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瑠奈被告「私の首を絞めることが責任だ」父親「私は誰も殺しません。私にはできません」約3年間の“狂乱”の音声データ、証拠として提出…犯行認識は「おじさんの頭を持って帰ってきた」の後、娘に従うしかなかった関係を父親証言へ ススキノ首切断事件

北海道放送 / 2024年6月30日 7時11分

浩子被告の廷内スケッチ、田村瑠奈被告、修被告

去年7月、札幌市の繁華街ススキノのホテルで、当時62歳の男性が殺害されて首を切断、頭部を持ち去られた事件…殺人などの罪で起訴された親娘3人のうち、7月1日の母親の2回目の公判に父親が出廷して証言。さらに弁護人は、事件前の約3年間、田村瑠奈被告が家庭内で“狂乱”する様子などが録音された音声データを証拠として提出する方針です。

起訴状などによりますと、札幌市厚別区の無職、田村瑠奈(るな)被告30歳、父親で精神科医の修被告60歳、それに母親で無職の浩子被告61歳の親子3人は、去年7月、札幌市のススキノのホテルで、当時62歳の男性が殺害されて首を切断、頭部を持ち去られるなどした事件で、それぞれ下記の罪に問われています。

■田村瑠奈被告=殺人、死体損壊、死体領得、死体遺棄

・被害男性の首を、刃渡り約8.2センチの折りたたみナイフで何度も刺して殺害
・殺害後、ノコギリなどで首を切断
・頭部をキャリーケースに隠し、修被告が運転の車に乗って自宅まで運ぶ
・刃物などで皮膚を剥ぎ取り、眼球などを摘出
・その様子をビデオ撮影することを企て、浩子被告に依頼

■父親の修被告=殺人ほう助、死体損壊ほう助、死体領得ほう助、死体遺棄ほう助

・瑠奈被告の殺害目的などを知りながら、ノコギリ2本、キャリーケースなど12点を購入して渡す
・犯行後の瑠奈被告を自宅まで運び、男性の頭部を隠すことを容認
・浩子被告を介して頭部損壊の様子のビデオ撮影の依頼を受け、実行

■母親の浩子被告=死体遺棄ほう助、死体損壊ほう助

・男性の頭部を瑠奈被告が自宅に隠すことを容認
・瑠奈被告から頭部損壊の様子のビデオ撮影を求められて容認、修被告に実行を依頼

裁判員裁判となる瑠奈被告と修被告の公判の見通しが立たないまま、6月4日に札幌地裁で開かれた浩子被告の初公判で、浩子被告は「頭部の損壊を知ったのは、家に持ち込まれた後で、知った時には、すでに浴室にありました。あまりに異常なことだったので、娘に対して何も言えず、とがめることもできず、認めることもできず、何も言えませんでした」と死体遺棄ほう助の起訴内容を否認。

さらに、ビデオ撮影についても「具体的に何を撮影するのか、知らされていませんでした。とても耐えられなくて、助けを求める気持ちで夫に撮影を依頼。犯罪を手伝う意思は全くなく、損壊を手助けするつもりも全くなかった」と、涙ながらに死体損壊ほう助の起訴内容も否認しました。

弁護人も、浩子被告は被害男性の頭部を瑠奈被告が自宅浴室に置き続けたことを認識していたが、容認するような発言も一切しておらず、犯罪は成立しない。

また、ビデオ撮影しながら頭部を損壊する計画についても聞いておらず、抽象的に撮影を修被告に依頼しただけで、修被告も頭部に触れず、黙って撮影していたとして、無罪を主張しました。

このあと、検察と弁護人、どちらも瑠奈被告と修被告の公判も見すえて、いびつな親娘関係、瑠奈容疑者が男性を殺害した動機などについて、下記のように指摘しました。

7月1日の浩子被告の2回目の公判には、修被告が証人として出廷…自殺未遂や自傷行為をくり返す瑠奈被告を守るため、従うしかなかった家族関係を証言するとみられます。

そして、事件前の約3年間、家庭内で“狂乱”する瑠奈被告の様子などを修被告が録音した音声データも弁護側の証拠として提出される見通しです。

関係者によりますと、その音声データには事件の約5か月前、修被告が「なるべく早めに診てもらえる(精神科の)病院に予約を入れます」と話しているのに対し、瑠奈被告が「囚人みたいに独房に突っ込めば、お払い箱になって、楽になると思っているでしょ」などと応じる様子。

さらに、瑠奈被告が「私の首を絞めることが責任だ」と言ったのに対し、修被告が「私は誰も殺しません。私にはできません」と返すやりとりなどもあったということです。

一方、検察は、浩子被告の公判で、親族、警察官ら25人の証人尋問を請求、異例の多数で、弁護人は「迅速な審理を阻害する行為だ」と批判しています。

◆検察の冒頭陳述

<親子関係、生活状況>

・1人娘の瑠奈被告を幼少の頃から叱ることなく、溺愛
・成人後も、望むものを全て買い与える
・自宅は瑠奈被告の物であふれ、足の踏み場がなくなる

・常に瑠奈被告の機嫌を伺い「お嬢さん」と呼び、敬語使う
・浩子被告は「私は奴隷です」という誓約書を書かされ、リビングに貼られる
・修被告も「ドライバーさん」と呼ばれ、夜通し遊ぶ瑠奈被告に付き合う
・奴隷扱いされても抗わず“瑠奈ファースト”の家族関係

