連携した『GX金融・資産運用特区』の話もあり、さらに石狩湾から苫小牧にかけて『北海道バレー構想』もある。この道央エリアをひとつの権益として発展させようとしている流れの中で、当別町はどういう役割を果たしていくのかがこれからの大きなテーマです。医療大の移転で、大きな柱を失おうとしているわけですから、まちづくりの柱を一つ作っていくことにもつながるので、北海道全体の発展に当別町が貢献してきたい」

大学の移転まで4年を切った今、当別町は新たな街づくりへ官民一体で進む決意を固めています。

◇HBC:長沢祐記者

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