明治時代の火消し用具「龍吐水(りゅうどすい)」老舗メーカーが復元に成功…新年出初式などで披露し消防活動のPRへ
北海道放送 / 2024年9月3日 20時7分
胆振東部地震でも災害対応にあたった消防団員。全国の消防団員の数は1954年をピークに減り続け、ことし4月には過去最少のおよそ74万7000人となりました。
地域を守る消防団員の減少に歯止めをかけるきっかけになればとあるプロジェクトが動き出しました。
それがこちら!明治時代の消防ポンプで、龍が水を吐くように見えたことから『龍吐水(りゅうどすい)』と呼ばれるものです。
古びて使えなくなった「龍吐水」を復活させようと、札幌市の消防車メーカーが立ち上がりました。
札幌市内の会社の駐車場で、何やら準備を始める人たち…「龍吐水(りゅうどすい)」の放水試験です。老舗メーカーが挑んだ、半年にわたる復元プロジェクト。果たして、結果は…!?
札幌市手稲区の「二二(にいにい)商会」です。
1901年=明治34年創業。消防署の設備や救急車の製造などを手がけてきました。
去年末、ここに持ち込まれたのが1台の「龍吐水」でした。
「龍吐水」とは、江戸時代から明治時代にかけて全国で使われていた「火消し用具」です。
箱の中にポンプがあり左右に伸びた棒をシーソーのように動かすと、中の水が吹き出す仕組みです。
これは北海道東部の標茶町で実際に使われていたもので、当時、まちで消防団が発足するきっかけにもなりました。
博物館で保管されていましたが、中はボロボロ。ポンプも1つなくなっています。
この「龍吐水」を生まれ変わらせようと立ち上がったのが「二二商会」の斎藤太雅哉社長でした。
二二商会 斎藤太雅哉(たかや)社長
「(復元の)メインは水を出せるところに目標を掲げているので、実際に当時、火災現場でこういう使われ方をしていたんだよ、というのを今の子どもたちに体験してもらって消防に興味を持ってもらいたい」
火事や自然災害の現場で活躍する消防団員。しかし、その数は減り続けています。
「龍吐水」を復元させ消防の活動に関心をもつ子どもを増やしたい。
斎藤社長らは「龍吐水」を慎重に分解し、その構造を確認。建具メーカーの職人の協力もあおぎながらポンプを作り直します。
修復が始まってから半年。放水試験の日を迎えました。
二二商会 企画開発部 岡部洋幸さん
「ホッとしている。アレを復元って、どうすればいいんだろうと思っていた。でも、ここまできたので」
標茶町から、学芸員の坪岡始さんも駆け付け見守ります。そして…
斎藤社長
「(水が)思ったより飛びました!」
「龍吐水」から吹き出した水がきれいな放物線を描きました。成功です!
二二商会 企画開発部 岡部洋幸さん
「(「龍吐水」が)博物館の倉庫にあって、それが寂しい感じだった。ここまで修復できたら、人に見てもらって『龍吐水というものがあったんだ、昔の人たちはこういうふうに(火を)消していたんだ』と分かってもらえたらそれだけでもうれしい」
学芸員の坪岡さん。自身も消防団員として活動していて「龍吐水」の復元に感動もひとしおです。
標茶町博物館ニタイ・ト 坪岡始次長
「実際やってみると大変さが分かる。130~140年前の消防の道具、そのものが価値がある。自分たちの先輩は、こういう苦しい思いをして消防に携わっていたんだというのを知ってもらえる機会になったらありがたい」
半年がかりとなったプロジェクトですが、なんと無償で行われたということです。
標茶町は、修復が終わった「龍吐水」を町の消防団の新年出初式などでお披露目できれば、としています。
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