<被害男性との接点、殺害の動機>

・ダンスクラブに行ってみたいと言われ、閉店イベントのことを伝える
・女装の被害男性と意気投合し、カラオケに行くと言って、ホテルで性交
・その際、被害男性は瑠奈被告との約束を破り、避妊具を使わず
・妊娠のリスクを修被告に伝え、一緒にクリニックへ
・瑠奈被告は、怒りから殺害を考え、ナイフや手錠などを購入も、両親は止めず

・中学の頃から人体の構造に興味を持ち、頭蓋骨の模型などを家に展示
・殺害だけでなく、遺体を解体して弄ぶことを計画
・修被告に依頼して、ノコギリやキャリーケースを購入
・浩子被告も「あなたにできることは、それぐらいでしょ」と言われ、エタノールやハイターを購入

・修被告が瑠奈被告に告げずに被害男性に電話、会わないよう要請するも拒まれる
・ホテル内でSMプレイを装ってアイマスクを付けさせ、手錠で緊縛してカメラ撮影
・瑠奈被告は「お姉さんが一番、反省しなきゃいけないことは、私との約束を破ったことでしょ」などと話し、ナイフで突き刺して殺害
・頭をノコギリで切断してキャリーケースで運び出し、修被告の車両で自宅まで運搬

<殺害後の状況>

・浩子被告は遅くとも7月3日には頭部の隠匿を知ったが、24日まで容認し、瑠奈被告と生活を続けた
・瑠奈被告から頭部を損壊する様子の撮影を頼まれ、容認
・修被告にLINEで「撮影カメラマンするでしょ?」と伝える
・修被告がビデオ撮影
・浴室にハンガーとS字フックでザルを吊るし、そこに剥ぎ取った皮膚を干して「私の作品を見て欲しい」
・修被告にも「見せたい」と言われると、LINEで「よろしかったら、お嬢さんの作品をご覧くださいな」

◆弁護人の冒頭陳述

<親子関係、生活状況>

・小学2年生の頃から学校を休みがち、中学入学後は不登校
・一時、フリースクールに通うも、18歳ごろから自宅で引きこもり
・自殺未遂、自傷行為くり返し「田村瑠奈は死んだ」と言い始める
・自分の死体に複数の人格が入り込んでいる妄想=ゾンビ妄想を抱き、自分が田村瑠奈である認識なくなる
・自分を「お嬢さん」と呼ばせ、修被告を「ドライバーさん」浩子被告を「彼女」などと呼ぶようになる
・自分の物を触られることを極端に嫌がる
・自宅内は瑠奈被告の物やゴミであふれかえり、足の踏み場もない状態
・精神科クリニック受診、通えなくなると、修被告が抗うつ薬など処方

<被害男性との接点、殺害の動機>

・数年前からホラー映画やSMプレイに興味
・怪談バーに行くようになった後、被害男性と知り合うダンスクラブへ
・意気投合した女性とカラオケのはずが、ホテルに連れて行かれ、女性は女装した男性だった
・避妊せずに性交されたことに怒るも「謝ったら、許してあげる」

・ススキノのダンスクラブを回って被害男性を探し、7月1日に会う約束
・SMプレイをするような話
・別の男性ともホテルでSMプレイ
・修被告相手にリビングでSMプレイの練習
・瑠奈被告が楽しみにしている様子だったので、両親は止めることはできないと判断
・被害男性に止めてもらうよう求めるも「向こうが会いたがっているわけだから」と拒まれる
・瑠奈被告が嫌がることをしないよう、被害男性に依頼
・あくまでも両親はSMプレイに行くものと思う

<殺害後の状況>

・事件発生の翌朝、浴室に見慣れないプラスチックケース
・瑠奈被告の物は触れないため、中を確認せず
・数時間後、瑠奈被告から「おじさんの頭を持って帰ってきた」と告げられるも、現実感なし
・翌日、報道で事件を知るが、恐ろしくて近づけず

・瑠奈被告から「見て」と言われ、すでに皮を剥がされ、全体が赤くなった頭部を目の当たり
・「この世の地獄がここにある」と深い絶望感
・インスタントカメラの写真3枚を差し出され、強い口調で「ちゃんと見て!」

・浴室で動画を撮影することも頼まれたが、赤い頭部を直視できないため、具体性がないまま、修被告に助けを求める
・その後も眼球が入ったガラス瓶を見せられたり、寝床の近くに置かれたりする
・「私の作品を見て」と言われ、干された皮を見せられる

・言葉では言い尽くせないようなストレス、あまりにも異常な生活だったが、成す術なく「警察が来たときは、運命を受け入れよう」
・これまでどおり、家族として過ごすことを選択
・瑠奈被告だけが逮捕されると思っていたところ、夫の修被告、さらに自分も逮捕

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