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「うそをつかないことが入社の条件」暴力団の世界に足を踏み入れた過去“再犯の悪循環”を断ち切るために…出所者受け入れる社長の思い

北海道放送 / 2024年7月26日 19時23分

元受刑者を受け入れ続ける企業が、北海道帯広市にあります。
「新たな被害者をつくらない」再犯ゼロを目指し奔走する社長の思いとは。

帯広市の配送会社です。

新出鉄也さん(59)
「(きょうの配達は)半日で10軒。何百枚単位ってものが、いま2軒分しか積んでないですから」

新出鉄也さん。59歳。

2023年6月から宅配ドライバーとして、新たな人生をスタートさせました。

新出鉄也さん(59)
「喜んでもらえると嬉しいじゃないですか。おかげさまでお客さんから『届けてもらってありがとうございます』みたいなお礼を言われてうれしいです」

仕事への充実感を口にする一方で、自身の過去について語ってくれました。

新出鉄也さん(59)
「自分自身に後ろめたさみたいなものが残ってしまうし。なにかあったら実はこの人は自分の過去を知ってるんじゃないかなって」

「覚醒剤所持」や「覚醒剤使用」などの罪で、これまでに9回服役しました。

新出鉄也さん(59)
「死んでもいいやという感じでやっちゃうタイプなんですよ。(覚醒剤は)気持ち的に楽になれる部分もあるんですよ。単に快楽を求めるということとは別に、気持ちが楽になるというか…」

今回、「実名」「モザイクなし」で取材に応じた新出さんには、「覚悟」がありました。

新出鉄也さん
「もう二度と過ちを繰り返さないという気持ちで頑張ってるんだということを理解して、社会の方々から応援していただけるのであれば、それに越したことはないかなと思ったので」

新出さんら出所者の就業支援をしている「ドリームジャパン北海道」の長原和宣社長です。

この10年で、100人以上の出所者を受け入れてきました。

再犯率、49.1%(法務省より)。1972年の調査開始以来、最悪の数字です。

罪を犯し、検挙された人の2人に1人がまた罪を犯す。厳しい現実が横たわっています。

出所者を支援する「ドリームジャパン北海道」長原和宣 社長
「刑務所を出ても仕事がない、それ以前に住む場所がない、行く場所がないというのがパターン。住む場所と働く場所を提供してあげることによって、救われるんですね」

長原社長が取り組む「職親(しょくしん)プロジェクト」は再犯防止のために、企業が出所者を受け入れて、職や住居を提供。自立や更生をサポートする制度です。

出所者を支援する「ドリームジャパン北海道」長原和宣 社長
「ありがとうございます」

この日、釧路刑務支所を訪れた長原社長。ひとりの受刑者との面接です。

受刑者
「失礼いたします」

初犯の受刑者が服役する釧路刑務支所。

長原社長が、受刑者との面接にのぞみます。

罪名は明かせませんが、執行猶予中に同じ罪を犯し、懲役6年の判決を受けた40代の男性です。

刑務所の中で長原社長の存在を知り、出所後に働きたいと履歴書を送っていました。

懲役6年の男性受刑者(40代)
「この環境に慣れてしまうのが怖い。長ければ長いほど、社会から離れてしまう。この環境に慣れてしまう。外に出たときとのギャップが怖い、助けてほしいです」

出所者を支援する「ドリームジャパン北海道」長原和宣 社長
「約束覚えています?」

受刑者
「うそはつかない」

出所者を支援する「ドリームジャパン北海道」長原和宣 社長
「私にうそはつかないという約束が入社の条件。身元引受人をお受けします。住居も準備させていただきます。うちの会社で働く内定も出します。早く出てこい!」

長原社長が出所者を受け入れる理由には、自分自身の苦しい経験があります。

出所者を支援する「ドリームジャパン北海道」長原和宣 社長
「暴力団の世界まで足を踏み入れてしまって、薬物、覚醒剤でも成人になってから逮捕されるという。やり直しはもう簡単なことじゃない。だから、まっとうな生活を人生を送っていきたいんだっていう人に、やっぱり私、手を差し伸べたくなっちゃうんですよね」

長原和宣 社長
「じゃあおめでとう!(乾杯)おかえりなさい」

この日、一緒に食事をしているのは、懲役5年8か月の実刑判決を受けた35歳の男性。

前日に、函館少年刑務所を仮出所したばかりです。初出勤を前に、ささやかな歓迎会です。

長原和宣 社長
「もう刑務所は懲りた?」

仮出所した男性(35)
「はい懲りました。もう二度と行くような場所ではないと感じました」

出所後、社会から排除され、再び犯罪に手を染めてしまう「再犯の悪循環」。

これを断ち切れば「新たな被害者も生まれない」。長原社長は、そう信じています。

出所者を支援する「ドリームジャパン北海道」長原和宣 社長
「うちの会社でよく言うんです。みんなで社会を見返そう。我々の過去は消えないけれどもけど、こんな俺たちでも、こうやっていま真面目に頑張れるんだ。そういう私達を世間の人たちに見てもらえるように頑張っていこうっていう話をしてます」

《スタジオ》
「実名」で取材を受けてくれた新出さんは、刑務所の中でテレビを見られる時間があり、「今日ドキッ!」を見ていたということで、今回取材を引き受けてくれました。

長原さんが支援している人の中には、ごくまれに再び刑務所に戻ってしまう人もいます。

一方刑務所に再入所する人の7割が犯行時に無職というデータがあります。ですから長原さんは、地道に手を差し伸べる活動を続けているということなんです。

長原社長はいまの会社を全国で展開して、再犯ゼロの社会を目指していきたいということです。特集でした。

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